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測定計測

誰でも簡単に使えて、短時間で検査でき、低価格な高速通信用ワイヤハーネスの自動検査技術の実用化

東京都

株式会社シーデックス

2025年1月29日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 自動車向け高速通信用ワイヤハーネスの検査装置の開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 環境・エネルギー、自動車、情報通信、半導体、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード ワイヤハーネス,高速差動通信,Sパラメータ,車載イーサネット,ネットワークアナライザ
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

・6ポート型ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)の広帯域化と高周波化の研究
・ワイヤハーネス検査システムの研究開発
これらの研究を通じて、低コストで高性能なVNAの開発と、自動車生産現場で適用可能な高速ワイヤハーネス検査技術の開発を目指した。

展示会パネルとデモ機
開発した技術のポイント

高速車載Ethernet用ワイヤハーネスの検査装置の実用化を目指し、2つの研究テーマを柱とした開発を行った。
・6ポート型ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)の広帯域化と高周波化の研究開発
-6GHz帯、10GHz帯、28GHz帯で簡明型6ポートコリレータを開発した
-固定減衰器切替えによる測定ダイナミックレンジ拡幅技術を確立した
-QPSK変調信号を用いた透過測定技術を確立した
-2.92mm同軸TRL/LRL校正器を開発した
-量産試作型6ポート型VNAの開発では、低コスト化を目指し各種モジュールを開発した
・ワイヤハーネス検査システムの研究開発
-合格品との特性比較による検査方法を実証した
-フル2ポートVNAで差動ケーブルを検査する技術を確立した
-1ギガビットイーサネット用とマルチギガビット用の差動治具を開発した
-車載Ethernet用ワイヤハーネスの自動検査装置を試作した
これらの成果により、高速車載Ethernet用ワイヤハーネスの検査技術の実用化に向けて大きく前進した。

具体的な成果

・6GHz帯、10GHz帯、28GHz帯の簡明型6ポートコリレータを開発した。
・透過測定において、振幅特性、位相特性共にダイナミックレンジ40デシベルを達成した。
・2.92ミリメートル同軸TRL/LRL校正器を開発し、市販VNAでの使用を確認した。
・QPSK変調信号を用いた透過測定技術を確立し、特許を取得した。
・低誘電体基板材とFR-4基板材を積層したミリ波モジュール用プリント基板の特性を改善した。
・シンセサイザや非線形伝送線路を使ったミリ波信号源を開発した。
・28ギガヘルツ帯で-70デシベルミリワット程度までの電力測定技術を開発した。
・40ギガヘルツまで動作する各種基板を開発し、6ポート型VNA試作器に組み込んだ。
・良品と被検査物の特性比較による合否判定手法を確立した。
・車載イーサネット用ワイヤハーネス検査装置のデモ機を開発した。
・2ポートVNAで差動ワイヤハーネスを検査する技術を開発した。
・1ギガビットイーサネットやマルチギガビット用ハーネスに短時間で接続できる治具を開発した。

SPC_VNA用ミリ波モジュール
ミリ波VNA試作器
TRL校正器
知財出願や広報活動等の状況

基本特許は出願済み
・特願2022 150203:「計測装置及び計測システム」発明者:時田幸一(都産技研)他3名 内容:6ポートコリレータを用いた計測装置及び計測システムで計測ダイナミックレンジの拡張と測定精度向上に関する発明
・2023 180287「6ポート型測定器および測定装置」発明者:吉田信(シーデックス)、他3名 内容:QPSK等の変調信号を基準信号源に用いた測定器および測定装置に関する発明
広報活動
・2023年10月 電子情報 通信学会マイクロ波研 究会で口頭発表
「VNAの測定不確かさ分析とオフセット・ライン校正器の開発」
・2023年12月 電子情報 通信学会マイクロ波研 究会で口頭発表
「QPSK変調信号を基準信号源に用いた透過係数の測定」
・2024 年 1 月 電子情報 通信学会マイクロ波研 究会で口頭発表

研究開発成果の利用シーン

・NLTLを使ったミリ波信号源
-6ポート側VNA の基準信号源を実験用と向け等の信号発生器単体として製品化して事業化を計画する
・6ポート型VNA
-携帯電話等の生産現場におけるパワーアンプやビームフォーマデバイスの透過特性解析、調整
-ミリ波の利用や研究開発における安価なミリ波信号源としての活用
・差動測定治具
-EMC試験等では、隣接する差動線路への影響評価が必要で、最低でもテストポート数が6以上のVNAが必要となる評価がある。テストポート 数が4ポートの市販VNAと差動測定治具を用いると信号線と隣接する差動線路を評価できるので、本製品のみを単独で製品化して事業化を目指す。
・ワイヤハーネスの検査装置
現在、生産されている1GbE用のワイヤハーネスは、納入先によっては無検査を採用している場合もあるが、 10Gbpsのマルチギグでは、最低限の検査は必要とされているので、 10Gbpsのマルチギグの実用化に合わせて、ワイヤハーネスの検査装置を開発し、事業化を目指す。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

6ポート型VNAについては、NLTLを使ったミリ波信号源の実験用・製品化に向けた開発を継続するとともに、QPSK変調信号を用いた透過測定が可能な6ポート型VNAの製品化を計画している。さらに、ライセンス供与や技術供与による事業化も検討中である。ワイヤハーネス検査システムに関しては、差動測定治具の単体製品化を進め、10ギガビット毎秒のマルチギガビット実用化に合わせてワイヤハーネスの検査装置を開発し、事業化を目指している。また、6ポート型VNAと組み合わせた安価な検査装置の実用化を推進する。これらの取り組みにより、低コストで高性能な測定・検査装置の実現を目指し、市場ニーズに応える製品開発を進めていく。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・6ポート型VNA
-低コスト: 従来のVNAよりも安価に導入可能
-高精度: 市販VNAに匹敵する測定精度を実現
-広帯域・高周波:最大40GHzまでの測定が可能
-変調信号対応: QPSK等の変調信号を用いた測定が可能
・ワイヤハーネス検査システム
-高速・高精度: 高速車載Ethernet用ワイヤハーネスの検査に対応
-簡単操作: 専門知識が不要で、短時間の職業訓練で扱える
-低コスト: 安価な2ポートVNAでも検査可能

ハーネス検査装置デモ機
今後の実用化・事業化の見通し

・6ポート型VNA
-6ポート型VNAに関しては、ミリ波の利用拡大や研究開発の進展に伴い、安価なミリ波信号源の需要が高まっており、早期の事業化が期待されている。また、携帯電話等の生産現場では、変調信号を用いた測定のニーズが高まっており、6ポート型VNAの市場性は高いと考えられる。
・ワイヤハーネス検査システム
-ワイヤハーネス検査システムについては、10ギガビット毎秒のマルチギガビット実用化により、高速車載イーサネット用ワイヤハーネスの需要が拡大すると予想されるため、それに伴い検査装置の市場も拡大する見込みである。

実用化・事業化にあたっての課題

・6ポート型VNA
-周波数スイープ技術、GUI、マシン・インターフェイス、校正プログラム等のソフトウェア開発が必要である。また、電源回路やA/D変換回路など、高周波/ミリ波モジュール以外のユニット開発も課題となっている。さらに、製品化に必要な生産技術の開発や安価な変調信号源の開発も進める必要がある。
・ワイヤハーネス検査システム
-マルチギガビット用検査治具の安定性向上と検証データ収集が課題となっている。加えて、様々な市販VNAに対応した自動検査プログラムの開発も必要である。

事業化に向けた提携や連携の希望

社内の開発リソース等の関係もあり、自社での事業化に拘りませんので、製品化に向けて以下のような提携や連携を希望します。
・基本技術に関する技術供与先との連携(供与先での事業化、製品化)
・応用技術に関する技術供与先との連携(電波到来角推定、変調信号による計測技術)
・高速差動通信用ワイヤハーネス等の検査治具の取扱い先(代理店等)との連携
・事業に取り組む中で確立した派生技術(高周波向けの積層基板、VNA計測全般、他)の転用等についての連携

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社シーデックス システムG
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
アドバイザー 株式会社東陽EMCエンジニアリング
宇都宮大学
株式会社TOTOKU
キーサイト・テクノロジー株式会社
公益財団法人電磁材料研究所
電気通信大学
産業技術総合研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社シーデックス(法人番号:4013401001883)
事業内容 RFIDやIoT機器等の自社製品の開発と販売、電子機器の受託開発事業、技術者派遣事業
社員数 50 名
本社所在地 〒206-0804 東京都稲城市百村1623-1 パストラルハイム稲城ビル2F
ホームページ https://www.cdex.co.jp/
連絡先窓口 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター企画部開発企画室外部資金係
メールアドレス Kyoso@iri-tokyo.jp
電話番号 03-5530-2528