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表面処理

低周波磁気シールド、センサ用磁性めっきの開発と液中微粒の分散度測定装置の開発

愛知県

豊橋鍍金工業株式会社

2025年1月7日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 マグネタイト複合ニッケルめっきの開発及びナノ粒子分散技術の最適化による分散度測定装置の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、産業機械、スマート家電、半導体
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)
キーワード 分散度測定,複合めっき,磁気センサ,微粒子分散評価,低周波磁気シールド
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

磁性めっき
・低周波電磁波シールド、磁気センサ、RFIDタグに対応する磁性めっき
分散度測定装置
・めっき液へのナノ粒子分散技術の最適化
・めっき液中に分散したナノ粒子の分散状態評価技術の確立
まず、超音波ホモジナイザーの照射条件や分散剤の種類・添加量がナノ粒子の分散状態に及ぼす影響を調査した。次に、従来の粒度分布測定では課題であった濃い懸濁液の評価に適した、沈降法による粒子径分布測定手法を確立した。さらに、この手法を取り入れた分散度測定装置のプロトタイプを製作した。
これにより、めっき液中のナノ粒子の分散状態を正確に把握し、分散技術の最適化を図ることができた。

開発した技術のポイント

磁性めっき
・Ni-Fe合金に自社開発技術「ナノクリスタル法(NCP)」を取り入れることにより開発した、低周波磁気シールド、センサ用磁性めっき
分散度測定装置
・従来のレーザー回折散乱法や動的光散乱法では正確な測定が困難な濃いめっき液に対して、沈降法による粒子径分布測定手法を開発した。
-粒子分散めっき液を希釈せずに、粒子径分布を定量的に評価可能
・沈降試験を活用して、めっき液中のミクロン粒子の分散状態を評価する技術を確立した。
-沈降速度の変化から、粒子の分散状態を適切に評価可能
-めっき液中の微粒子の分散状態をインラインで簡便に把握可能
-コストを大幅に削減した実用的な装置を実現

具体的な成果

・ナノ粒子分散技術の最適化
-超音波ホモジナイザーの照射時間が長すぎると、粒子が再凝集することを明らかにした。
-分散剤の種類や添加量によっても微粒子の分散状態が変化することを確認した。

・ナノ粒子分散状態の評価技術の確立
-レーザー回折散乱法では濃いめっき液の評価が困難であることを明らかにした。
-代替手法として、沈降法による粒子径分布測定手法を考案し、実証に成功した。
-この手法を取り入れた分散度測定装置のプロトタイプを製作した。

・分散度測定装置の開発
-粒子分散めっき液を希釈せずに粒子径分布を測定可能な装置を開発
-当初の見積もりよりもコストを大幅に削減した実用的な装置を実現

知財出願や広報活動等の状況

・知財出願
-ブラックボックス化して知財出願はしない方向で検討中
・広報活動
-展示会、川下産業へのプレゼン、分散度測定装置に関しては自社で量産目前の「グラファイト複合銀めっき」への分散度測定装置の採用にて装置の重要性を顧客に周知する。

研究開発成果の利用シーン

・磁性めっき(Ni-Fe合金めっきにナノクリスタル法を併用したもの)
-磁気センサやRFIDタグから低周波電磁波シールドまで幅広く利用
・分散度測定装置
-複合めっき浴管理の簡易化、安定化

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・分散度測定装置の製造・販売
-沈降法による粒子径分布測定手法を活用した分散度測定装置の開発
-複合めっき浴の管理機器として開発
-当初の装置イニシャルコストを大幅に削減した実用的な装置の開発

・複合めっき技術の事業化
-本プロジェクトで確立した微粒子の分散技術を活用
-自社の磁性めっきや導電性めっきなどに活用し、新製品の開発を進める

現在、めっき業界を中心に本技術への強い関心が寄せられており、分散度測定装置の販売や新規複合めっき製品の事業化に向けて、準備を進めている。
特に分散度測定装置は微粒子含有めっき液の品質管理に不可欠な製品であり、自社の研究開発にも活用できることから、早期の事業化を目指している。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造

製品・サービスのPRポイント

分散度測定装置
・高精度な分散状態の評価が可能
-従来のレーザー回折散乱法や動的光散乱法では困難だった濃いめっき液の評価が可能
-沈降法による粒子径分布測定により、微粒子の分散状態を正確に把握可能
・簡便な操作性
-原液の状態で測定可能
-専門的な知識がなくとも、容易に分散状態を把握可能
・低コストな設計
・幅広い適用範囲
-サブミクロン~ミクロンサイズの微粒子を使い、液の静止状態で微粒子が沈降する浴であれば浴の管理、分散状態の評価に対応可能
-めっき業界をはじめ、様々な分散システムに広く活用可能

今後の実用化・事業化の見通し

磁性めっき
・磁気センサー、RFIDタグ用磁性めっき
-磁気センサーに使われるアモルファスワイヤの代替として、本技術を使用した低消費電力型磁性めっき銅ワイヤの事業化の見込み。
-現在磁性体で作られる工業用RFIDを高性能化する目的でめっき化
・低周波領域用電磁波シールドめっき
-EV等に搭載される半導体基板のケーシング

分散度測定装置
・複合めっきの管理装置として事業化の予定、現在、自社で量産間近の「グラファイト複合銀めっき」の管理装置として使用予定。また、現在他社から、同種のめっき浴の管理装置としての引き合いも発生している。

実用化・事業化にあたっての課題

今後は本めっき浴をさらにブラッシュアップして計画通り令和6年中の Ni-FeNCP 銅ワイヤを使ったセンサや Ni-FeNCP めっきを使った FRID サンプル評価に間に合わせたい。しかし、本事業のタイトルでもある、マグネタイト複合ニッケルめっきや NiFeNCP に MT を複合化する技術についても大きな可能性が見られたため、これらのめっき浴についても研究開発を今後継続して事業化につなげる予定である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 豊橋鍍金工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人名古屋産業振興公社
研究等実施機関 学校法人法政大学
吉野電化工業株式会社
名古屋市工業研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 豊橋鍍金工業株式会社(法人番号:1180301006603)
事業内容 電気めっき業
社員数 30 名
本社所在地 〒441-8011 愛知県豊橋市菰口町3-17
ホームページ www.toyohashiplating.co.jp
連絡先窓口 技術・開発部 藤田淳良
メールアドレス afujita@toyohashiplating.co.jp
電話番号 0532-31-6217