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複合・新機能材料

自由度の高いATL成形の実用化技術の確立

福井県

丸八株式会社

2023年2月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 航空機部材に適用する熱可塑性CFUDテープを用いたDC/DI(ダイレクト・コンソリデ―ション/ダイレクト・インスペクション)プロセスの開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード 熱可塑性UDテープ、ダイレクト・コンソリデーション、ダイレクト・インスペクション、生産性向上
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

CFRTP材を用いたDC/DI(ダイレクト・コンソリデ―ション/ダイレクト・インスペクション)プロセスの技術確立により、部分的偏厚構造部の「(十分な含浸状態が得られる)その場成形」と冷却加工での品質制御とインライン検査による工数低減を実現する。この生産性の向上が低コスト化を実現し、航空機分野の川下ユーザー(AIRBUS社)の要求の「生産性の向上」と「コスト低減」の実現を目指す。

サーモグラフィによる DI 装置の搭載コンセプト
開発した技術のポイント

・DC(ダイレクト-コンソリデーション)プロセスの開発
-加工パラメータの最適化
・平面コンソリデーション最適化
・熱解析によるテープスプレイメント中の温度分布の予測

・DI(ダイレクト-インスペクション)プロセスの開発
-適切な人工血管の選択
-温度変化による内部品質の変化

サーモグラフィによる層間剝離模擬部の時間経過による温度状況
層間剝離模擬部の超⾳波探傷試験(C-スキャン画像)
具体的な成果

・DC(ダイレクト・コンソリデーション)プロセスの開発
-DC加工速度18m/分(装置改造で20m/分に増速対応可)の高速プロセスを実現
-CF/PEEK材においてILSS試験の結果67MPa、OHT強度370MPaであり同一材料をプレス成形によってDCした場合と同等の性能を発現
-リングフレーム形状補強に適した高品質な湾曲UD中間基材の開発に成功

・DI(ダイレクト・インスペクション)プロセスの開発
-赤外線サーモグラフィを用いた伝熱法と超音波探傷法とを組みあわせた品質検査手法を採用し、検出精度の向上やDCプロセスへの適用に成功
-ATL装置に実装し、20m/分の高速DCプロセス中の品質可視化及びインライン検査に関する基本技術を確立

知財出願や広報活動等の状況

本件において知財権の取得などは実施していない。
広報活動においては、本事業の研究メンバーである中部大学・池田教授、鳥取大学・酒井教授を中心に学会発表や論文投稿を継続している。

<鳥取大学>
①廣瀨 樹(鳥取大院),安田 尚史(鳥取 大),坂本 憲一,池田 忠繁(中部大),酒井 武治(鳥取大)
「半導体レーザーによる熱可塑性 CFRPの高速含浸プロセスに関する 実験研究」
第12回 日本複合材料会議(JCCM-12),2021年3月4日 

②安田 尚史(鳥取大院)
「An experimental study of in-situ impregnation in tape placement of thermoplastic CFRP using diode laser」
The 8th Joint Symposium on Mechanical and Materials Engineering between Northeastern University and Tottori University (JSMME 2021),
September 28th, 2021, online.

(学内発表)
①内海 隆介「半導体レーザーによる熱可塑性樹脂シートの 炭素繊維開繊糸への高速含浸法に関する研究」令和元年度修士論文,2020年3月
②大西 葉流「半導体レーザーによる熱可塑性炭素繊維UDプリプレグの積層成形に関する研究」令和元年度卒業論文,2020年3月
③廣瀬 樹「半導体レーザーを用いた 熱可塑性CFRPの高速含浸プロセスに関する研究」令和2年度修士論文,2021年3月
④安田 尚史「熱可塑性 CFRTP のレーザーテーププレースメント時の非定常温度場解析」令和2年度卒業論文,2021年3月

<中部大学>
[1] 内海 隆介(鳥大), 大西 葉流(鳥大), 酒井 武治(鳥大), 田中 大登(中部大), ○池田 忠繁(中部大), 奥村 航(石工試), 森 大介(石工試), 中島 正憲(金工大), 菅原 寿秀(丸八), “熱可塑CFUDテープを用いたダイレクト・コンソリデーションプロセスの開発研究,” 第62回構造強度に関する講演会, オンライン会場, 2020.8.5-7, 1B09, pp. 61-63.(JSASS-2020-3021)

[2] ○池田 忠繁(中部大), 酒井 武治(鳥取大), 長谷部 裕之, 奥村 航, 森 大介(石川県工業試験場), 小林 史武, 小林 祐一, 菅原 寿秀(丸八), 中島 正憲(金沢工大), “熱可塑CFUDテープを用いたダイレクト・コンソリデーションプロセスにおける残留応力の簡易計算法,” 第63回構造強度に関する講演会, オンライン会場, 2021.8.4-6, 1A09, pp. 28-30.(JSASS-2021-3010)

[3] ○山下 高史, 森田 隆斗 (中部大学), 安田 尚史 (鳥取大学), 池田 忠繁 (中部大学), 酒井 武治 (鳥取大学), 菅原 寿秀 (丸八株式会社), “ダイレクト・コンソリデーションプロセスを考慮したCF/PEEK UDテープのDSC計測について,” 第58回 日本航空宇宙学会 関西・中部支部合同秋期大会, 2021.11.27-28, オンライン, SBM000015.

研究開発成果の利用シーン

航空機分野におけるリングフレーム。また自動車分野では自動車用車体構造補強ビームへの適用。また熱可塑性CFRPの航空・宇宙分野への適用と展開を考えている。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

航空機業界の景況として2025年から再始動との予測が多く、2025年頃のサンプル出荷を目標とする。想定される出荷先としては、CTC、エアバス、DLR(ドイツ
航空宇宙センター)などが挙げられる。自動車業界では2024年に試験販売を開始し2026年度以降に事業化を推進する。想定されるサンプル出荷先としてはCARBONTTが挙げられる。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

熱可塑性の特長を生かした短時間で必要な個所にのみ部分補強を可能にするDC(ダイレクト・コンソリデーション)技術と、さらに成形と同時にインラインで検査を行うDI(ダイレクト・インスペクション)によるその場非破壊検査により品質保証を完了させる革新的な製造技術である。

今後の実用化・事業化の見通し

航空機業界の景況として2025年から再始動との予測が多く、2025年頃のサンプル出荷を目標とする。自動車業界では2024年に試験販売を開始し2026年度以降に事業化を推進する。

実用化・事業化にあたっての課題

航空機分野では、製造方法のさらなる高速化や生産効率の向上が必要。また、品質管理の高精度化も必要であり、実装したDI装置や検査方法のブラッシュアップが求められる。自動車分野では、材料面と製法面の両面から低コスト化につながる技術検討が必要である。またショートビーム試験による層間せん断強度に関しては、熱可塑性複合材料においては測定自体が難しく、試験法を含めた数値目標の見直しや妥当性検証の必要がある。

事業化に向けた提携や連携の希望

本事業により実用化研究を行ったATL(オートメーテッド・テープ・レイアップ)加工技術を用いた、各産業分野の部材開発などを進めたいと考えています。 部材メーカ、最終製品メーカ、などにて軽量化・高剛性化の要望がある方々との提携・連携が希望となります。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 丸八株式会社 代表取締役社長 菅原 寿秀
事業管理機関 公益財団法人石川県産業創出支援機構 プロジェクト推進部技術開発支援課
研究等実施機関 学校法人金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター 研究員 中島 正憲
学校法人中部大学 工学部宇宙航空理工学科 教授 池田 忠繁
国立大学法人鳥取大学 大学院工学研究科 教授 酒井 武治
石川県工業試験場 繊維生活部 副部長 森 大介
アドバイザー CTC Stade GmbH(Composite Technology Center) Project Manager Mr. Tassilo Witte
DLR(German Aerospace Center) Christian Bulow
Carbon TT(Carbon Truch &Trailer GmbH) Mnaging Director Garret Kalkoffen
大同工業株式会社 執行役員 開発本部長 奥村 善雄
津田駒工業株式会社 コンポジット機械部長 西村 勲
国立大学法人名古屋大学 准教授 入澤 寿平

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 丸八株式会社(法人番号:6210001003990)
事業内容 繊維工業 繊維機械及び部品の販売 繊維関連機器、FA装置の販売 繊維製品の製造・販売(繊維強化複合材料、産業用繊維資材、繊維資材)
社員数 23 名
生産拠点 日本(福井県坂井市)
本社所在地 〒910-0276 福井県坂井市丸岡町玄女12-1
ホームページ http://www.maruhati.co.jp
連絡先窓口 代表取締役社長 菅原 寿秀
メールアドレス toshi@maruhati.co.jp