IoT技術を利用した多面パレット加工ラインによる世界で初めての中型の高強度・高耐久性の円弧歯すじ歯車製造の自動化技術の確立
千葉県
株式会社イワサテック
2025年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高速鉄道用高強度・高耐久性円弧歯すじ歯車の設計と革新的自動化製造技術の開発 |
---|---|
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、ロボット、鉄道車両 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高性能化(高強度・低騒音・低振動)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 高強度、高耐久性、低騒音、低振動、自動化技術 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
近年陸上輸送の主役となる鉄道産業では、車輌の駆動に使用される歯車箱の高強度化・高耐久性かつ低騒音・低振動化が強く求められている。従来歯車箱にはヘリカルギヤが用いられているが、運転時に軸方向にスラスト力が発生することにより軸受損傷の原因となるため定期的に交換が必要になる。そこでスラスト力が発生せず、より静粛な円弧歯すじ歯車の設計と革新的自動化製造技術の開発を行うことにより市場要求に応え、事業化する。
開発した技術のポイント
1.円弧歯すじ歯車の基本諸元決定法の確立
・創成理論に基づいた無負荷時の歯当たり解析プログラム(TCA)の開発
・最新のCAEによる負荷時TCAによる最適歯面修整方法の検討及び強度計算
2.マシニングセンタによる加工法の開発
・創成原理に基づいた粗歯切り及び歯面研削用マシニングセンタNCデータの生成
・仕上歯面研削用カップ型CBN電着砥石の設計・製作
・粗歯切り用カップ型フェースミルカッターの設計・製作
3.マシニングセンタによる円弧歯すじ歯車の自動化製造技術の開発
・粗歯切りと仕上歯面研削の自動化加工システムの構築
・パレットチェンジ時のワーク芯ずれを補正するプログラムの開発
・高精度,高強度の円弧歯すじ歯車の試作・品質評価
具体的な成果
現行のヘリカルギヤと交換可能な円弧歯すじ歯車の基本諸元を決定した。
歯車強度を従来のヘリカルギヤの10%以上の高強度化を実現した。
マシニングセンタ用の粗歯切りと仕上研削加工のNCデータを生成した。
歯車諸元に基づきカップ型CBN電着砥石の設計・開発を行った。
表面粗さ目標値:Ra0.6以下を達成した。
加工時間目標値:720minから240minに短縮した。
マシニングセンタで10面APCを2基構築した場合、4set*25日/月=100set/月の生産能力を達成した。(従来の2倍以上)
今回開発するマシニングセンタによる円弧歯すじ歯車の自動化製造技術により、高精度,高強度の円弧歯すじ歯車が高精度(研削焼けが無いこと、ピッチ精度:JIS0級、歯当たりに影響を及ぼさない形状公差、歯面四隅形状公差:±0.030mm)で加工できることを確認した。また、自動歯面研削焼けのチェックを行う技術を確立した。高強度化については既に試作で川下からの良好な評価を頂いているため、今回全ての技術目標値が達成することで実用化を立証した。
知財出願や広報活動等の状況
2019年3月8日に、川下会社である東洋電機製造と共同で「円弧歯すじ歯車を鉄道車輌用歯車箱に使用する」件で国際特許を申請。
国際出願番号:PCT/JP2019/009421
研究開発成果の利用シーン
今回の研究開発成果である円弧歯すじ歯車は、鉄道用駆動装置への活用が主な利用シーンとなる。この技術は、鉄道車両の駆動装置において省メンテナンス、高耐久性、低騒音・低振動を実現するもので、特に高速鉄道や通勤電車、地下鉄などの厳しい条件下での運用に適している。また、鉄道以外にも、航空機、船舶、産業機械、EV車などの分野にも展開が期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
円弧歯すじ歯車の試作品は既に大手鉄道会社へサンプル出荷を行い、実証試験を通じて本技術の有効性を立証。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、素材・部品製造、試験・分析・評価、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
世界で初めての中型の高強度・高耐久性の円弧歯すじ歯車製造の自動化技術を確立。その結果、高品質かつ耐久性(メンテナンスが少ない)の高く、生産性が高い(40set/月→100set/月以上)円弧歯すじ歯車の開発・製造を実現し、鉄道用歯車箱に円弧歯すじ歯車を搭載し、実用化を可能とした。
今後の実用化・事業化の見通し
販売促進戦略としては、既存の歯車箱のメンテナンス時に歯車だけを本サポインで開発した円弧歯すじ歯車に置き換えて行くことにより、低コストで短期間に顧客のメリットとなると考える。また、海外展開として、日本の川下会社を通じて世界トップメーカーである中国中車に10セットの円弧歯すじ歯車のサンプルを出荷。その実走・評価には2,3年かかると思われるが、採用されれば膨大な受注が期待できる。
実用化・事業化にあたっての課題
既に川下企業との間で、既にサンプル出荷を行っている。一方、社会・市場ニーズは、コロナなどの影響で世界的に激動しており、昨年同様販売窓口であるオブザーバーと密に連絡・連携をとり注意深く見守っていかなければならない。それらに応じて技術動向の修整もしていく必要があると考えている。
事業化に向けた提携や連携の希望
既に国内外の川下との連携が出来ているので、現在は提携や連携希望はない
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社イワサテック |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人千葉県産業振興センター |
研究等実施機関 | 公立大学法人三条市立大学 |
アドバイザー | 株式会社恵美須屋工具製作所 京都ダイヤモンド工業株式会社 オークマ株式会社 千葉県産業支援技術研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社イワサテック(法人番号:1010601020436) |
---|---|
事業内容 | 金属製品製造業 |
社員数 | 32 名 |
生産拠点 | 本社工場(千葉県) |
本社所在地 | 〒273-0014 千葉県船橋市高瀬町62-4 |
ホームページ | http://www.iwasa-tech.com/ |
連絡先窓口 | 代表取締役社長 辻勇 |
メールアドレス | tsuji-tech136@dream.jp |
電話番号 | 047-420-0028 |
研究開発された技術を探す