測定計測
スクリーニング分析用質量分析装置・技術の開発によりサイレントチェンジによるトラブル発生を低減!
兵庫県
株式会社神戸工業試験場
2022年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | サイレントチェンジ対策;スクリーニング分析用質量分析装置・技術の開発研究 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、産業機械、食品、エレクトロニクス、化学品製造、物流・流通 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、低コスト化 |
キーワード | サイレントチェンジ、スクリーニング検査、一次評価技術、分子量計測、質量分析装置 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成28年度~平成30年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
工業材料分析として、従来、技術的に欠落していた有機化合物の一次評価技術・装置を開発する。経済のグローバル化の進展に伴い、輸入原材料・製品の含有成分や組成が知らないうちに変わること(サイレントチェンジ)によるトラブル事例が増加している。本技術開発により、迅速・簡便且つ低コストに工業材料等の品質チェックを効果的に行うことが出来るため、企業のCSR対策や安心・安全な製品づくりに資する技術開発となる。
開発した技術のポイント
工業材料の一次評価用のスクリーニング分析装置の開発を行った。
・工業材料中の有機化合物を分子量情報として、網羅的に検出可能な検査装置
・工場等での現場ユースを想定した簡易操作性、メンテナンス性を志向
・汎用的な検査装置として低コスト化、低ランニングコスト化を志向
・ガスクロマトグラフィーのような成分分離手段なしに、固体試料も直接分析可能なシステム:ダイレクトインレットプローブ-質量分析法(DIP-MS)型装置
・RoHS指令に係る樹脂中の臭素化難燃剤やフタル酸エステル類の分析法の国際規格(IEC62321-6:2015, IEC62321-8:2017)において、参考法に記載された一次スクリーニング法に対応するだけでなく、より広範な有機化合物の検査が可能なシステム
具体的な成果
・工業材料の一次評価用のスクリーニング分析装置の開発
‐有機化合物を分子量情報として網羅的に検出可能(分子量:1000程度まで)
‐1測定は10min程度以内。定性~定量分析が可能
-マルチイオン源搭載により、分子量計測に加えて、各イオン源の特性に応じたスペクトルデータを相互補完的に利用する事で成分同定精度が向上
・試料セル作製技術の開発
‐DIP-MS型装置では従来測定困難であった低~中沸点レベルの有機化合物も分析対象に拡大
‐簡易的な校正用試料作製が可能
・ライブラリ収録
‐樹脂添加剤として253種類の化合物のスペクトルデータを収録
知財出願や広報活動等の状況
・知財出願
-試料セル作製技術について国内特許申請中(特願2018-527472 「質量分析方法」)
・広報活動等
-公益社団法人日本分析化学会にスクリーニング分析研究懇談会を設立し、開発技術を含めた関連技術の情報発信・技術普及の場として講演会を開催している。同講演会は今後も継続的に行う計画であり、関連業界での情報発信力を高め、技術普及の後押しをするために活用する。
-開発装置に係る査読付き論文への投稿を進めており、最近も1件の論文が受理されている:ダイレクトインレットプローブ−イオン付着イオン化TOFMSによるポリオールエステル油製品の組成解析,BUNSEKI KAGAKU, 68(2), 117-124, 2019.。
研究開発成果の利用シーン
工場や流通過程での各種原材料・製品の品質検査を行う工業材料分析装置。規制対象成分や効能成分の含有量のスクリーニング検査を行う事で、サプライチェーン管理を適正化できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
現在、開発したスクリーニング分析用質量分析装置(コンセプトモデル機)を製作する分析装置メーカー候補に製品化の打診を進めているところである。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・迅速・簡便に様々な有機化合物を分子量毎に網羅的に検出可能
・サプライチェーンにおいて、供給原料・素材が知らない間に変更された場合も、その変化を検知可能(サイレントチェンジ対策)
・質量分析装置でも供給がひっ迫しているヘリウムガス不要。窒素ガスあるいはドライエアーは不要。
・窒素ガス供給装置を使用する場合、100V電源があれば運転可能。
今後の実用化・事業化の見通し
・開発装置を製品化するには、商用ベースで市場に投入するための製品化開発が必要である。
-トラブル回避のための安全機構の追加
-検査工程の自動化・省力化の入り口としてオートサンプラーの開発
・株式会社神戸工業試験場では、今後の事業化をスムーズにするため、以下の取組みを行っている。
-試料セル作製の際に使用する消耗材(樹脂コーティング材料)の供給体制の準備
-オープンラボ(台東区上野)に開発装置を設置し、デモ分析や共同研究などに対応
-開発装置の前身となる質量分析装置による原料・製品のスクリーニング分析の受託分析サービス化
事業化に向けた提携や連携の希望
・スクリーニング分析用質量分析装置(コンセプトモデル機)の製造・販売に加えて、保守サービス体制もグローバルに展開できる分析装置メーカーからの製品化
・開発装置を含むスクリーニング分析装置による用途開発や、自社品質管理体制への導入検討を進めたい企業との共同研究などでの連携
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社神戸工業試験場 |
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事業管理機関 | 一般社団法人研究産業・産業技術振興協会 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社神戸工業試験場(法人番号:1140001014570) |
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事業内容 | [L]学術,専門・技術サービス業/[74]技術サービス業工業材料の材料試験・化学分析などを中心とした受託分析検査サービス、研究及び開発支援技術者派遣 など |
社員数 | 395 名 |
生産拠点 | 播磨事業所(兵庫県)、茨城事業所(茨城県) |
本社所在地 | 〒675-0155 兵庫県兵庫県加古郡播磨町新島47-13 |
ホームページ | https://www.kmtl.co.jp/ja/ |
連絡先窓口 | 生産本部 技術開発部 技術企画室三島有二 |
メールアドレス | y-mishima@kmtl.co.jp |
電話番号 | 03ー3843ー5691 |
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