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複合・新機能材料

生体吸収性粉剤と医療用接着剤からなる、自己硬化型の「生体内で骨置換される人工骨セメント」の開発

千葉県

株式会社福山医科

2025年1月30日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 人工関節置換術への応用を指向した生体吸収性骨セメントの開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)
キーワード 医療機器,人工骨補填,骨折治療
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

このプロジェクトでは、β型リン酸三カルシウム(β-TCP)セラミックス粒子とシアノアクリレート医療用接着剤を用いた「生体内で吸収され、骨に置換される骨セメント」を開発する。ケイ素イオンの導入で重合反応時間を調整し、術中に必要な可使時間を確保する技術を実現する。さらに、抗菌剤を含むβ-TCP粒子で術後感染症のリスクを低減し、長期的なインプラントの固定力を向上させることを目指している。

開発した技術のポイント

・高機能化β-TCP系粉剤による重合反応制御技術と抗菌性付与技術の開発
-多孔質球状β-TCP粉剤の最適化と生体吸収性骨セメントの重合反応制御
-多孔質球状β-TCP系粉剤への抗菌剤の担持プロセスの開発
-多孔質球状β-TCP系粉剤の量産化技術の開発
・生体吸収性骨セメントによるインプラント固定技術の開発
-異なる粘性のシアノアクリレートの混合比率最適化
-固定技術向上のための生体吸収性骨セメントの開発
-模擬骨を用いたインプラントの初期固定性能の検証モデル構築
-実験動物を用いた生体吸収性骨セメントの中・長期固定性能の検証モデル構築
・重合反応制御可能な混合・注入デバイスの開発
-生体吸収性骨セメントの混合・注入デバイスの開発
-β-TCP系粉剤およびシアノアクリレート液剤を安定的に反応制御できる粉剤・液剤キットの開発

具体的な成果

・高機能化β-TCP系粉剤による重合反応制御技術と抗菌性付与技術の開発
-生体吸収性骨セメントの重合反応温度・時間を45℃以下、20分に制御。
-生体吸収性骨セメントが24時間以内にグラム陽性菌への抗菌性を発現可能な抗菌剤濃度を決定。
-1ロットの粉剤を2週間以内に安定的に量産可能な製造技術を確立。
・生体吸収性骨セメントによるインプラント固定技術の開発
-100Pa・s^-1の粘性となるシアノアクリレート系の混合比率を確立。
-JISおよびISO規格に準じた生体吸収性骨セメントの強度特性を実証。
-従来のセメント固定の初期固定強度3000N以上を実証。
-実験動物で中・長期固定性能試験モデルを構築し、生体吸収性骨セメント周囲でのイングロース・オングロースによる新生骨形成を実証。
・重合反応制御可能な混合・注入デバイスの開発
-ヒト握力300N程度で注入可能な生体吸収性骨セメントの混合・注入デバイスを開発。
-12ヵ月の保管を可能にする粉剤・液剤キットの開発。

研究開発成果の利用シーン

本開発された生体吸収性骨セメントは、インプラントの初期固定性能に優れ、中・長期的にゆるみを防ぐ技術である。この技術は、整形外科領域だけでなく、歯科領域にも応用が期待されており、特に抜歯即時埋入インプラントへの利用が考えられている。また、骨折の整復や骨接合術支援システムにおいても、金属プレートやスクリューとの組み合わせによる適応拡大が期待されている。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

生体吸収性骨セメントの技術は確立し、PMDAへの薬事申請のための具体的な相談を行っている。承認後の安定供給や製造コストの改善、さらに川下ユーザーへの技術普及や臨床成績の積み重ねといった課題も残っており、それらを解決して事業化を進めていく必要がある。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造

製品・サービスのPRポイント

生体吸収性骨セメントは、インプラントの初期固定性能に優れ、中・長期的なゆるみを防ぐだけでなく、術後感染症のリスクも抗菌剤の徐放技術で低減する。また、45℃の低温で硬化し、20分の可使時間を持つため、術中の扱いやすさも大きな特徴である。

今後の実用化・事業化の見通し

歯科領域において、生体吸収性骨セメントの高い固定性能を利用してインプラントを支える特徴を利用して、抜歯即時埋入インプラントなどへ波及できる可能性がある。さらに、骨折などでの骨の整復および骨接合術支援システムで、金属プレートとスクリューによる固定に生体非吸収性骨セメントの適応拡大の可能性も期待されている。

実用化・事業化にあたっての課題

今後のPMDAへの薬事申請の相談中、承認後の安定供給、製造コストの改善、川下ユーザーへの本開発技術の普及と臨床成績の積み重ねを行う必要がある。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社福山医科
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 千葉セラミック工業株式会社
株式会社藤井製作所
ハムリー株式会社
学校法人千葉工業大学
学校法人埼玉医科大学
アドバイザー 東亞合成株式会社
新潟リハビリテーション病院
神奈川歯科大学
東京大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社福山医科(法人番号:8040001006522)
事業内容 医療機器・医療用材料販売、医療機器の修理、在宅ケア用品・ストーマ用品販売、高度管理医療器機等販売業・賃貸業、医療機器の製造・販売
社員数 116 名
本社所在地 〒264-0004 千葉県千葉市若葉区千城台西11
ホームページ https://fukuyamaika.co.jp/
連絡先窓口 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 開発本部 開発企画室
メールアドレス kaihatsu@iri-tokyo.jp
電話番号 03-5530-2528