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研究開発された技術紹介

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バイオ

4つの技術基盤の確立
①受精卵の前培養と精製
②電極への受精卵の配置
③ゲノム編集分子の導入
④画像解析AIによる正常受精卵の選別

徳島県

株式会社セツロテック

2022年1月25日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 疾患モデル動物の多品種生産・大量生産のための自動装置の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護、農業
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)
キーワード 受精卵整列電極、Cas9代替因子、ゲノム編集産業利用、長鎖DNAの効率的な導入、画像解析AI
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

製薬会社の創薬研究においては、標的とする疾患の兆候を示す疾患モデルマウスが活用されており、研究現場では、疾患モデルを作出するために、ゲノム編集マウスを多品種・大量に作出する方法が期待されている。本開発では、セツロテックの得意とするゲノム編集技術を発展させ、自動装置の要素技術を開発し、ハイスループットスクリーニング技術を確立する。また、装置の開発により装置を輸出することで、従来のゲノム編集マウスを輸出するよりも輸送費が圧縮でき、手続き面でも海外での事業展開が容易になる可能性がある。これによって国内1000億円(世界で1兆円規模)市場の創薬分野に貢献できる。

開発した技術のポイント

①受精卵精製装置の開発
-パーコール密度勾配法を利用した受精卵分離方法を開発した。
②自動化に向けた電極形状の改良
-受精卵が整列できる受精卵整列用デバイスを開発した。
③ゲノム編集分子の導入
-点変異導入効率約50%を達成し、一部の遺伝子において約70%の点変異導入効率を達成した。
-長鎖DNAの精製方法の確立
-受精卵へのエレクトロポレーション実施のタイミングの決定
-Cas9様のゲノム編集因子の選別を検討の結果、ST7においてCas9の代替となり得る効果を確認できた。
④画像解析AIによる正常受精卵の選別
-150個の受精卵選別10分以下を達成した。
-1腹27個程度の移植から7匹以上の効率で出生できる受精卵の選別方法を確立した。

具体的な成果

①受精卵精製装置の開発では
-先行出願「卵丘細胞等の大きなゴミ層を含む培養液から受精卵を分離する方法(特願2018-075654)」を改良して、パーコール密度勾配法を用いて受精卵を精製し、シリンジ型の受精卵回収モジュールを開発した。(特願2019-049208、特願2020-045878)
②自動化に向けた電極形状の改良において、
-受精卵ゲノム編集用デバイスの開発に成功し、ポンプ制御システムに連結させることが出来た(特許出願準備中)。
③ゲノム編集分子の導入において、
-長鎖DNAの精製方法を確立し、安定的な導入ができるようになり、2kbの長鎖ノックイン導入効率20%を達成した。
-Cas9代替因子であるST7の有効性が示され、マウス受精卵への試験が成功した。
④画像解析AIによる正常受精卵の選別において、
-精度の高い選別が可能となり、自動化装置に組み込むための画像解析AIの開発に成功した。

知財出願や広報活動等の状況

・知財出願の状況について
-受精卵の分離方法(特願2019-049208)
-受精卵の精製方法(特願2020-045878)→別の方法での検討を進めることにしたため取り下げ
-受精卵ゲノム編集用デバイスの特許出願予定

研究開発成果の利用シーン

開発したゲノム編集分子の導入技術により、Cas9代替因子(ST7)を用いた産業動物(ウシ、ブタ、ニワトリなどの畜産動物)の作出可能性、市場の拡大が期待できる。
現状Cas9のライセンスは、米国企業の知財ライセンスであり高価かつ契約条件が厳密なため産業応用が難しい。そこで、ST7もしくは更にそれを発展させたST8を活用することで、ゲノム編集商材の展開が安価でスムーズになる。実際に、複数の事業会社や農産物会社からのオファーがあり、ST7またはST8を利用したゲノム編集畜産動物、植物の作出を行うサービスを事業化している。(下記、プラットフォーム事業の開始)
また、画像解析技術で得られたノウハウは、マウス以外の畜産動物受精卵の選別にも貢献し、プラットフォーム事業におけるノウハウの一つとなる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・新規商品「長鎖ノックインマウス作製」を販売開始した。2019年度1件、2020年度3件、2021年度7件の受注があった。
・Cas9変わる代替因子を用いたゲノム編集では、産業動物への応用が可能となり、企業とのプラットフォーム事業を開始した。
・画像解析AIによる正常受精卵の選別ができることがわかり、企業とのプラットフォーム事業を開始した。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

長鎖ノックインマウス作製が受注できるようになり、ヒト化遺伝子マウス作製、レポーター遺伝子の導入等の要望に応えることが出来るようになり、研究者から多数の相談と受注を頂いている。また、ゲノム編集を実施したい企業に対してはCas9代替因子ST7を用いたゲノム編集を提案し、マウス受精卵以外への応用を始めている。

今後の実用化・事業化の見通し

本研究開発において確立した③ゲノム編集分子の導入技術に関して、2020年から長鎖ノックインマウス作製の商品化が決定した。また、Cas9代替因子であるST7の有効性が示されマウス受精卵への試験が成功した。それにより、2020年産業動物へのCas9代替因子ST7を用いたゲノム編集が始まり、委託研究が始まっている。ST7もしくはそれをさらに発展させたST8を用い、ゲノム編集ニワトリ、ゲノム編集菌類の開発に着手している。これらの事業の販路拡大に向け、Biojapan、分子生物学会、バイオ医薬EXPO、アグリビジネス創出フェアなど多数の展示会に出展しており、今後も出展を拡大していく予定である。
自動化装置の意義は、海外進出時にノウハウの秘匿性を高めることにある。コロナ禍で海外進出が後ろ倒しにはなったが、本研究開発で確立した要素技術のうち、最重要な電気条件などを秘匿可能なエレクトロポレーション装置を作成し、今後、海外拠点形成に向け実用化を進めている。

実用化・事業化にあたっての課題

本事業により開発された要素技術は、それぞれの技術において事業化や特許出願準備を始めている。今後検討しなければいけない課題は、要素技術の一連化である。本事業では要素技術開発の範囲を超え、自動装置の一連化が可能となった。事業化に向けては「現在開発されたデバイスは、高価なポンプ制御により作動していること」「プログラミング制御には専門性が高いこと」の2点の課題が挙げられる。これらを解決することで、より安価に、操作性の良い自動装置にすることを目標とする。

事業化に向けた提携や連携の希望

自動化装置の開発項目4点の要素技術を一連化するためには、さらなる技術開発、そして、そのための研究開発が必要であり、
装置開発会社との協業が必要であると考える。
また、ST7もしくはそれをさらに発展させたST8を活用した事業は医薬品開発、検査キット開発への展開を模索しており、製薬会社、検査会社との提携を希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社セツロテック 第一研究開発部、第二研究開発部
事業管理機関 公益財団法人とくしま産業振興機構 成長戦略推進部
研究等実施機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所 健康医工学研究部門 バイオセンシング研究グループ 主任研究員 平野 研
国立大学法人徳島大学 分子内分泌学研究分野 特任准教授 沢津橋 俊
徳島県立工業技術センター 機械技術担当 主席 森本 巌、主任 平岡 忠志
アドバイザー 帝人ファーマ株式会社 落合 鋭士
株式会社オブテージ 江口 忠博

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社セツロテック(法人番号:8480001009927)
事業内容 ゲノム編集受託製造・サービス
社員数 30 名
生産拠点 徳島県徳島市
本社所在地 〒770-8503 徳島県徳島市蔵本町三丁目18番地の15 藤井節郎記念医科学センター
ホームページ https://www.setsurotech.com/
連絡先窓口 株式会社セツロテック 代表取締役社長 竹澤 慎一郎
メールアドレス takezawas@setsurotech.com
電話番号 088-633-0233