複合・新機能材料
マンホールから搬入出が可能かつ大口径の下水管に流れる水を完全止水する為の自立型多連式止水システム
大阪府
株式会社ホーシン
2025年1月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 下水管の工事や検査を安全かつ低価格で行う国産初の高摩擦位置保持型リングチューブ式止水プラグの研究開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 建築物・構造物 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(工程短縮)、低コスト化 |
キーワード | 下水工事、リングチューブ式、止水プラグ、大口径、Φ2000mm |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
従来の止水方法であるバルーン式止水プラグは、下水管内で膨らませて摩擦力により位置を保持するものであるが、強度や耐久性に問題があり、特に大口径管での使用においてバーストのリスクが高く、人身事故の危険性もあるため、実用化が難しいという課題がある。また、大口径管では内圧が低いため摩擦力が不足し、必要な摩擦面積が増加する結果、バルーンの長さが長くなりすぎ、実際の現場では設置が困難である。そこで、本研究では新たな「リングチューブ式止水プラグ」を開発し、従来のバルーン式の問題を克服することを目指している。この新しいプラグは、上流側と下流側の両端に着脱可能な閉塞プレートを備えた分割式バイパス管の外側にリングチューブを巻き付けた構造であり、設置作業が容易で、狭い作業スペースにも対応可能である。また、適切なグリップ力を確保するために、施工場所に応じて複数段の設置が可能で、効率的で安全な止水が期待される。これにより、止水性能を向上させつつ、設置時間の短縮とコスト削減が図ることを目指している。
開発した技術のポイント
・高強度リングチューブの研究開発
-止水プラグの拡張に必要な圧力0.6 MPaを保持するため、イザナス繊維で丸編みチューブを製作し、1.22 MPaの耐圧強度を達成。専用編機も製作。
・水密インナーチューブの開発
-消防ホースの代替としてポリエチレンチューブを使用し、最大3 MPaの耐内圧を確認。編み加工しながらインナーチューブを通す専用編機を改良。
・グリップカバーの製作
-内径450mmの鋼管で背圧試験を行い、100 mmの3連結仕様で0.53 MPaの高い止水性能を確認。
-ゴム素材SBR60〜70を用いて摩擦係数0.35〜0.66を達成。
・リングチューブ端末処理
-バイパス管と干渉しないよう端末処理金具の外径をΦ60 mmに小型化し、耐内部圧力1.22 MPaを確認。
・圧力維持機能の開発
-専用装置による試験では理論上エアカプセルで内部圧力を一定に保つ機能を確認。製品に組込むと想定していた挙動が得られず、外部供給も視野に 入れ開発を進めている。
・分割式バイパス管の開発
-バイパス管の全長を1500mmから500 mmの3連式に変更し、軽量化と止水力の向上を実現。
具体的な成果
・下水道管内の水圧に耐えうる大グリップ力を持つ高強度リングチューブを開発。
-拡張チューブ耐内部流体圧力強度1.22MPaを達成(目標値0.6MPa)
-拡張チューブ内部流体圧力封止1.22MPaを達成(目標値0.6MPa)
-グリップカバー静止摩擦係数相当0.35~0.6を達成(目標値0.3以上)
-リングチューブ内部流体圧力封止1.12MPaを達成(目標値 0.6MPa)
・分割により軽量化したバイパス管を開発した。
-下水管内の作業負担を軽減するため、分割により軽量化したバイパス管を開発。
-耐圧縮荷重の構造解析を行い、目標荷重に十分耐えうることを確認。
-1/5スケールの組立装置を製作して動作確認後に、実大スケールの組立装置が完成。
-公的認定のための総合的な試験が可能となった。
知財出願や広報活動等の状況
・特願2020 99824、特願2020 99825の2件の出願中特許は、リングチューブ式止水プラグの形状と機能を記載した基本特許。
・海外企業へのライセンス付与を視野に入れ、PCT国際出願手数料減免制度などを活用して海外特許取得を進める。
・知財戦略アドバイザーである鹿島義雄弁理士の協力を得て、申請中および登録済みの特許(計89件)を管理・整備する。
研究開発成果の利用シーン
・下水道の点検・検査
-老朽化した下水管の点検や検査時に、管内の水を一時的に止水するために使用する。これにより、作業中の漏水や浸水リスクを軽減し、安全かつ効率的に点検・検査が可能となる。
・下水道管の補修・改築
-下水管の補修や改築時に、リングチューブ式止水プラグを用いて部分的に水を止めることで、施工エリアを安全に保ち、工事の品質と効率を向上させる。
・緊急時の止水対応
-地震や集中豪雨、洪水などの自然災害時に下水管の損傷による水漏れや逆流を防ぐために迅速に設置し、被害を最小限に抑えるために使用される。
・環境保護と公衆衛生の維持
-廃棄物や汚水の流出を防ぎ、周辺環境や水域の汚染を防止するために使用する。特に、飲料水源や公共の河川近くでの汚水漏れを防止し、公衆衛生を守る役割を果たす。
・プラント設備の維持修繕
-工場や産業プラント内の配管や水処理施設の点検、修繕作業においても使用可能でるある。工業用水や廃液の漏出を防ぎ、作業の安全性と効率を確保する。
・持続可能なインフラ整備
-持続可能な社会インフラの整備の一環として、老朽化する下水道インフラのメンテナンスに利用され、長期的な運用コストの削減や安全性の向上に寄与する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
スモールスケールでの成功を基に進展している。直径2,000mmの大口径プラグの事業化に向けた開発が進められており、軽量化や設置効率の向上などの技術的課題の解決が進行中である。九州地区でのフィールド試験を通じて、製品の性能検証と改良を行う予定である。また、JISやISOの標準化、公的証明の取得を進め、地方自治体や公共事業での採用を目指している。さらに、認定施工店の拡充も計画されており、実用化に向けた準備が整いつつある。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・高い止水性能と安全性
-最大0.5MPaの背圧に対応し、従来のバルーン式プラグと比較してバーストリスクを大幅に低減。信頼性が高く、安全な使用が可能である。
・設置の容易さと軽量化
-軽量で分割可能な設計により、搬入・組立・設置が簡単であり、狭い作業スペースでもスムーズに使用できる。これにより、作業時間とコストの削減が期待できる。
・幅広い用途と適用可能性
-下水道の点検・検査や補修、緊急時の止水、プラント設備のメンテナンスなど、さまざまなシーンで活用可能であり、中・大口径の下水管にも対応し、競争力のある製品である。
・持続可能なインフラ整備への貢献
老朽化した下水道のメンテナンスや災害時の対策に役立ち、環境保護と持続可能な社会インフラの整備に寄与する。標準化と認証取得も進め、公共事業での信頼性も向上している。
今後の実用化・事業化の見通し
・直径2,000mmの大口径プラグの開発が進展し、スモールスケールでの試験結果を基に、実用化に向けた改善が進められている。特に、大口径における軽量化、搬入・設置の効率化が課題として挙げられ、これらの技術的な課題の解決が進む見通しである。
・大口径用プラグの組立治具装置の開発と改良が進行中であり、これに関する知財保護も強化される見込み。新技術の知財保護を通じて、競争力を維持しつつ、国内外市場への展開を図る。
・JISやISOなどの国際標準への登録や、公的機関による証明取得を進めている。これにより、地方自治体や公共事業での採用が促進され、信頼性が高まる。
・九州地区を中心にフィールド試験が行われ、その結果を基に改良が進められる予定。さらに、認定施工店の拡充が計画されており、事業化に向けた準備が整いつつある。
・下水道だけでなく、プラント設備や産業施設の維持修繕工事など、さまざまな用途での適用が期待される。これにより、幅広い市場での普及が見込まれる。
実用化・事業化にあたっての課題
・大口径プラグの軽量化と設置効率化
大口径(2,000mm)のプラグは搬入や設置が困難で、作業の手間とコストが高い。これを解決するための軽量化と効率的な設置方法の開発が必要。
・グリップ力メカニズムの解明
プラグの分割によるグリップ力増加のメカニズムが未解明であり、効果的な設計のために研究が求められる。
・施工方法の最適化
現場での組立や止水性能の向上が必要で、具体的な手順や治具の改善が課題。
・公的証明と標準化
JISやISOの標準化、公的証明の取得が不可欠で、信頼性の向上と市場浸透を図る。
・コスト競争力の確保
製造コストを削減し、価格競争力を持たせるための対策が必要。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ホーシン |
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事業管理機関 | 公益財団法人大分県産業創造機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人大分大学 学校法人文理学園日本文理大学 |
アドバイザー | 国立大学法人九州工業大学 鹿島建設株式会社 弁理士法人野口新生特許事務所 公益社団法人日本下水道管路管理業協会 学校法人日本大学 株式会社東田中建設 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ホーシン(法人番号:6120001157598) |
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事業内容 | 土木建築用仮設資材の開発、製造、販売、レンタル 環境関連商品の開発、製造、販売、レンタル レーザー、測量機器の販売、修理、レンタル |
社員数 | 90 名 |
生産拠点 | 株式会社ホーシン 大分工場 |
本社所在地 | 〒571-0017 大阪府門真市四宮3-10-34 |
ホームページ | https://hoshin.co.jp/ |
連絡先窓口 | 大分開発部 甲斐明 |
メールアドレス | kai@hoshin.co.jp |
電話番号 | 097-529-6666 |
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