複合・新機能材料
CNF製造プロセスを革新し、製造コスト低減化を図り、新規用途開発についての研究を実施する
愛媛県
愛媛製紙株式会社
2022年1月25日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 柑橘由来セルロースナノファイバーの革新的製造プロセス及び用途開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮 |
キーワード | 柑橘果皮、セルロースナノファイバー、搾汁残渣、化粧品 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
セルロースナノファイバー(CNF)は、国を挙げて新規市場の創造が進められているが、生産コストの高さとその用途開拓が課題となっている。一方、柑橘由来CNFは薬品等を用いることなく比較的容易に製造できることが確認できているが、コスト低減の限界及びその用途の課題に直面している。本研究では、製造プロセスを革新し、製造コスト低減化を図り、新規用途開発についての研究を実施する。
開発した技術のポイント
・柑橘由来CNFの効率的製造技術開発
-高圧ホモジナイザー処理時の詰まりを低減できるように装置の改善を実施
-前処理に製紙技術を応用した装置を導入し、条件の検討による品質向上を実施
・機能性、安全性評価の課題への対応
-粘度低下を招かない適切な保存条件の確立
・用途開発の課題への対応
-シリカ原料に替わる柑橘由来CNF粘性の確認
-乳化安定性を示す化粧品原料の組み合わせ調整を実現し、乳化する油脂による使用感の調整が可能
具体的な成果
・柑橘由来CNFの効率的製造技術開発
-製紙技術と高圧ホモジナイザーを併用し、従来法と比較して製造コストを50%低減
・機能性、安全性評価の課題への対応
-粘度等の物性及び細胞毒性等の安全性を確認
・用途開発の課題への対応
-乳化補助機能や紫外線やたばこの煙に対する皮膚保護機能を有することが判明
-ハンドクリームや歯磨きジェル等の化粧品を開発
知財出願や広報活動等の状況
愛媛県・産総研・えひめ飲料・当社の4社共同で柑橘果皮由来CNF及びその製造方法について特許出願中。
第13回インファーマジャパン・第10回化粧品開発展・食品開発展2020に出展し、広報活動を行った。各展示会で柑橘CNFを紹介できた化粧品メーカー等に対して、各社にサンプルワークを行い、製品開発を実施中。
研究開発成果の利用シーン
柑橘由来のCNFは薬品を使用せずに自然成分のみで製造できるため、歯磨き剤の既存の増粘剤の代替や自然志向の化粧品の製品設計などに活用されることが大いに期待されている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
既に技術開発は完了しており、令和3年4月より化粧品の顧客への提案や生産を開始。また、そのほかの用途に対しても、事業化に向けた提案を実施予定。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造
製品・サービスのPRポイント
・柑橘由来CNFは、煙草の煙に含まれる有害物質や紫外線UV-Bに対する皮膚保護機能が認められる。
・天然由来原料でありながら、乳化補助機能を有している。
・ジュース工場の搾汁残渣を原料として使用しており、機械的処理でCNFの製造を行っているため、安全性に対する信頼度が高い。
今後の実用化・事業化の見通し
化粧品開発においては、令和3年4月より、イヨカン外皮由来CNF分散液をMaCSIEという名で化粧品原料として事業化。またMaCSIE応用化粧品の製品化は2021年8月に保湿クリーム、2021年9月に泡ボディソープが販売開始となった。2021年12月にはリンスインシャンプーが販売開始予定となっている。
実用化・事業化にあたっての課題
柑橘由来CNFのより詳細な成分分析結果の需要があるため、不明成分が5%以下となるよう継続して成分分析を行う。また、他の柑橘由来、他の部位由来CNFについても同様に成分分析を行う必要がある。さらに、それらの製品化に向けて、特性および安全性について評価していく。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 愛媛製紙株式会社 技術部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人えひめ産業振興財団 |
研究等実施機関 | 株式会社アイテック 国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康医工学研究部門(四国センター) 愛媛県産業技術研究所 国立大学法人愛媛大学 社会連携推進機構 紙産業イノベーションセンター |
アドバイザー | 株式会社えひめ飲料 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 中国センター 国立大学法人 広島大学 カミ商事株式会社 東京薬科大学 |
参考情報
- MACSIE紹介動画
- https://www.youtube.com/watch?v=FpSHqIiSQV0
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 愛媛製紙株式会社(法人番号:5500001014225) |
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事業内容 | 板紙・洋紙・家庭用薄葉紙・パルプ製造加工並びに販売 |
社員数 | 222 名 |
本社所在地 | 〒799-0401 愛媛県四国中央市村松町370 |
ホームページ | https://www.ehimepaper.co.jp |
連絡先窓口 | 技術部 岡本 一茂 |
メールアドレス | k-okamoto@ehimepaper.co.jp |
電話番号 | 0896-24-3330 |
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