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立体造形

CT、MRI造影性を付与し、解剖的位置精度を高めることにより、高度の手術トレーニングシミュレータを開発

滋賀県

ウェトラブ株式会社

2025年1月27日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 脳神経外科専門医育成のための手術トレーニングシミュレータ(TOMモデル)の開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード 専門医育成,手術トレーニングシミュレータ,造影性,解剖的位置精度
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究は、脳神経外科の専門医を育成するための手術トレーニングシミュレータ(TOMモデル)を開発することを目的とした。ポリビニルアルコール(PVA)素材を使用し、生体に近似した感触を持つ臓器モデルを作製した。また、CTやMRIでの造影性を高め、手術前のシミュレーションをより正確に行える技術を開発。さらに、生産性向上技術や位置決め精度向上のための技術も開発し、精度の高い手術トレーニングが可能なモデルを完成させた。

脳神経外科専門医育成のための手術トレーニングシミュレータ(TOMモデル)の開発イメージ
開発した技術のポイント

・高造影性PVA素材造形技術
‐ 医療用造影剤を安価な材料に代替し、CTやMRIにおける造影効果を自在に制御可能
・高精度位置決め造形技術
‐ 血管モデルの位置決めガイドを作成し、未熟な技術者でも高精度な位置決めを実現
・力学特性評価技術
‐ 適正な数値範囲を特定し、数値を基にした品質保証が可能

血管モデル作成・位置決め作業
具体的な成果
TOMモデルを用いたシミュレーション評価の様子

・高造影性PVA素材造形技術の開発
-医療用造影剤を安価な材料に代替し、さらにモデルからの溶出を抑制
-CT、MRI造影性を自在に制御
・高精度位置決め造形技術の開発
-位置決め補助具の製作とマニュアル化により解剖学的に高精度な位置決めの再現性を向上し、生産効率10倍以上を達成
-医師による解剖学的位置の人体近似度評価で80%以上を達成
・力学特性評価技術の開発
-市販の測定装置を用いて特性評価を行う方法を確立
-血管などの超弾性体の力学特性評価方法を確立

知財出願や広報活動等の状況

最終目標である脳神経外科専門医認定のための実技訓練用臓器モデルとして日本脳神経外科学会に提案。
各種学会等のワークショップなどに出展し、多くの医師に体験していただいている。

研究開発成果の利用シーン
脳腫瘍経鼻内視鏡手術用トレーニングシミュレータの評価

CTやMRIでの造影性が高いため、脳動脈瘤クリッピング術だけでなく、腫瘍開頭手術用トレーニングシミュレータ、脳腫瘍経鼻内視鏡手術用トレーニングシミュレータ、頭蓋底外科手術用トレーニングシミュレータなどのニーズにも対応可能。本技術は、頭部の脳神経外科分野にとどまらず、全身の各部位の手術用トレーニングシミュレータに波及できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

脳神経外科の専門医育成に向けたトレーニングシミュレータとしてTOMモデルが完成し、日本脳神経外科学会に提案済みである。さらに、より広範なニーズに対応したシミュレータを開発し、量産化できる目途が立った。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

TOMモデルは、CTやMRIで高い造影性を付与したPVA素材を使用しており、人体に近い感触を再現できる。これにより、脳神経外科の複雑な手術のシミュレーションが可能で、若手医師の技術向上に寄与する。また、位置決め技術や力学特性評価技術の向上により、解剖学的に高精度なシミュレーションが実現。短期間での組み立てが可能な点も、効率性の高いモデルとして評価されている。

今後の実用化・事業化の見通し

開発が進められている次世代の手術室「スマート治療室」では、IoTを活用して治療室内のさまざまな医療機器の情報を統合し、医師やスタッフが手術の進行や患者の状況をリアルタイムで把握しながら治療を行うことが可能となる。これに対応した手術用トレーニングシミュレータでは、人体に近似したX線、CT、MRI造影性が重要な要素となる。今後は、ロボット支援手術やスマート治療室に適応した手術用トレーニングシミュレータの開発に注力する予定である。

実用化・事業化にあたっての課題

今後は、脳神経外科に限らず泌尿器科や消化器外科などの多分野の医師が求めている様々な病変に対応したモデル開発が必要であり、このニーズに対応した製品開発のためには、弾性体の力学評価基礎技術が重要な役割を担うことになる。

事業化に向けた提携や連携の希望

この技術を基本として各社医療機器メーカーからの提携や連携を希望している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 ウェトラブ株式会社
事業管理機関 学校法人龍谷大学 龍谷大学 龍谷エクステンションセンター
研究等実施機関 学校法人龍谷大学 龍谷大学先端理工学部・田原大輔、辻上哲也、中沖隆彦
アドバイザー 天神博志、森田明夫、グンゼメディカル株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 ウェトラブ株式会社(法人番号:8120001170153)
事業内容 プラスチック製品製造業
社員数 20 名
生産拠点 研究室(滋賀県・龍谷大学龍谷エクステンションセンター内)
本社所在地 〒520-0248 滋賀県大津市仰木の里東1-17-17
ホームページ http://www.wetlab.jp/
連絡先窓口 岡野 仁夫
メールアドレス info@wetlab.jp
電話番号 077-543-7818