測定計測
電界撹拌技術を用いた新型ウイルス対応迅速検査システムの開発
岩手県
セルスペクト株式会社
2023年2月14日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 電界撹拌技術を用いた新型ウイルス対応迅速検査システムの開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、農業、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(使用機器削減)、低コスト化 |
キーワード | 電界撹拌、核酸検出、オンサイト分析、ELONA |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
新型コロナウイルス検査等の課題として、従来のPCR法は検査時間が掛かる上に、蛍光や電気泳動を必要とする。そのため、装置が大型かつ高価であり、オンサイトでの分析に不向きである。また、感度が60%程度で偽陰性の発生が指摘されている。また、従来のウイルス検査法であるPCR法では、検査終了までに約3時間を要するため、オンサイトでの診断が不可能であった。
可視光での検出が可能で、さらに感度を60%から90%まで向上させ、オンサイトでの分析が可能な核酸検出システム開発を目標とする。さらに、オンサイト診断に適した検査時間の短縮および検出における感度の向上を図る。
新型コロナウイルス検査等の課題として、PCR検査に時間を要すること、感度が低いことが 指摘されている。本研究開発は、電界撹拌技術によりウイルスRNAを包みこんでいる殻を効率よく破砕し検出することで、検査時間を6分の1短縮し30分へ、感度を60から90%に向上さ せることができる。各都道府県の検査で活用可能な他、国際空港の検疫所等でオンサイト検 査を遂行させ、水際対策により感染拡大の抑制に貢献する。
開発した技術のポイント
・電界撹拌技術を活用することで、検査時間を短縮
核酸抽出及び検出工程の撹拌プロセスに電解撹拌技術を採用。撹拌時間の短縮を実現。
・PCR法に代わりELONA法を採用することで、可視光の汎用機器で実施可能
標準的な生物系実験室にある汎用光学機器で実施可能。専用のPCR装置不要。
・専用装置を使用しないため、オンサイト分析に活用しやすい
大型の検査機器が不要なため、オンサイト分析に適用可能。
具体的な成果
■電界撹拌破砕技術の確立
・一般的に1.5時間必要なカラム抽出法に対して、磁性ビーズ及び電界撹拌を適用することで10分に短縮することに成功。
・磁性ビーズを使用することで、核酸抽出の自動化が容易なプロトコルを構築。
■電界撹拌核酸検出技術の確立
・ウイルス濃度1.0 X 104 copy/µL以上の際に90%以上の感度で検出できる、ELONA法による核酸検出技術を確立。
・ELONA法に電界撹拌法を適用。迅速化に成功。
・30分以内に前処理から検出までを実施するための、自動化及び効率化の基板技術を確立。
研究開発成果の利用シーン
空港や駅のような人流のノードとなる場所での利用に適している。大きな規模で実施されるスクリーニング検査においては、特に金銭的・時間的コストの優位性が高いといえる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・既存法であるPCR法と比較して、測定時間30分程度、感度を90%へ向上させることを目標として本事業を実施した。
結果として、PCR法では一般的に1.5時間必要な前処理プロセス(カラム抽出法)に対して、本事業で開発した前処理プロセスでは10分に短縮することができた。核酸検出法まで含めると、測定全体で目標の30分には達していないものの、プロセスレベルにおいて検証済みであり、全てのプロセスの効率化並びに自動化を実施することで、全工程を30分で実施できる見込みが得られた。
現状は、検体の前処理から核酸検出まで約1~2時間を要している。しかし、全てのプロセスにおいて効率化・自動化を実施すれば、全工程を30分で完了できる見通しがついている。検査時間の短縮と自動化によって、オンデマンド測定も可能となる。
大規模に実施されるスクリーニング検査のような場合において、金銭的・時間的コストの削減が期待できる。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
検査時間の短縮により、迅速に診断。
汎用の測定機器を使用しているため、オンサイト分析に適用しやすい。
空港や駅などで実施される大規模スクリーニングに適用可能。
試薬が安価で済むため、コスト優位性が高い。
今後の実用化・事業化の見通し
現在は検体の前処理から核酸検出までは、合計1~2時間程度を要している。プロセスの効率化と自動化を実施すれば、全工程を30分で実施できる見通しがついており、十分に事業化が可能と考えている。このための追加研究として、検体の前処理からELONA法による核酸検出までの自動化処理、各種試薬の原料検討、量産製造プロトコル構築を実施中である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | セルスペクト株式会社 メディカルサイエンス部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人あきた企業活性化センター 経営支援部 設備・研究推進課 |
研究等実施機関 | 秋田県産業技術センター 国立大学法人秋田大学 国立大学法人北海道大学 |
アドバイザー | ニプロ株式会社 株式会社常光 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | セルスペクト株式会社(法人番号:5400001009706) |
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事業内容 | 体外診断薬事業(診断用医療機器 / 試薬キット開発)、臨床検査受託事業、フィジタル事業 |
社員数 | 60 名 |
生産拠点 | 盛岡本社 |
本社所在地 | 〒020-0857 岩手県盛岡市北飯岡2-4-23 |
ホームページ | https://www.cellspect.com |
連絡先窓口 | セルスペクト株式会社 CTO 北條 渉 |
メールアドレス | whoujou@cellspect.com |
電話番号 | 019-681-6710 |
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