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表面処理

蒸着・コーティングで培った技術で、高周波領域対応のシールドフィルムを開発

滋賀県

サイチ工業株式会社

2025年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 世界初:ドライ・ウエット複合プロセスによる高耐久・高信頼性電磁波遮蔽車載用シールドフィルム技術の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 自動車、ロボット、情報通信、スマート家電、食品、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)
キーワード 蒸着,コーティング,耐熱性
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

この事業は、金属蒸着技術や有機膜塗布技術を活用し、特に車載用の高性能電磁波シールドフィルムの開発を目指す研究開発プロジェクトである。研究の目的は、表面処理技術の高度化を図り、特に川下製造業者の共通課題である「高機能化」と「品質安定性・長寿命化」に対応することにある。具体的には、電磁波シールドフィルムの各層(保護層、電磁波シールド層など)の性能を向上させ、特に高温高湿度環境下での耐久性や電磁波シールド特性の強化を目指す。開発の目標には、電磁波シールド層のコスト削減や、高周波領域におけるシールド性能の向上が含まれ、これを達成するために新しい材料技術や蒸着技術の開発も進められている。

開発した技術のポイント

・保護層の強化とR-PC技術の確立
-エポキシ樹脂等を使い、保護層の耐久性を向上。
-単層化技術(R-PC)を確立し、環境負荷を低減。
-R-PC層の硬化条件を最適化し、耐摩耗性や耐薬品性を改善。
・金属蒸着技術(T-VM法)の開発
-低熱ダメージで高性能なシールド層を作製。
-蒸着金属膜の表面抵抗を低く抑え、性能を向上。
・高湿熱耐性TOP層(MGBL)の開発
-有機・無機材料を組み合わせたガスバリア層を開発。
-高湿熱環境下でも長時間腐食を防止。
・現行シールド層金属の代替金属を用いたシールド層を開発し、コスト削減。
-蒸着条件を最適化し、長尺加工に成功。
・積層シールドフィルムの量産技術
-各層を積層したフィルムの量産工程を確立。
-高耐久・高信頼性の製品を実現。
・優れた耐環境性能
-高湿度・高温や冷熱環境での試験において、優れた接続抵抗の安定性を確認。
-シールド効果も目標性能を達成。

電磁波シールドフィルム
具体的な成果

・保護層の高性能化
-最表層となる有機保護層の物理的・化学的高耐久化を実現。
・電磁波シールド特性1GHz/80dB以上の金属蒸着技術の開発
-蒸着加工によるシールド層金属の基材への低負荷と高品位を担保する厚膜作製方法を確立した。
・高湿熱耐性を持つシールド層金属保護層の開発
-規制化学物質を含有しない、長期湿熱環境に耐久する保護層を開発した。
・現行シールド層金属の代替となる金属蒸着技術の確立
・各開発層を積層した目標とする電磁波シールドフィルムの開発
-各層を積層させた電磁波シールドフィルムの、熱・湿熱・冷熱環境への耐久性、擦過性・屈曲性への物理耐久性、電磁波遮蔽性能の評価を行った。

研究開発成果の利用シーン

・車の電磁波対策フィルム
-車の電子機器や配線の電磁波を防ぐシールドフィルムに使用。
-熱や湿気に強く、長持ちするフィルムを開発。
・スマートフォン用シールド
-スマホの電磁波対策フィルムとして活用。
-アンテナ周りの電磁波を防ぐ用途を想定。
・高湿度対応のシールドフィルム
-湿気の多い環境でも効果を保つシールドフィルムとして使用。
-耐久性が高く、過酷な環境での使用を想定。
・抗菌性や装飾用の新製品
-金属の色を活かした新しい製品開発に取り組む。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

自動運転技術の進展に伴うFPC(フレキシブルプリント基板)の需要増加に対応するため、車載用シールドフィルムの開発を進めている。特に、コスト低減を目的とした代替金属をシールド層に使用する新製品を開発中で、2024年内の完成を目指している。また、電子機器部品用の高機能蒸着フィルム、高湿熱耐性材料の製品化も行い、新たな市場展開として金銀糸への応用も模索している。これらの開発により、幅広い分野での事業化を計画している。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造

製品・サービスのPRポイント

・R-PC技術により、耐薬品性、耐湿熱性に優れた保護層を開発。
・プレス条件に応じた剥離力の調整が可能で、作業効率の向上を実現。
・T-VM法で低熱ダメージかつ高性能な電磁波シールドフィルムを製造。
・代替シールド層の開発に成功し、コスト削減と環境負荷軽減を達成。
・電気自動車や自動運転技術の進展に伴う、車載用FPCシールドフィルムの需要増加に対応。
・スマートフォンやモバイルデバイス向けのシールドフィルムも開発し、多様な市場ニーズに応える。
・性能向上とコスト削減を両立させ、新たなシールドフィルムの可能性を開拓。

今後の実用化・事業化の見通し

・車載用シールドフィルム
-代替金属をシールド層に使用した製品を2024年内に開発完了予定。
・スマートフォン向けシールドフィルム
-スマホや他の用途向けに新グレードを開発中。
・高湿熱耐性製品
-高耐久性を持つ材料を製品化し、過酷な環境に対応。
・新規事業展開
-蒸着の特徴を活かし、金銀糸など新しい製品を検討中。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 サイチ工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人滋賀県産業支援プラザ 連携推進部 プロジェクト管理室
研究等実施機関 滋賀県工業技術総合センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 サイチ工業株式会社(法人番号:6160001003360)
社員数 227 名
本社所在地 〒520-2113 滋賀県大津市平野3丁目1番11号
ホームページ https://www.saichi-kk.co.jp/
連絡先窓口 技術部部長 社納 成昌
メールアドレス m_shanou@saichi-kk.co.jp
電話番号 077-553-5701