機械制御
ロボットを装置から道具へ!『どこでも・誰でも・簡単に』溶接作業が可能になる産業用ロボット操作の新方式
兵庫県
髙丸工業株式会社
2025年1月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | オフラインティーチングシステムへの実画像導入によりPCでの遠隔操作を実現する溶接ロボットシステム開発 |
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基盤技術分野 | 機械制御 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、ロボット、農業、産業機械、情報通信、建築物・構造物、半導体、工作機械、エレクトロニクス、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(簡易性向上)、高効率化(作業者のスキルを選ばない) |
キーワード | ロボット、遠隔操作、溶接 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、産業用ロボットが「遠隔で、誰でも簡単にティーチングができて、各種の技能を補う役割を担う」ことが目標である。医療現場における手術支援ロボットのダヴィンチと同じ効果を、産業用ロボットで実現しようという取り組みである。遠隔操作を「作業を事務所で行うこと」として想定し、ロボットの機種やメーカーを問わず産業用ロボットの標準仕様として普及可能な成果物を目標とした。
開発した技術のポイント
・遠隔操作技術の開発
-PCで簡単にロボットを遠隔操作できるシステムを構築。
-タッチセンサを誰でも使いやすくするプログラムを開発。
-異なるロボットメーカーでも共通の操作が可能に。
・自由視点映像の技術開発
-多視点カメラを使い、ロボット周辺を自由な視点で確認できる映像を生成。
-遠隔操作に適した通信技術も開発。
・実画像とCGの合成技術の開発
-CGロボットと実映像を正確に重ねて表示する技術を開発。
-3Dデータがなくてもロボットと作業対象の位置関係を確認可能に。
具体的な成果
・ロボットの遠隔操作の実現
-一般的なPCを用いて『遠隔で誰でも簡単に』溶接作業が可能に。
-各メーカーの技術を損なう事なく、今後あらゆる作業へ展開可能。
-鹿児島県や台湾から兵庫県のロボットを操作して溶接する事も実証。
-モノづくりを在宅で行う未来の実現可能性も示した。
・誰でも簡単に操作可能なインターフェースの完成
-多視点からの映像とCGとを重ね合わせる事を達成。
-開発した画面により動作後の未来を確認してから実機を動かせる。(通信環境に安全が左右されず直感的にロボットを動作可能)
-女性事務員が1時間の指導で溶接作業が可能になった。
-既に他のロボットメーカーや大手ユーザーからの相談も受けている。
知財出願や広報活動等の状況
・知財出願状況
-「ロボット操作システムの動作方法」で特許を取得。
-特許番号:第7364285号。
-出願日:令和4年11月11日。
-登録日:令和5年10月10日。
・広報活動状況
-2023年11月29日~12月2日に東京ビッグサイトで開催された「2023国際ロボット展」にて成果を展示。
-展示会で具体的な金額の問い合わせや販売希望を受ける。
-ファナック製ロボットへの展開を目指し、グローバルスタンダードの技術として発信予定。
研究開発成果の利用シーン
・製造現場での溶接作業
-難しいティーチング操作を簡単にし、誰でも溶接ロボットを遠隔操作できる環境を実現。
-技術者が少なくとも、溶接作業を安定的に行える。
・教育・訓練の場面
-溶接技術を学ぶ高校生や初心者が、遠隔で安全に溶接の体験を行うことが可能。
-バーチャル溶接訓練装置として、溶接の基礎を学べる教育ツールとして利用。
・技能継承と労働力不足への対応
-溶接職人の育成や技術の継承が難しい中、ロボットを使った遠隔操作で技能の標準化が可能。
-溶接を敬遠しがちな若者や外国人労働者の支援ツールとして活用。
・多視点画像技術の活用
-自由視点映像による視覚的な確認で、作業精度の向上や品質管理が容易に。
-溶接以外の検査や仕上げなど、他の製造工程でも活用可能。
・展示会やマーケティング活動
-国際ロボット展などでの技術展示により、製品の販売促進や顧客からのフィードバックを取得。
-ファナック製ロボットへの展開で、グローバル市場への適用拡大を目指す。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化においては、計画時に顧客として想定していた中小企業向けには、まずは当社内の機器で体験させる等のスモールスタートから始め、当社と顧客の双方にとってリスクが少なく受け入れられやすい展開を想定している。当社内の取組みにおいては、本製品を活用すれば、新人の女性社員がわずか1時間の指導で溶接作業を実施できるようになり、まさに『ロボットを装置としてではなく道具として活用する』可能性を示した。実際にアドバイザーでもあったKPファクトリー殿からは体験の依頼も受けている。本製品のPRと共に徐々に認知度を向上していきたい。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・誰でも使いやすい遠隔溶接
-新人や初心者でも簡単に溶接作業を行えるシステム。
-女性社員が短時間の指導で溶接作業を習得。
・遠隔操作の実現
-遠隔地からロボットを操作し、溶接作業を成功させた実績あり。
-在宅でも製造業務が可能な未来を目指す。
・多様な環境に対応
-原子力や塗装といった過酷な環境でも活用可能。
-海外工場や大手企業からも問い合わせが増加。
・多視点画像による視覚サポート
-自由な視点で作業を確認し、不慣れな人でも安心して操作可能。
-精度の高い作業への応用が期待される。
・認知度の向上と受賞実績
-ナレッジイノベーションアワードで経済産業局長賞を受賞。
-展示会やメディア取材を通じてPR活動を展開。
今後の実用化・事業化の見通し
・中小企業向けのスモールスタート
-自社機器での体験を提供し、リスクを最小化して導入促進。
-短時間の指導で初心者でも溶接が可能なシステムを活用。
・大手企業や過酷な環境への展開
-原子力や塗装などの過酷な環境への適用を検討。
-海外工場を持つ大手企業からの相談や打合せが進行中。
・在宅製造の実現可能性
-遠隔操作による溶接成功で、在宅でのモノづくりが現実に近づく。
・多視点画像技術の拡張
-溶接以外の作業や他の産業分野へも技術を拡大する可能性。
・グローバル展開
-ファナック製ロボットへの対応で、メーカー横断的な技術を目指し、グローバルスタンダードを視野に入れた展開。
・認知度の向上と受賞実績
-展示会や報道機関を通じたPR活動で認知度を向上。
-ナレッジイノベーションアワードで経済産業局長賞を受賞し、事業の信頼性をアピール。
実用化・事業化にあたっての課題
・溶接作業の精度向上
-わずかなズレでも加工に影響が出るため、溶接時の精度向上が必要。
-仮止めや溶接順序の違いで生じる歪みの検知が課題。
・人手とロボットのバランス
-人が行う方が早い作業もあり、ロボットの効率化と独り立ちが求められる。
-人員削減と効率化を両立するための改善が必要。
・多視点画像技術の導入
-現行の画面切り替えでは効果が薄く、自由視点機能の導入が求められる。
-溶接以外の用途にも多視点画像技術を活用することが必要。
・過酷な環境への対応
-原子力や塗装など、過酷な環境での適応技術が未整備。これらの特殊環境に適した技術開発が必要。
事業化に向けた提携や連携の希望
実際に活用を希望する企業への販売もしくはレンタルや、同企業からのシステムに対する改善希望等を聴取したい。
位置補整技術のある企業や溶接以外の作業をロボットで実施させる技術力がありその作業を実行させる位置を任意に変更出来れば多品種にも対応できる・・・といった課題がある企業。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 髙丸工業株式会社 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | iPresence株式会社 学校法人慶應義塾 慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 教授 杉本 麻樹 |
アドバイザー | 株式会社新征テクニカル KPファクトリー株式会社 株式会社ホーユーウエルディング |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 髙丸工業株式会社(法人番号:1140001049856) |
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事業内容 | 生産用機械器具製造業 |
社員数 | 29 名 |
生産拠点 | 西宮工場 |
本社所在地 | 〒662-0925 兵庫県西宮市朝凪町1-50 JFE西宮工場内 |
ホームページ | https://www.takamaru.com/ |
連絡先窓口 | 専務取締役 髙丸泰幸 |
メールアドレス | yasuyuki@takamaru.com |
電話番号 | 0798-38-9200 |
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