表面処理
木材の美しい木目を生かした意匠のままで屋外での長期耐久性を実現できる、従来にはない透明なコーティング剤と塗装仕様の確立
愛知県
玄々化学工業株式会社
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 木材利用を飛躍的に促進する高耐候性透明塗装システムの開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 建築物・構造物、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 高耐久,木材利用促進,美観,高耐候性塗料,メンテナンスコスト低減 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
この研究では、屋外での木材使用に伴う紫外線と水分の劣化から木材を保護するため、高耐候性の透明塗料システムを開発した。特に木材表面の紫外線吸収と水分排出に効果的なシロキサンシーラーを導入し、これまで不可能だった透明または淡色系の塗装で7年以上の耐候性を実現することを目指した。また、木材保護用下塗り剤とメンテナンスが容易な半造膜形塗料の組み合わせにより、木材の美観を維持しつつ長寿命化を図った。
開発した技術のポイント
・シロキサンシーラー: 木材表面でシロキサン成分を反応させ、木材保護性能を飛躍的に高める。
・高耐候性塗料: 柔軟性、耐水性、耐光性に優れた塗膜を形成する半造膜形の塗料を開発。
・耐候性向上メカニズムの解明: FT-IRによる劣化時の塗膜表面の化学構造変化を数値化し、色差計やマス目法による劣化評価手法を確立。
・基材条件による耐候性の影響把握: 様々な材種や加工方法による耐候性能の最適化。
具体的な成果
本研究により、特殊シロキサンシーラーを用いて、紫外線と水分の両方から木材を保護する新しい塗装システムが開発された。透明および淡色塗料において7年以上の耐候性が確認され、メンテナンスが容易であることが実証された。また、シロキサンシーラーを使用することで、木材の劣化を効果的に抑制することができ、実際の物件7件での試験でも優れた結果が得られた。
知財出願や広報活動等の状況
・特許出願(特願 2017 241952): 組成物を新たに合成した。この特性を変えた試験体による耐候性試験(屋外、促進)の劣化傾向から、木材を長期間屋外で使用しても割れ・はがれを起こさない最適な樹脂組成物を新たに開発
・特許出願準備中: 度の共同研究の中で特殊シロキサン系シーラー利用の可能性を見出し、オルガノシリカゾルとメチルメト
キシシランによる効果的な合成方法を開発。
研究開発成果の利用シーン
本技術は、屋外での木材使用を目的とするエクステリア市場において、透明または淡色の木材保護塗装として利用可能である。特に、公共施設や住宅外構材、家具などでの利用が見込まれ、木材の長寿命化と低メンテナンスのメリットを提供する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
現在、玄々化学工業株式会社を中心に、開発した塗装システムの実用化に向けた事業化が進行している。大建工業株式会社とも連携し、住宅やエクステリア市場向けの新製品としての展開が計画されており、複数の実証プロジェクトが実施されている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・紫外線や水分による劣化から木材を保護するシロキサンシーラーと高耐候性透明塗料を組み合わせた独自のシステム。
・メンテナンスが容易で、淡色や透明仕上げでも高い耐候性を実現。
・長期間の屋外使用に対応し、エクステリア市場での高い需要が見込まれる。
今後の実用化・事業化の見通し
今後、さらに実証データを蓄積し、実用化に向けたテストを進めていく予定である。特に公共施設や住宅市場での展開が期待されており、木材利用の促進に大きく寄与することが見込まれている。
実用化・事業化にあたっての課題
・透明塗料の耐候性向上のために、さらなる研究開発が必要である。
・再塗装のタイミングやメンテナンス方法に関する標準化が課題であり、実用化に向けて今後の検討が必要。
事業化に向けた提携や連携の希望
川下製造事業者の位置づけの共同事業者である大建工業(株)に当初からサンプルを順次提供して性能試験を相互に実施し、最終成果となる開発品は目標性能を達成していることを互いに確認し合い、実証試験として行った試験施工において高い評価を得た。大建工業(株)を通じたゼネコンの大型建造物向けの物件紹介、弊社HPを経由した個別の外構材塗装の引き合い、塗料事業の営業活動を通じたゼネコンやハウジングメーカー、木材製造会社、ログハウスメーカー等との連携を模索、進行中である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 玄々化学工業株式会社 技術部 研究課 |
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事業管理機関 | 公益財団法人中部科学技術センター 研究開発推進部 |
研究等実施機関 | 大建工業株式会社 R&D センタ- 加工技術開発室 学校法人日本大学 生物資源科学部 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター プロセス技術グループ |
アドバイザー | 株式会社アルセット建築研究所 産業振興プロモーター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 玄々化学工業株式会社(法人番号:4180001025330) |
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事業内容 | 塗料の製造と販売、塗装設備、機器類の販売 |
社員数 | 72 名 |
生産拠点 | 愛知県津島市、三重県いなべ市 |
本社所在地 | 〒496-0005 愛知県津島市神守町字中ノ折74 |
ホームページ | https://www.gen2.co.jp/ |
連絡先窓口 | 取締役 技術部長 大木 博成 |
メールアドレス | ooki@gen2.co.jp |
電話番号 | 0567-28-9200 |
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