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立体造形

低炭素社会の実現に向けたバイオガスの普及を加速する革新的CO2選択透過膜モジュールの開発

京都府

株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ

2026年1月21日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 バイオガスの高度利用技術の確立を目指したCO2選択透過膜モジュールの高性能化
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 環境・エネルギー
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード 促進輸送膜,モジュール,バイオガス,メタン発酵
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

バイオガス中のメタン濃度向上と安定化を実現するため、二酸化炭素選択透過膜モジュールの単位体積当たりの性能向上を目指した研究開発を実施した。神戸大学が膜モジュールの設計とシミュレーションモデル構築を担当し、株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチがモジュールの開発を担当する産学連携体制を構築した。従来のスパイラル型モジュールの単位体積当たりの膜面積0.2平方メートル毎リットルと比較して、2倍以上の0.4平方メートル毎リットル以上の性能向上を目標とした。促進輸送膜と呼ばれる革新的な膜を用いることで、二酸化炭素の透過速度と選択性の両方を従来膜より格段に向上させ、外部エネルギーがほぼ不要の省エネルギーな二酸化炭素分離回収技術の確立を目指した。

開発した技術のポイント

・促進輸送膜技術の活用
-二酸化炭素と選択的に反応するキャリア成分を膜に含有させた革新的な膜
-従来膜と比較して格段に高い選択性と透過速度の両方を実現
-発熱反応と吸熱反応が膜の両面で同時進行し、外部エネルギーほぼ不要の省エネルギー技術

・平板型モジュール構造の採用
-中空糸型から平板型に変更することで膜間隔の確保と高密度充填を両立
-スペーサーにより膜間隔を十分確保し、中空糸型での問題を解決

・クロスフロー型ガス流路設計
-原料ガスと透過ガスの効率的な流路構成により分離性能を最適化

・シミュレーションモデル構築
-促進輸送膜の二酸化炭素透過係数が原料ガス組成に依存して変化することを考慮したモデル
-任意条件下での二酸化炭素透過係数推算が可能

具体的な成果

・モジュール設計と試作
-体積5リットル以上、膜面積0.4平方メートル毎リットル以上の実機モジュール設計完了
-実機サイズモジュール(体積5リットル)の試作完了、体積当りの膜面積0.74平方メートル毎リットルを達成し目標値を大幅に上回った

・性能評価
-改良型ラボレベルモジュールで、二酸化炭素/窒素選択性360を達成
-250時間以上の連続運転で膜性能の高い安定性を確認

・シミュレーション結果
-バイオガス中のメタンを効率よく定量的に濃縮可能(回収率80%以上)であることを理論的に実証
-モジュール設計の妥当性を確認

・評価装置構築
-実機レベル評価装置の設計・製作・動作確認完了
ー開発モジュールの性能および安定性を評価
ー実機サイズモジュールは、想定した選択分離性能が得られなかったが、モジュールを実機レベルにスケールアップする上で、シール方法の改良という課題を明確にすることができた
ーラボレベルモジュールでは長期間の安定性を確認済み

知財出願や広報活動等の状況

・大阪府「令和6年度カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環として「高効率メタン発酵システムと膜分離による次世代型バイオガス発電の開発・実証事業」のデモンストレーション実施(株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ、2025年10月7日~10月13日、大阪・関西万博 「フューチャーライフヴィレッジ」)

研究開発成果の利用シーン

・移動型バイオガス処理設備
-バイオガス中の二酸化炭素濃度増加によりメタン濃度が低下して発電機停止の恐れがあるときなどに現地搬入
-稼働率が不安定なバイオガス発電の効率向上に貢献

・常設バイオガス処理施設
-設置場所の小型化による低コスト化を実現
-他の脱炭酸方式に対する優位性向上

・工場排ガス処理
-工場排ガスからの二酸化炭素分離・回収に応用

・水素製造プラント
-製造ガスからの二酸化炭素分離・回収に応用

・直接空気回収(Direct Air Capture)
-大気中からの二酸化炭素分離・回収に応用

・グリーンメタン製造
-メタン発酵不適物からのバイオガス生成とメタン濃縮によるカーボンニュートラルなグリーンメタン製造

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

大阪の再生エネルギー分野企業との協力により、大阪府内での新たなバイオマス発電サイト建設検討中。同プロジェクトにおいて、開発モジュールを提供してバイオマス熱分解ガスのメタン濃縮における性能評価・耐久性評価を実施予定であり、効果確認後の採用が期待されている。福島県の再生エネルギー分野企業とも同様の検討を実施しており、開発中のバイオマスガス化プロセスへの応用を進めている。大阪府のカーボンニュートラル技術開発実証補助事業では、メタン発酵不適物を特殊な前処理により効率的なメタン発酵可能とするシステム開発を行い、生成バイオガスの膜分離によるグリーンメタン製造を計画している。大阪関西万博でのデモンストレーションを実施済みであり、本事業の成果を基にした平板型モジュール適用を検討中である。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・圧倒的な膜性能
-二酸化炭素選択性で他研究機関比3~4桁、透過性能で1~2桁の優位性
-促進輸送膜技術による高速二酸化炭素透過性と超高選択的透過性

・コンパクト設計
-単位体積当たりの膜面積を従来の2倍以上(0.74平方メートル毎リットル)達成
-設置場所の小型化と運搬容易性を実現

・省エネルギー技術
-外部エネルギーほぼ不要の本質的省エネルギー二酸化炭素分離回収技術
-膜内での発熱・吸熱反応の同時進行による自立システム

・多用途展開可能
-バイオガス処理から工場排ガス、水素製造、直接空気回収まで幅広い応用

・移動型運用対応
-小型化により運搬が容易で、必要時のみ現地搬入する移動型設備として運用可能

今後の実用化・事業化の見通し

バイオガス用膜モジュールや膜分離装置、メタン濃縮事業は十分に競争力を持ち事業化可能と考えられる。高性能な二酸化炭素選択透過モジュールの使用用途はバイオガスに限らず、工場排ガス、水素製造プラント、直接空気回収等にも応用可能である。機能性膜を別機能膜に変更すれば、高密度充填された高性能な別用途膜モジュールとしても転用可能である。複数企業との協力体制が既に構築されており、大阪府内バイオマス発電サイトや福島県バイオマスガス化プロセスでの実証試験が計画されている。大阪関西万博でのデモンストレーション実施により、技術の実用性と有効性を広く訴求済みである。膜自体の性能と基本的モジュール設計に問題はなく、実用化への基盤は確立されている。

実用化・事業化にあたっての課題

実機サイズモジュールにおいて、膜の供給側と透過側を塞ぐシール部分からの部分的リークが認められた。これは実機サイズに成型する際のシール方法に課題があることを示している。ラボレベルモジュールでは長期間運転でも高度分離能を維持できているため、膜自体の性能と基本的モジュール設計には問題がない。今後はシール方法の改良が最優先課題となる。具体的には、大面積膜の積層時における確実なシール技術の確立、耐圧性と耐久性を両立するシール材料の選定、製造工程でのシール品質管理手法の構築が必要である。これらの課題解決により、実機サイズモジュールでラボレベルと同等の分離性能達成を目指す。導入済み設備を活用した実機サイズモジュール製法の完成により実用化を実現する計画である。

事業化に向けた提携や連携の希望

バイオガス分野においては、既存バイオガス発電事業者や新規参入を計画している事業者に対し、膜モジュールを用いたCO2分離装置あるいは膜分離装置付きのバイオガスエンジンを販売する事を考えており、九州方面を中心に再生エネルギー事業を展開している電機メーカーと連携して事業化を進める体制を構築している。膜モジュールや膜分離装置の製作についてはNEDO事業や環境省事業での製造委託先企業を中心に、量産化にも対応できる体制を構築している。既存バイオガス発電サイト向けには、膜分離装置を販売するケース以外に、CO2濃度が高すぎてバイオガスエンジンによる発電が困難な場合に、移動式の膜分離装置を用いてCO2を除去して発電機の稼働率を向上させる事業も検討しており、事業の実現に向けた提携や連携を希望。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ
事業管理機関 国立大学法人神戸大学
研究等実施機関 株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ 神戸研究所他、岡田治、花井伸彰他
国立大学法人神戸大学 先端膜工学研究センター、松山秀人、熊谷和夫、神尾英治、松岡淳
アドバイザー 大阪公立大学工業高等専門学校 杉浦 公彦
ユア・エネルギー開発株式会社 金蔵 法義
新宮エネルギー株式会社 尾地 祐一

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ(法人番号:6130001047245)
事業内容 製造業(触媒) 研究開発・研究受託
社員数 19 名
本社所在地 〒612-8374 京都府京都市伏見区治部町105番地 京都市成長産業創造センター102号
ホームページ https://www.r-energy.com/
連絡先窓口 株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ 代表取締役社長 岡田治
メールアドレス okada@r-energy.com
電話番号 06-6228-3111