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情報処理

手術現場において、生体信号を使った、ハンズフリーでコミュニケーションを可能にするシステムの開発

宮崎県

株式会社昭和

2022年1月26日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 内視鏡外科医師の早期養成、及び手術時間短縮のため、眼電位・筋電位等の生体信号による空間画像処理技術を開発し、透過型ヘッドマウントディスプレイを用いたハンズフリーコミュニケーション支援システムの製品化
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 医療・健康・介護、情報通信、工作機械、物流・流通
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、高効率化(人件費削減)
キーワード 内視鏡モニター、内視鏡カメラ、ハンズフリー、生体信号、電極
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

患者の身体的負担が少ない内視鏡外科手術では、体腔内映像をモニター上に映しながら医師らの掛け声による指示によって手術が行われるが、細かな意思疎通に手間暇かかる場面がある。
そのため、眼電位・筋電位等の生体信号による空間描画等の機能を持たせた透過型ヘッドマウントディスプレイで指導医自らがハンズフリーで指示を行い、若手医師に正確に意思伝達を可能にする、ハンズフリーコミュニケーション支援システムを開発する。

開発した技術のポイント

1.空間画像処理のためのアプリケーション開発
 1-1.音声・ジェスチャー・視線方向による空間画像処理技術の開発
 1-2.眼電位・筋電位入力による空間画像処理技術の開発
2.生体信号の検出及び入力インターフェースの開発
3.安全性・信頼性評価
4.手術現場で使用できる操作システムの開発
5.市場調査及び広報

具体的な成果

1-1.音声・ジェスチャー・視線方向による空間画像処理技術の開発
関西大学において実施した評価実験によって認識率90%以上を確認。

1-2.眼電位・筋電位入力による空間画像処理技術の開発
本マーカーシステムに関して操作反応は実用上問題ないことは実証済みであるが、正確な計測はできていない。

2.生体信号の検出及び入力インターフェースの開発
産総研での研究開発成果を参考に、用いる生体信号の種類をウィンク動作によるスイッチング機能のみに絞り、外注先の協力を得てセンサー制御基板を開発。自然な瞬きを相殺する解析手法により誤動作を防ぎ、検出感度を向上させた。

3.安全性・信頼性評価
環境試験の試験条件の確定および試験の実施。

4.手術現場で使用できる操作システムの開発
胸ポケット要制御ユニット本体重量は160g。コード等附属設備含めた総重量は185g、ヘッドセットは98gとなった。

5.市場調査及び広報
COVID-19の蔓延により、展示会・学会等の展示は中止となった。

知財出願や広報活動等の状況

・システムとヘッドセットに関する特許申請
特願2020-000296
・新型ヘッドセットに関する意匠登録申請(医療用ヘッドセットとして)
意願 2021-001032
・商標に関する登録申請(名称 『オペアシスト』)
商願 2020-149554

研究開発成果の利用シーン

2020年後半より中央大学理工学部、並びに長崎大学医学部との共同研究テーマとして内視鏡操作保持ロボットの共同開発事業を開始した。
同事業と本事業のシナジーとしては、まず技術面においてはヘッドセットの共用・筋電センサーの利用など術野マーカーとの相補的メリットが存在すると考えられる。また同ロボットは奥歯の噛みしめによるコメカミの筋肉の動きを感知するセンサーを用いており、将来このテクノロジーの本事業への応用なども視野に入れて考えられる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

展示会出展と密な打ち合わせを通じて製品の完成並びに医療施設への紹介・浸透を深める予定だったが、COVID-19蔓延により多くの予定を消化できていない。
今後、目標達成のために可能なことを検討する。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

ホロレンズの利点は、空間上に立体形状モデルを表示し、複数人数でその立体形状モデルを、回転させたり、拡大縮小したり、あるいはその内部へもぐりこんで観察することが可能であることである。
そのため、手術前のカンファレンス(検討会議)においては、とても有効な道具であることを認識した。
しかし、内視鏡出術においては、内視鏡カメラの画像をホロレンズに投影して、切除位置などを指示し、その位置をホロレンズの画像に示すことのメリットはあまりない。手術に立ち会う者たちか全員ホロレンズを装着していなければならず、ホロレンズの電源耐久時間は2時間程度であり、5時間程度におよぶ手術には、不向きであることがわかった。
マーカーシステムは、軽量かつ装着も容易で、長時間の利用にも十分である。さらに、このシステムの場合は、手術の主担当者の一人が装着し、内視鏡カメラの画像を映したモニターを手術に立ち会っている全員が見ることができ、そのモニター上に、切除位置などを表示し、全員の意思疎通を円滑に行うことが可能である。

今後の実用化・事業化の見通し

ホロレンズは40万円程度/個であり、複数の術者が装着すれば費用も高額になるが、マーカーシステムは、40万円程度/個の価格を想定しており、
活用しやすいシステムであると考える。また、マーカーシステムは軽量で、かつ6時間以上の手術においても動作可能である。そのため、両手を塞がれている内視鏡手術における術者たちの意思疎通には非常に有用なツールである。

実用化・事業化にあたっての課題

最近、大日本印刷株式会社からDXマーカーという製品が上市された。この製品についての詳細は未だ不明であるが、低価格であり、コストダウン及びディスポ使用の可能性も期待される。
本事業においては、コロナ感染症の影響により、学会展示、デモ活動などを十分に実施することができなかった。本事業で研究開発する製品は類似品がないため、まずは商品を周知するためのPR活動を行う必要がある。そのため、今後とも学会での展示実施、特に共同研究実施者である京都大学小濱教授が推奨する学会での展示会等においてPR活動を実施する必要がある。
販売初期においては、製品の改良と並行して限定的な対象((株)メディカルリーダースの顧客および小濱教授から紹介された施設等)にデモ製品として貸出を行う。その後、徐々に関西地区・九州地区全体に拡大し、段階的に全国へ販売を拡大することを検討する。
(株)メデイカルリーダース以外にも、当社商品を扱ってくれる製販企業について検討・交渉を行う予定である。

事業化に向けた提携や連携の希望

オリンパス(株)との連携を組むことが大きなポイント。オリンパス(株)は日本国内でのシェアーはナンバー1であり内視鏡に機器を自社内で販売しているため、内視鏡手術に精通している。今後、販売していく上でも、オリンパス(株)との連携や接続するにあたりオリンパス機器との連携も必要になることが予想される。オリンパス(株)が自社製品の対応の1つとして、今回の当社のシステムを選択の一つとして選んでいただければ、一挙に販路は広がっていく可能性があるので積極的に動いていきたい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社昭和 医療福祉・事業部
事業管理機関 公益財団法人宮崎県産業振興機構
研究等実施機関 学校法人関西大学 教授 小谷 賢太郎
国立大学法人京都大学 准教授 小濱 和貴
宮崎県機械技術センター 専門技師 津田 洋行
国立研究開発法人産業技術総合研究所 研究Gr長 長谷川 良平
宮崎県工業技術センター 機械電子部 布施 泰史
アドバイザー 鈴木 孝和
株式会社キューブジャパン 南方良弘
薬事 龍玲子
(株)メディカルリーダース 三好健司

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社昭和(法人番号:8350001006813)
事業内容 製造業
社員数 59 名
生産拠点 本社(宮崎県延岡市大武町39-17)、関西営業所(京都府八幡市八幡三本橋60-11)
本社所在地 〒882-0024 宮崎県延岡市大武町39-17
ホームページ http://www.syowa-eigyou.co.jp
連絡先窓口 代表取締役社長 黒木 保善
メールアドレス y-kurogi@syowa-eigyou.co.jp
電話番号 0982-34-3538