複合・新機能材料
新たな高機能フィラー複合材の開発、自動車部品の軽量化やリサイクル化を実現
愛知県
GX MINERALS株式会社
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 少量充填CNF-形状制御タルクハイブリッドフィラーの開発と自動車部品への展開 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化) |
キーワード | フィラー,アスペクト比,軽量化,リサイクル化,ガラス繊維代替 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
PP複合材に利用されているタルクの品質向上と資源有効活用を目的に乾式粉砕製造プロセスの最適化により、板状粒子のタルクの板面長さと厚さ分布を高度に精密化した形状制御タルクを開発する。さらに、この形状制御タルクをCNFとハイブリッド化した複合材を開発することにより、高弾性率・高強度、高衝撃強度・高疲労耐久性、熱線膨張率の低減などの高性能・機能を持たせた環境適合複合材料を開発する。
開発した技術のポイント
・タルク原石の選定とその活用方法: 原石の分析・解析方法の確立と複合材での力学特性との相関関係を見いだした。
・タルク原石中に含まれる不純物除去方法の検討: 分級による粗粒、不純物の除去技術を確立した。
・高アスペクト比タルクの開発: タルクの相剥離を促進し、高アスペクト比(板面長さ/厚さ)の粉砕技術を確立した。
・CNF・形状制御タルクハイブリッド化複合材の作成と評価: 少量(1%以下)のCNFと、PA6の界面形成によるPPの耐熱化、低線膨張化技術の確立し、自動車部品に適用可能な複合材を開発した。
具体的な成果
・原石の分析・解析方法により複合材に適したタルク原石の選定が可能となった。
・不純物を多く含む原石の微粉砕品を分級することによりIg.lossは 9.2%から6.9%まで低減でき、複合材の力学特性向上に寄与することがわかった。
・高エネルギーで粉砕する乾式粉砕製造プロセスを確立し、粗粒を含まないアスペクト比20以上の形状制御タルクを開発することができた。
・二軸混練押出機による少量CNF/PP/PA6/形状制御タルク/ゴムのPP複合材の試作に成功し、電子染色透過型電子顕微鏡観察により高分散したCNFにPA6が界面形成し、PA6の繊維状のネットワーク構造を形成していることを明らかにした。
・自動車内装部品に適用可能な曲げ弾性率2.4GPa、衝撃強度10kJ/m2、線膨張率55ppmを満足するPP複合材を開発した。
(従来タルクとの比較)
知財出願や広報活動等の状況
本事業において国内学会発表4件、国際会議2件、論文2件を発表し、研究開発成果を各企業との共同研究だけではなく積極的に国内外にアピールした。また、本開発の事業化を視野にいれて5件を出願し、1件の基本特許(特許番号: 7320802、名称:タルク粉末、樹脂物性向上剤、樹脂組成物)が成立して本特許は海外出願を予定している。本事業開始前に本研究開発に関わる特許を3件出願し、すべての特許が成立している。以上のように本事業の開発成果を元に事業化に向けて系統的な特許戦略を行うことができた。
・特許番号: 7132562 名称: タルク粒子及びその製造方法、樹脂組成物
・特許番号: 7132571 名称: タルク粒子及び樹脂組成物
・特許番号: 7410482 名称: 樹脂組成物(CNFとタルク併用)
研究開発成果の利用シーン
自動車の内外装部品への利用を想定している。車体軽量化や衝突安全性向上のため、金属部品からプラスチック部品への代替が進んでいる。特に内外装部品では軽量化に加え、耐熱性、低線膨張性、高剛性などの特性が求められる。本研究開発成果である少量CNF/PP/PA6/形状制御タルク/ゴムのPP複合材は、これらの要求特性を満たすとともに、コスト面でも金属部品に対して優位性がある。またリサイクル性にも優れており、リサイクル化が難しいガラス繊維の置換えも可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
2026年初頭に愛知県田原市に形状制御タルクの製造工場を稼働開始し、自動車部品メーカーに販売開始予定。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本研究で高アスペクト比・低粗粒含有の形状制御タルクを開発し、PP複合材において従来材料では実現が困難であった高い力学特性と高い耐熱性、低線膨張性を兼ね備えている点が大きな特徴である。そして少量のCNFとPA6の界面形成によるPPマトリックスの改質技術を確立し、モデル金型にて射出成形性、並びに塗装性も問題なかったPP複合材の自動車部品の軽量化、リサイクルPPのリサイクル化、金属代替が進む自動車部品等、様々な部品への展開が可能。
今後の実用化・事業化の見通し
自動車部品メーカー、家電部品メーカーと共同開発を開始し実装評価、並びに新たなニーズの掘り起こしを進めている。形状制御タルクの需要増加が見込めるため、2028年頃 国内外に大型工場の稼働開始を計画している。
実用化・事業化にあたっての課題
本研究で開発した形状制御タルクは、従来タルクに比べ嵩比重が2倍以上であるため、粉体製造プロセスに新たな工夫が必要である。
事業化に向けた提携や連携の希望
形状制御タルクの品質管理について確立した手法を実用化する必要があるため、分析評価機関、並びに機器メーカーとの連携を希望する。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 林化成株式会社 富山NPF研究所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人富山県新世紀産業機構 |
研究等実施機関 | 公立大学法人富山県立大学 工学部 機械システム工学科 富山県産業技術研究開発センター ものづくり基盤技術課 |
アドバイザー | 株式会社宏和化成工業所 株式会社タカギセイコー |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | GX MINERALS株式会社(法人番号:6180301037404) |
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事業内容 | GXを推奨する高機能フィラーの開発・製造・販売、高機能フィラーを複合化した樹脂材料の開発・製造・販売 |
社員数 | 9 名 |
生産拠点 | 田原工場(愛知県) |
本社所在地 | 〒444-0860 愛知県岡崎市明大寺本町1-24ビューハウス22 1F |
ホームページ | https://www.gxminerals.com/ |
連絡先窓口 | DIA事業本部 事業開発・企画部 坂本 裕也 |
メールアドレス | yuya.sakamoto@gxminerals.com |
電話番号 | 0766-92-2788 |
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