表面処理
N95規格が定める基準を維持しながら、圧倒的に呼吸しやすく、会話しやすく、金属を一切使わないためMRI室でも使用可能で、オートクレーブ・オゾン・アルコール消毒可能な、初めて医療用に設計された全く新しいマスクを実現する。そのため、スパンボンド不織布に深く均一なエレクトレットを安定的に与えて材料を生産するための「超均質エレクトレット加工技術」と「エレクトレット分布可視化技術」を開発する
宮城県
ヤグチ電子工業株式会社
2025年1月31日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 超均質エレクトレット加工による低吸気抵抗・高捕集効率な医療用マスクの開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(医療現場の作業性向上)、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 医療用マスク、超均質エレクトレット、エレクトレット可視化スキャナー、N95、低吸気抵抗 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
医療従事者のニーズに応えるための新しい医療用マスクの開発を行った。研究では、超均質エレクトレット加工技術を用いて、高い捕集効率と低い吸気抵抗を両立するフィルターの開発に注力した。また、エレクトレット分布を可視化するためのスキャナーの開発や、AIレーザー3Dフィッティング技術によって、個々の顔に最適なサイズのマスクを自動で選定できるシステムを開発。これらの技術は、既存のN95マスクの課題を克服し、より快適で高性能なマスクを実現するために重要な役割を果たした。
開発した技術のポイント
・超均質エレクトレット加工技術: 従来のマスクで問題となっていたホットスポットやコールドスポットを排除し、フィルター全体に均一で安定したエレクトレット効果を付与する技術を開発
・エレクトレット分布可視化スキャナー: 非破壊かつ非接触でフィルター内のエレクトレット分布を可視化するスキャナーを開発し、製造工程での品質管理を向上させた
・AIレーザー3Dフィッティング技術: 個々の顔の3Dデータを基に、AIで最適なマスクサイズを提案する技術を開発し、フィッティングの精度と快適性を大幅に向上させた
具体的な成果
N95規格に準じた捕集効率95%以上を実現しつつ、吸気抵抗45Pa以下、音圧損失10db以下という目標を達成した高性能な医療用マスクが開発された。特に、フィルターには2枚重ね方式を採用し、平均99.2%の捕集効率を実現。また、AIレーザー3Dフィッティング技術により、4サイズから顔に会ったマスクを選定することで漏れ率を5%以下に抑えることができ、より多くの医療従事者にとって快適なマスクを提供することが可能となった。この成果は、医療現場での感染リスク低減に大きく貢献し、テストマーケティングにおいても高い評価を受けた。
知財出願や広報活動等の状況
開発された超均質エレクトレット加工技術とエレクトレット分布可視化スキャナーに関連する特許の出願が行われている。また、導電性ロール電極方式によるエレクトレット化処理装置についても特許申請が進行中である。さらに、開発した技術の一部は学術論文としても発表されており、広報活動を通じて技術の普及を目指している。これにより、国内外の医療機関や関連企業からの関心が高まり、技術の実用化が加速している。
研究開発成果の利用シーン
開発された技術は、医療用マスクだけでなく、空気清浄機のフィルターやクリーンルーム用フィルターなど、さまざまな用途に応用可能である。特に、低い吸気抵抗と高い捕集効率を両立しているため、エネルギー効率が求められる製品や、厳しい衛生管理が必要な環境での使用が期待される。また、医療機関だけでなく、一般の消費者向け製品への応用も見込まれており、幅広い市場での利用が見込まれている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
試作された医療用マスクはすでにテストマーケティングが行われ、医療機関や介護施設での使用が進められている。特に、吸気抵抗が低く、長時間の装着でも快適に使用できることから、多くの医療従事者から高い評価を得ている。現在、製品の量産化に向けた準備が進行しており、国内外の市場での展開が予定されている。医療用以外にも、工業用や家庭用フィルターへの応用も検討されている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
開発された医療用マスクは、N95規格を維持しながら、従来よりも低い吸気抵抗と高い通気性を実現しており、特に医療従事者向けに最適な製品である。加えて、音声伝達性能にも優れているため、装着中でもコミュニケーションが円滑に行える。フィルター交換が容易であり、コスト面でも従来のN95マスクよりも大幅に抑えられる点が特徴。さらに、AIレーザー3Dフィッティング技術により、個々の顔にぴったりとフィットするマスクを提供できるため、快適性が大きく向上している。
今後の実用化・事業化の見通し
本技術は医療用マスクだけでなく、エアフィルターやクリーンルーム、空気清浄機など、さまざまな分野での応用が期待されている。現在、量産化に向けた最適化が進行しており、今後さらにコスト効率を高めた量産システムの確立が目指されている。特に、医療現場での導入が進むことで、国内外の感染症対策にも大きく貢献する見通しである。また、一般消費者向けの商品化も視野に入れており、幅広い市場での展開が期待されている。
実用化・事業化にあたっての課題
製品の量産化に向けた最大の課題は、製造装置の耐久性や安定性の向上である。特に、エレクトレット加工装置の電極が長期間にわたり安定して稼働するかどうかの検証が必要とされている。また、長期的な使用における性能の維持や、コスト削減に向けた製造プロセスの最適化も重要な課題である。これらの課題を解決することで、製品のさらなる普及と市場拡大が可能になると考えられる。
事業化に向けた提携や連携の希望
今回開発した超均質エレクトレット不織布は、医療用途として開発したものだが、工業用フィルター等での活用も考えられ、通気性が高いメリットを活かし低消費電力化が期待できる。マスクとしても一般用途や工業用途としても展開可能。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ヤグチ電子工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人みやぎ産業振興機構 産業育成支援部地域連携推進課 |
研究等実施機関 | 春日電機株式会社 国立研究開発法人産業技術総合研究所 国立大学法人電気通信大学 |
アドバイザー | 丸木医科器械株式会社 アイリスオーヤマ株式会社 学校法人産業医科大学 産業医実務研修センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ヤグチ電子工業株式会社(法人番号:6370301002594 ) |
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事業内容 | 電子機器製造業 |
社員数 | 26 名 |
生産拠点 | 宮城県石巻市 |
本社所在地 | 〒986-1111 宮城県石巻市鹿又字嘉右衛門301 |
ホームページ | https://www.yaguchidenshi.jp/ |
連絡先窓口 | ヤグチ電子工業株式会社 取締役社長 佐藤雅俊 |
メールアドレス | m.sato@yaguchidenshi.jp |
電話番号 | 0225-75-2106 |
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