バイオ
世界で初めて術中迅速乳がんリンパ節転移診断キットをイムノクロマトキットとして開発する
東京都
株式会社ニッポンジーン
2025年1月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 病理医不足を解決し術中迅速診断にも対応できる、低コスト製造可能な「高精度乳がん転移診断キット」の開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、低コスト化 |
キーワード | 乳がん,転移,センチネルリンパ節生検,術中迅速診断,イムノクロマト |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和4年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、乳がんのリンパ節転移診断を手術中に迅速簡便に実施するイムノクロマトキットの製品化を目指す事業である。解決すべき課題として、製造ロット間の性能差の解消、臨床現場向け専用リーダーの開発、使い捨てタイプの専用ピンセットの設計、臨床性能試験の実施を行った。本キットは従来技術の課題を克服し、正確かつ簡便な診断を可能とするものであり、体外診断用医薬品の製造販売承認を得て事業化することを目指している。
開発した技術のポイント
・本イムノクロマトキットの特徴
- 操作が簡便
- 低コスト製造が可能
- 迅速に結果が得られる
- 病理検査との併用が可能で、医療施設での導入ハードルが低い
・診断精度向上のための取り組み
- キットの製造ロット間差を最小限とし、安定した製造を可能とする
- 自動判定可能な専用リーダーを開発する
- 使い捨てピンセットを開発する
・製造販売承認に向けた取り組み
- 臨床性能試験の実施
具体的な成果
・イムノクロマトキットの製造ロット間差検証
- ロット間差が少なく一定性能のキットを安定的に製造できることを確認
・専用イムノクロマトリーダーの開発
- リーダー単体での使用が可能(PC接続不要)
- 簡便な操作を実現
- 自動判定が可能
・使い捨てピンセットの開発
- 検体処理時のコンタミネーション防止を実現
・臨床性能試験の実施
- 臨床性能試験の研究計画書を策定
- 複数施設での検体収集を実施(事業終了後も継続中)
研究開発成果の利用シーン
乳がんと診断された患者のうち臨床的にリンパ節転移無しと診断された患者において、乳房から最初にリンパの流れがたどり着くセンチネルリンパ節を手術中に取り出すセンチネルリンパ節生検を行い、センチネルリンパ節へのがん転移状況を術中迅速病理検査にて診断し、転移状況に応じて周囲のリンパ節を郭清するか否かを判断する。本イムノクロマトキットは入割したセンチネルリンパ節を洗浄して得られた細胞のみを使用するためリンパ節組織の喪失がなく、センチネルリンパ節生検で実施する術中迅速病理検査と併用もしくは単独で使用されることが想定される。手術中にイムノクロマトキットにて判定を行い、判定結果をもとにリンパ節郭清の判断を迅速、簡便に行うことが可能となる。術中迅速病理検査と併用する場合、診断精度の向上と病理医の業務負担軽減が期待できる。また、単独で使用する場合は、病理医が不在であっても診断することができるため、より多くの医療施設で術中の乳がんリンパ節転移診断が可能となり、不必要なリンパ節郭清を避けることで患者のQOL向上に寄与できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化に向けては、体外診断用医薬品としての製造販売承認を得ることが必須課題である。そのため、臨床性能試験を継続して実施し、臨床的有用性を示すデータの収集を実施中である。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本イムノクロマトキットは、乳がんリンパ節転移の術中診断を迅速かつ正確に、そして低コストで実現する。病理検査と併用可能なため医療施設での導入ハードルが低く、専用リーダーによる自動判定や使い捨てピンセットの採用により診断精度も向上した。特に病理医が常駐していない医療施設など、これまでセンチネルリンパ節生検ができなかった施設でも、本キットにより術中リンパ節転移診断を実施することができることから、より多くの医療施設において正確な転移診断が可能となり、乳がん患者のQOL向上だけでなく病理医を含む医療従事者の負担軽減にも貢献することができる。
今後の実用化・事業化の見通し
事業期間後も臨床性能試験を継続し、目標検体数の収集が完了次第、統計解析と総括報告書を作成する。得られたデータを用いて体外診断用医薬品としての製造販売承認申請を行い、承認取得後に保険適用に向けた対応を行う。保険適用となった後、製造販売を開始する。乳がん罹患数の増加と診断ニーズの高まりを背景に、国内外での普及拡大を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
・臨床性能試験の完遂
・体外診断用医薬品製造販売承認申請
・保険適用に向けた対応
・販売網の拡充
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ニッポンジーン |
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事業管理機関 | 公益財団法人富山県新世紀産業機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人長崎大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ニッポンジーン(法人番号:3010001067737) |
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事業内容 | 遺伝子工学研究用試薬、体外診断用医薬品、検査・診断試薬の開発及び製造 |
社員数 | 145 名 |
生産拠点 | 医薬品富山工場(富山県)、診断薬事業所(富山県)、研究試薬事業所(富山県) |
本社所在地 | 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町一丁目5番地 金剛錦町ビル |
ホームページ | https://www.nippongene.com/ |
連絡先窓口 | 診断試薬部 山守 漠 |
メールアドレス | b-yamamori@nippongene.com |
電話番号 | 076-442-3611 |
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