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情報処理

熟練者の技をデジタル化!視線検出で目視検査DX推進

新潟県

株式会社ガゾウ

2025年1月24日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ものづくり現場の目視検査員の技能DXを推進する据置型視線検出装置の研究開発
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、産業機械、工作機械、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、高効率化(健康経営)
キーワード 視線検出,目視検査,技能継承,技量の可視化,暗黙知の形式知化
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要
完成した装置全景

製造現場における外観検査工程の自動化が困難な中、目視検査工程の効率化が課題となっている。従来の眼鏡型視線検出装置には、検査対象物の位置検出ができない、身体的負担が大きい、操作が煩雑であるなどの問題があった。これらの課題を解決するため、周辺視目視検査法による技能伝承や検査効率化を目指し、据置型視線検出装置の開発を行った。3年間の研究開発では、6つのサブテーマを設定し、注視点と検査対象物の三次元位置同時取得、視標1点による座標較正、眼鏡着用者対応の角膜反射差分位置補正法、二次元・三次元形状の検査対象物に対応する計測技術などの開発を進めた。これにより、従来の課題解決を目指した新たな視線検出装置の実現を図った。

開発した技術のポイント
動作中の装置の画面

・注視点と検査対象物の三次元位置の同時取得を可能とするアルゴリズムを開発した。
・視標1点による座標較正を可能とするアルゴリズムを開発した。
・眼鏡着用者に対応可能な、明瞳孔画像を基準画像とする角膜反射差分位置補正法を用いた新たなアルゴリズムを開発した。
・二次元形状及び三次元形状の検査対象物に対応可能な計測ソフトウエアを開発した。

具体的な成果

本研究開発プロジェクトでは、6つのサブテーマで具体的な成果を達成した。主な成果は以下の通りである。
・ 瞳孔検出及び角膜反射検出カメラ用組込みソフトウェア: 立位700mm、座位400mmの視野範囲を実現
・ 注視点検出ソフトウェア: 立位検査で1.4mm、座位検査で2.4mmの分解能を達成
・ 1点注視較正ソフトウェア: 0.94秒以内の較正時間を実現
・ 検査対象物の形状に制約されない計測ソフトウェア: 二次元・三次元形状に対応
・ 装置の設計・試作及びソフトウェアの組込み: 最終試作装置を完成
・ 実証評価とフィードバックによる改良: 実際の検査対象物を用いて実施

開発した据置型視線検出装置は、精度・作業姿勢の制約を受けにくく、検査対象物の位置検出機能を持ち、低コストという特徴を有している。

視線検出結果の表示画面1
視線検出結果の表示画面2
知財出願や広報活動等の状況

「視線分析システム、視線分析方法及びトレーニング方法」として特許出願する予定

広報活動等の状況1
広報活動等の状況2
研究開発成果の利用シーン

開発された据置型視線検出装置は、従来の目視検査の課題を解決し、以下のような利用シーンが期待される。
・ 目視検査員の技能伝承: 熟練検査員の視線データを可視化し、新人への効果的な指導を支援
・ 目視検査の効率化: 視線の動きを分析し、無駄を省いた効率的な検査手順を確立
・ 目視検査の品質向上: 視線データの記録・分析により、ヒューマンエラーを減少させ、検査品質を向上
・ 新製品開発: 試作品評価に活用し、ユーザーの視線から使いやすさや問題点を分析
・ 産業用メタバースの入力デバイス: 仮想空間での作業者の視線を検出し、直感的な操作を実現
・ 行動心理学への応用: 視線データから人の行動や心理状態を分析し、マーケティングなどに活用

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

研究開発事業完了後、2年目より設備投資を行い、年間180台の生産体制を確立する計画である。完了後3年以内に川下企業、川中から川上企業向けの販売を開始する予定である。販売価格は1台当たり300万円を想定しており、令和10年度には売上高5億4,000万円を見込んでいる。さらに、装置導入時のコンサルテーションサービスも事業化し、令和8年度から1社当たり年間200万円の収入を想定している。これらの計画により、開発した据置型視線検出装置の事業化と収益化を図り、ものづくり産業における目視検査工程の効率化と技能伝承の促進に貢献することを目指している。

提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

開発された据置型視線検出装置は、従来の目視検査の課題を解決する革新的な製品である。高速三次元計測画像アルゴリズムにより検査対象物の位置検出が可能となり、注視点と検査対象物の同時取得、簡便な座標較正を実現した。視標1点による較正と眼鏡着用者対応アルゴリズムにより、高精度な視線検出を達成している。二次元・三次元形状の検査対象物に対応し、多様な製品検査に適用可能である。周辺視目視検査法に最適化されており、検査員の負担軽減と効率向上を両立させる。また、熟練検査員の視線データを可視化し、効果的な技能伝承を支援する。200万円から600万円の低価格帯で提供され、導入サポートも充実している点も特筆すべきPRポイントである。

今後の実用化・事業化の見通し

本研究開発で開発された据置型視線検出装置は、精度・作業姿勢の制約を受けにくい点、検査対象物の位置検出機能、低コストの3点で従来製品や競合技術と比較して優位性を持つ。事業完了後3年以内に川下企業、川中から川上企業への販売開始を予定している。年間180台の生産体制を確立し、200万円から600万円の価格帯で川下大手500社、川中・川上約30,000社を販売先として見込んでいる。また、株式会社ガゾウAXを設立し、装置導入時の改善提案・コンサルテーションサービスも提供予定である。さらに、国内大手自動車メーカーや自動車部品メーカー、切削工具メーカーへのサンプル出荷・デモンストレーションも計画しており、幅広い市場での実用化・事業化を目指している。

実用化・事業化にあたっての課題

第一に、製造ラインへの導入に向けて、ARマーカーの添付の簡略化が必要である。これに対し、三次元測距センサーとCADデータを活用し、ARマーカーの不要化を目指している。
第二に、顧客の既存作業台への導入が困難であることが判明した。対策として、モジュール販売から作業台ごとの販売へ方針を転換し、必要に応じて外注でのカスタマイズを検討している。さらに、競合の出現や目視検査市場の縮小といった懸念点も存在する。これらの課題に対し、継続的な研究開発、市場調査、顧客ニーズへの対応策を講じていく必要がある。
これらの取り組みにより、実用化・事業化の成功を目指している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社ガゾウ
事業管理機関 公益財団法人にいがた産業創造機構
研究等実施機関 国立大学法人静岡大学
アドバイザー AGC株式会社
株式会社キーレックス
周辺視目視検査研究所
大阪工業大学
篠田正行中小企業診断士事務所
新潟県工業技術総合研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社ガゾウ(法人番号:9110001032097)
事業内容 USBカメラ開発、画像処理ソフト開発、視線解析システム開発
社員数 10 名
本社所在地 〒950-0964 新潟県新潟市中央区網川原2-44-13 3F
ホームページ https://www.gazo.co.jp
連絡先窓口 代表取締役 金田篤幸
メールアドレス atsuyuki-k@gazo.co.jp
電話番号 025-282-7212