文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 全国50万の中小橋梁のメンテナンスに不可欠な予算、人材、技術の問題緩和にICT技術で貢献!

測定計測

全国50万の中小橋梁のメンテナンスに不可欠な予算、人材、技術の問題緩和にICT技術で貢献!

長崎県

株式会社PAL構造

2022年1月26日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 コンクリート橋梁ひび割れ等の点検のためのAI画像診断技術を用いた橋梁点検・診断支援システムの開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 コンテンツビジネス、情報通信、建築物・構造物、印刷・情報記録
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、低コスト化
キーワード 測定技術、画像認識AI、橋梁点検、ひび割れ検知、コンクリート橋梁
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

老朽化対策の遅れが深刻化している市町村管理橋約50万橋を対象に、光学カメラと赤外線カメラを用いてコンクリート表面を撮影するのみで、①「ひび割れ」変状のAI自動認識、②変状の橋梁3Dモデルへのマッピング表示、③変状状態の2D図化による報告書作成の半自動化、を可能にする橋梁点検・診断支援システムを開発して、点検・診断作業の安全性向上、信頼性向上、低コスト化の実現により老朽化対策を促進させる。

開発した技術のポイント

・道守制度と連携により収集した良質な教示データを用いて、主に市町村管理の中小橋梁に多見される、汚れの強いコンクリート表面に対する高いひび割れ認識率の達成。
・目視だけでは確認できないコンクリート橋台・橋脚の浮きに対し、温水/冷水を散布しその温度の時間変化から浮き部位を認識するアクティブ手法を開発。
・点検調書作成効率化のためのひび割れ認識結果⇒2次元CAD出力機能、橋梁の3Dモデル作成・ブラウジング機能、画像比較によるひび割れ他変状の進展確認機能の開発。

汚れの強いひび割れの認識例
具体的な成果

【1】ひび割れ診断システムの構築:点検技術者と同等以上である、ひび割れ認識率85%を達成。クラウド環境上で稼働可能なAIシステムを構築した。
【2】ひび割れ教示用データの収集:長崎県内の177橋から構造形式、設置環境、汚れ具合等を考慮して画像約6,000枚の多様な教示データを取得した。また、AIのひび割れ 認識精度と現場適用性(作業性や工数等)のバランスを最適化し撮影仕様を決定した。
【3】赤外線カメラを用いた浮き認識技術の精度向上:実橋の浮きを模擬したコンクリート試験体による検証を行い、開発した技術で浮きヒット率60%以上を達成した。
【4】点検・診断支援システムの開発:クラウド環境上に、橋梁点検診断支援システム※を構築した。
※AIによるひび割れ自動認識、変状図2Dデータ出力、橋梁3Dモデルの作成・表示、橋梁3Dモデルを用いた変状表示、画像比較によるひび割れ進展等の判定等の機能。
【5】全体システムの評価:実橋における比較検証実験にて、従来の近接目視による点検方法と比較して、工数、費用を概ね50%削減できることを確認した。

点検・診断支援システム
知財出願や広報活動等の状況

AIによるひび割れ自動認識機能に関する特許取得に取組み、出願した。(名称:ひび割れ検出方法、ひび割れ検出装置及びプログラム、出願番号:特願2020-162003)。併せて開発したシステムについて、商標も出願し取得済み。(商標:ひび探、登録番号:6356186)も取得済み。また、本システムの周知広報の為に「点検支援技術性能カタログ(国土交通省道路局)」への掲載を目指し、応募準備を進めている。

研究開発成果の利用シーン

橋梁点検車で近接目視点検することが困難なコンクリート製の中小橋梁(橋長15m未満、桁下2~3m程度)や橋台や橋脚にひび割れが多い橋梁等において、従来の近接目視点検による手法と比較し、本システムを用いることで外業・内業トータルで最大50%程度の工数削減が見込める。また、橋梁の写真を用いた3Dモデル作成機能・3Dブラウジング機能により、変状と橋梁部位の視覚的な把握や、画像の比較機能により変状の経年変化等を確認することも可能。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本事業内で土木事業者向けの展示会に2件(長崎県内1件、県外1件)出展し、道路管理機関はもとより、橋梁点検事業者及び補修事業者等の川下企業の認知を得て、販売・普及に繋げるための活動を行っている。開発技術の普及に必須となる「点検支援技術性能カタログ(国土交通省道路局)」への掲載応募に取り組んでいる。加えて、橋梁点検や診断に関する各種新技術の開発や現場適用に取り組む東北大学発ベンチャーの建設コンサルタント事業者との共同研究契約を締結し、実橋梁の点検画像の提供を受け、開発したAIひび割れ自動認識機能の検証と改良を進めている。

事業化体制
提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

老朽化道路橋の多くを占める市町村管理橋梁を主対象に、市町村自治体が抱える予算不足、人不足、技術力不足の問題の緩和を図り、道路インフラのメンテナンスの推進に貢献できるよう橋梁点検・診断支援システムの開発に取り組んだ。

クラウド環境で下記のサービスを開発し提供する体制を構築した。
・AIを用いたひび割れ自動認識機能
・点検調書の作成支援のための変状図の2Dデ ータ出力機能
・橋梁3Dモデルの作成・表示機能
・橋梁3Dモデルを用いたひび割れ等の変状表示機能
・画像比較によるひび割れ進展の判定機能

橋梁点検・診断支援システムの核となるAIを用いたひび割れ自動認識機能は、従来の点検技術者による近接目視と同等以上の認識精度を有していることが確認できた。また、実際の橋梁を対象とした比較検証によって、開発した橋梁点検・診断支援システムを用いた点検・診断は、従来の近接目視による方法と比較して、工数と費用を約50%削減できること を確認した。

今後の実用化・事業化の見通し

今後、AIを用いたひび割れ自動認識機能は、AI教示データの追加や AI 教示データの追加モデルの改良による精度向上に継続的に取り組む。
また、橋梁点検・診断システムについても、機能や使い勝手の向上に継続的に取り組み 、定期的なバージョンアップを通して改良したものを提供していく予定。

実用化・事業化にあたっての課題

当事業で開発した橋梁点検・診断支援システムの適用、普及には、先ず、国や県、市町村等の道路管理機関にその使用を認められる必要がある。国土交通省が発行する「点検支援技術性能カタログ」にこの開発システムが掲載されることによって、地方自治体等の発注者や点検事業者等の受注者の認知を得る。このため、事業完了後1年以内に、掲載応募、技術検証を受審して、橋梁点検・診断支援システムの「点検支援技術性能カタログ」への掲載を目指す。

事業化に向けた提携や連携の希望

橋梁の点検・診断・補修に事業者・中小コンサルタント企業等。システム性能向上の為の実証サイトを提供していただける県市町村自治体等。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社PAL構造
事業管理機関 公益財団法人長崎県産業振興財団 研究開発推進グループ
研究等実施機関 国立大学法人長崎大学 大学院工学研究科 システム科学部門  松田浩(教授)佐々木謙二(准教授)
アドバイザー 株式会社 西海建設
大日本コンサルタント株式会社
公益財団法人 長崎県建設技術研究センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社PAL構造(法人番号:1310001001790)
事業内容 建築・土木・プラント・各種機械・船舶・海洋構造物等の設計、解析技術の研究・開発、各種コンピュータ・ソフトウェアの開発販売、土木計画設計・地質調査、環境調査・コンサルティングなど
社員数 130 名
本社所在地 〒852-8003 長崎県長崎市旭町8番20号
ホームページ https://www.pal.co.jp/
連絡先窓口 情報システム開発部システム一課 課長 藤嶋 誠
メールアドレス fujisima@pal.co.jp
電話番号 095-862-0601