複合・新機能材料
リサイクルPETを用いた環境に優しい多彩な難燃繊維の開発と実用化
愛知県
株式会社高木化学研究所
2020年3月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高弾性と多彩な色彩を有する高機能性着色難燃繊維製造技術の確立 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 高強度、高弾性率、構造の微細化、ノンハロゲン、リサイクルPET |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成21年度~平成22年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車の内装材等には多様な色彩の着色繊維製品が多く使われているが、高機能化および軽量化が喫緊の課題である。リサイクルPET原料の高効率活用技術、環境に優しい新規難燃剤等のミクロ分散・分子配列効果の発現に資するハイブリッド紡糸技術および延伸・捲縮における微細加工技術を開発し、高強度・高弾性率を維持し高度な難燃性機能を付与でき、かつ内装部品の軽量化に資する着色難燃繊維の製造技術を確立する
開発した技術のポイント
PETボトル由来の原料および環境に優しい着色繊維の高難燃化
・高付加価値化→繊維の多彩な着色(5グレード)と、高難燃化(3グレード)を可能にする
・高弾性率化→捲縮率を60%アップ・細物化→単糸繊度を従来から33%細くする
(新技術)
<着色顔料・難燃材のハイブリッド紡糸技術>
・新規の難燃剤を導入し、多様な色彩の発現と高い難燃性能を兼ね備えた着色難燃繊維素材を実現
・少量多品種生産に対応する、小回りが利く工程によって行う
<リサイクルPETボトルの高効率活用>
粉砕後の比重分離・洗浄過程の研究により、使用目的にあった不純物除去精製を可能とし、低コストで高品位な原料を確保
具体的な成果
多彩な着色難燃繊維をラインナップ
・繊維の着色に影響しない難燃剤を見出し、高度な難燃性と多彩な着色性を両立
・難燃レベルや繊度、色彩の様々な組み合わせを試作し、25品番のラインアップを達成
・使用部位、用途及びコストに合わせて、最適な製品設計が可能になった捲縮性の簡便な評価方法を開発し、この方法によって試作繊維の性能を評価
・従来の捲縮性能評価方法であるJIS法は高コストで熟練も必要なため、一般的な引張試験機を活用する方法を開発
・新しい評価方法は、JIS法に準拠した捲縮特性値を、高い信頼性で得ることが可能
・新評価技術により、特に細物繊維を高捲縮率化、混綿における作業性向上を達成し、不織布の風合いに対する捲縮性能の寄与を把握できたリサイクルPET原料を効率的に活用可能なシステムを構築
・リサイクルPETボトルの粉砕品の分離・洗浄及び、脱水~乾燥後のフレーク品の粘度特性を検討
・新たに導入した比重分離・洗浄設備で精製したフレーク品を用いることで、良好な紡糸が可能
・比重分離・洗浄設備の排水は、処理を行うことで再度洗浄水に利用可能であり、環境負荷のないクローズドシステムとなる
知財出願や広報活動等の状況
・特許:難燃性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法(特願2010-118604、特開2011-246526)
・受賞:あいち資源循環推進センター「愛知環境賞」(H23)
・雑誌:ペットボトルから再生(kixクラブ大垣共立銀行誌、96号)
・論文:着色難燃繊維不織布の性能評価(H24、三河繊維技術センター)
研究開発成果の利用シーン
1)自動車用途としての展開している。
自動車のマイナーチェンジやモデルチェンジのタイミングに合わせて、採用頂くように営業活動を進めている。
2)細物・高捲縮および高耐候性の難燃繊維に対する客先のニーズは高く、試作品依頼に対応している。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・平成23年度に実用化に成功
・サンプル提供可能(有償/無償の別についてはケースにより異なる)
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・軽量化→PET樹脂に、着色顔料と共に難燃剤を混練し紡糸することにより、難燃バッキング(裏打ち)をしなくても、自動車内装材の難燃自主規制と軽量化を達成
・強度向上→廃棄PETの高効率活用化、ハイブリッド紡糸および微細加工の融合技術により、難燃剤を含むにもかかわらず、従来品同等以上の高強度・高弾性率・高捲縮を達成
・省エネルギー化・環境負荷削減→ブロム系難燃剤の替わりに、無機リン系難燃剤を使用することで環境負荷削減、難燃バッキング工程の削減によって省エネルギー化達成
今後の実用化・事業化の見通し
川下企業の性能評価・耐久試験等を受け、更なる性能や生産性の向上、コスト低減のための研究を実施中
・サポイン事業終了後、川下企業へ試作品を提供し、性能評価・耐久試験を実施している
・試験の結果や、客先の要望する性能アップ等のニーズ、生産性やコストを両立させる為の研究を継続中である
・開発品の拡販・広告等の営業活動は、従来の顧客を中心に進めている。また、展示会等への出展による新規販売先確保に向けて、誠意活動中である
実用化・事業化にあたっての課題
自動車メーカーから多彩なカラー要求が減っている。自動車以外への用途展開が必要であり課題。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社高木化学研究所 |
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事業管理機関 | 株式会社高木化学研究所 |
研究等実施機関 | 国立大学法人豊橋技術科学大学 あいち産業科学技術総合センター |
アドバイザー | トヨタ車体 平田氏、名古屋工業大学 中西教授 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社高木化学研究所(法人番号:1180301001546) |
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事業内容 | 樹脂成形・加工、プレス板金・表面処理加工、合成繊維製造 |
社員数 | 123 名 |
生産拠点 | 本社工場:岡崎市大幡町字堀田21-1片寄工場:岡崎市片寄町字片寄6 |
本社所在地 | 〒444-3502 愛知県岡崎市大幡町字堀田21-1 |
ホームページ | http://takagi-kagaku.jp |
連絡先窓口 | 片寄工場技術開発課サブマネージャー 三島寛之 |
メールアドレス | hiroyuki.mishima@takagi-kagaku.co.jp |
電話番号 | 0564-82-2030 |
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