測定計測
近接目視では点検しにくいダムや橋梁などのインフラ点検を画像による点検で効率の向上を目指し、画像を取得するために必要な機能を持ったUAVの飛行機能を開発し、将来の省人化に向けた社会課題を解決したい
広島県
株式会社計測リサーチコンサルタント
2025年1月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 光学センサによる近接計測性能と画角再現性を有したインフラ点検UAVの開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 情報通信、建築物・構造物 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(使用機器削減)、低コスト化 |
キーワード | UAV 、インフラ点検技術 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
このプロジェクトでは、インフラ点検に特化したUAVの開発を進めている。特に、近接撮影機能の実現や画角再現機能を備えたドローンの開発に焦点を当てている。光学センサを全周囲に配置し、オプティカルフロー処理やステレオ計測技術を用いて、非GNSS環境下でも自己位置及び周辺環境を認識し、高精度な近接撮影を可能とする。また、過去の点検データを基に、前回と同じ位置・角度で再撮影する画角再現機能の開発も進めている。これにより、構造物の変状を正確に把握し、効率的な点検が可能となる。
開発した技術のポイント
・光学センサを搭載し、側方および後方10mまでの障害物検知機能を実装。
・自動航行と衝突防止を組み合わせ、1m以内の近接制御を可能にした。
・過去の点検データとマッチングし、前回と同じ位置と画角で撮影する技術を開発。
・特許(特許第7120587号「飛行体の姿勢制御方法および飛行体」)技術を用いて、飛行中も傾きを±2度以内に抑えることに成功
具体的な成果
近接撮影機能と画角再現機能の開発に成功した。障害物検知能力を備えたドローンは、1m以内の近接撮影を実現し、非GNSS環境下でも自動航行を可能にした。また、過去の点検画像と一致させることで、前回の点検位置での撮影再現を達成。さらに、水平姿勢を維持した飛行も可能となり、安全かつ効率的な点検が実現した。
知財出願や広報活動等の状況
(1). 発明の名称: 「飛行体の姿勢制御方法および飛行体」
登録番号: 特許第7120587号、登録日:2022年8月8日
(2). 発明の名称: 「飛行体および飛行体の制御方法」
登録番号: 特許第7333565号、登録日:2023年8月17日
研究開発成果の利用シーン
開発されたUAV技術は、ダムや橋梁といった大型インフラの点検に活用されることが期待されている。特に、近接撮影機能や画角再現機能は、従来の目視や作業員による点検と比べて、安全性と効率性が向上している。また、非GNSS環境下でも安定した飛行を実現できるため、地下や屋内のインフラ点検にも利用可能である。この技術により、点検コストの削減や点検精度の向上が見込まれている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
プロトタイプの開発を完了し、インフラ点検における実証実験を複数回実施している。特に、ダムや橋梁の点検において、UAVを活用した近接撮影および画角再現機能の有効性が確認されている。また、試作機の性能評価結果を基に、国内外の点検事業者や自治体と連携するため、SIPにも参画している。
ただし、現在の飛行プログラムは、原因不明の飛行事象が発生し、墜落のリスクが除去できないため、現在、事業化の目途は立っていない。
提携可能な製品・サービス内容
試験・分析・評価、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
オープンソースの飛行プログラムに問題あるものの、各種飛行機能を開発している。
開発技術は、精密な近接撮影と画角再現機能を備えている点が最大の強みである。特に、非GNSS環境下でも安定した飛行と撮影が可能であり、これにより、地下施設や屋内でのインフラ点検にも対応できる。また、光学センサを搭載した高度な障害物検知機能により、安全性が高く、従来の点検手法と比較して効率的かつ低コストでの運用が可能となっている。この技術は、点検業務における革新をもたらすものであり、幅広い市場での導入が期待される。
今後の実用化・事業化の見通し
施設管理者によるピンポイント飛行での画像撮影や、重要構造物での定量的評価実施などの要望がある。それらに柔軟に対応できるよう下記展開を考える。
・インフラ点検関連ビジネス
-非GNSS環境下において、近接・画角再現機能を有する機体はサポイン機のみであり、官からの点検受注もし易くなることから、官への営業にも軸足を置いた事業部運営
-現在インフラ点検に関する特許(クラック検出、ひずみ可視化デバイス)、その他サポインライセンスを所有している。契約上優位であれば機体メーカにライセンスアウトを考える。
・レーザ搭載用の機体製造販売
-水面下の地形計測向けに開発されたグリーンレーザを、特許技術(P7120587)を用いたサポイン機体に搭載することを検討。特許技術により常に水平を保ちながら飛行・計測が可能だが、機体の旋回がIMU計測に与える精度低下が課題。精度を保ちながら計測できる機体への需要が高く、契約条件次第で機体メーカーへのライセンスアウトも検討。
実用化・事業化にあたっての課題
オープンソースの飛行プログラムに問題あると思われるため、バージョン更新毎に飛行テストを実施。
開発技術についての課題もいくつかあるため、改良が必要。
・近接撮影能力の今後の課題
壁に1mまで近づいて撮影できる能力が得られたが、今後は近接時の速度制限と1m以上の接近防止機能の実装が課題である。
シームレス飛行能力の今後の課題
・GNSS環境と非GNSS環境の切り替えにおける自己位置推定と自己飛行の成功を確認。今後の課題は、非GNSS環境での自己位置推定の誤差を低減することである。
・画角再現能力の今後の課題
上下左右の画角再現飛行能力を達成。今後は前後の画角一致判定機能を実装し、機体制御を強化することが課題である。
・水平姿勢維持飛行能力については、水平姿勢を維持しての飛行能力を獲得。
事業化に向けた提携や連携の希望
現在の飛行プログラムは、原因不明の飛行事象が発生し、墜落のリスクが除去できないため、これを解決できる企業体との連携を希望。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社計測リサーチコンサルタント クリエイティブ事業部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人中国地域創造研究センター 産業創造部 事業支援グループ |
研究等実施機関 | 国立大学法人徳島大学 学校法人芝浦工業大学 |
アドバイザー | 有限会社 オリオール 一般社団法人 次世代無人航空機技術革新機構 ビックス株式会社 DAC株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社計測リサーチコンサルタント(法人番号:5240001003072) |
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事業内容 | 建設工事における情報化施工、社会基盤の維持管理(構造物診断・モニタリング)、環境計測、 防災・災害復旧、文化財の修復・活用支援、各種計測システムの開発・販売、新技術の開発など |
社員数 | 112 名 |
生産拠点 | 広島、東京、名古屋、大阪、九州 |
本社所在地 | 〒732-0029 広島県広島市東区福田1-665-1 |
ホームページ | https://www.krcnet.co.jp/ |
連絡先窓口 | 藏重 裕俊 |
メールアドレス | kurashige@krcnet.co.jp |
電話番号 | 082-899-5470 |
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