表面処理
チタン基材表面が陽極酸化処理により改善され酸化チタンアナターゼ結晶になる事で劣悪な環境でも使用できる品質を確保できる
大阪府
APSジャパン株式会社
2022年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | チタン基材表面への陽極酸化処理による光触媒フィルターの開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | 光触媒、陽極酸化処理、噴霧熱分解 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
チタン基材表面が、陽極酸化処理により改質され酸化チタンアナターゼ結晶になることによって、酸化チタンの密着が改善され、劣悪な環境でも使用できる品質を確保できる。このフィルターが開発されることにより自動車純正の空気清浄機への波及、空調システムへの波及、排水のCODの軽減への波及効果を目論んでいる。
開発した技術のポイント
・開発したパルス陽極酸化法および噴霧熱分解法によるナノ粒子担持処理により、耐久性が優れかつ高い光触媒活性を併せ長時間性能を維持する酸化チタン光触媒フィルターを新規開発した。
目標であるAPSジャパン(株)の従来型アルミ基材光触媒プレートと同等以上の性能を確保する結果を得る事ができた。
・チタン合金を基材として、その表面を陽極酸化処理することにより基材表面に結晶構造がアナターゼである酸化チタン被膜を生成する工法を開発した。
具体的な成果
・チタン表面を直接光触媒化する技術を開発
-陽極酸化処理+噴霧熱分解法により、チタン基材表面に酸化チタン被膜を生成する工法を開発した。
-陽極酸化処理時に定電圧/定電流で処理した場合、部分的に大電流が流れ不均一な酸化が生じて被膜の均一化が困難であった為、パルス陽極酸化法を用いて正電圧(電流)、負電圧(電流)を交互に出力し、大面積に被膜を均一化した。
・光触媒プレートの耐振性、耐熱性、耐水性の向上
-従来の酸化チタンを塗布するのではなく、チタン基材表面を直接酸化チタン化する事で耐久性を向上させた。各耐久試験後の質量低下は0.5%以下であり、光触媒性能も耐久試験前後で変化無く従来品と同等以上を保持した。
知財出願や広報活動等の状況
本事業で開発した、チタン基材表面を直接陽極酸化して酸化チタンを形成し、そこに噴霧熱分解法で酸化チタンナノ粒子を担持させた光触媒プレートとその製造技術を、APSジャパン(株)と公立大学法人大阪の共同出願にて、
「光触媒活性を有する部材及び製造方法」として特許出願(特願2021-027794)を行った。
研究開発成果の利用シーン
本事業で開発した光触媒フィルターは劣悪な環境下でも品質を維持でき、車載用空気清浄機、空調システム、排水処理などに適用できる。
APSジャパン(株)で事業展開している業務用空気清浄機の光触媒除菌脱臭機arc用の従来型光触媒と同等以上の性能を発揮している。従来型の製品は、医療関係等の事業者から効果について高い評価を得ている。そのため、本事業で開発した技術についても効果については十分な評価が得られる公算がある。本事業で開発した技術は従来よりも極めて高い耐久性を有しており、そのことを活かしたグレードアップ品としての製品展開を検討している。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業で得られた結果をベースとして、事業化や商品化を進める予定である。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本研究開発では、現行のアルミ基材光触媒フィルターと比較して、光触媒分解性能を損なうことなく高い機械的強度を得ることに成功した。この成果を活用することにより、現行のアルミ基材光触媒フィルターでは困難であった事業の展開が可能となった。
今後の実用化・事業化の見通し
本研究では研究目標であるアルミ基材光触媒と同形状の平板、波型形状を主に検討を行った。同形状であれば陽極酸化処理+噴霧熱分解法の担持によるチタン基材の光触媒化は、現行のアルミ基材光触媒と同等以上の性能を確保出来た。これらの研究開発により得られた成果をベースとし、現行のアルミ基材光触媒の代替品、アップグレート品として事業化案件に活用していく予定である。既にAPSジャパン株式会社は室内用空気清浄機の商品化を実現しており、自動車用の小型空気清浄機についても現行のアルミ基材光触媒フィルターを用いた試作品が完成している。したがって、本研究開発の光触媒フィルターを自動車用空気清浄機として商品化するのは容易と判断しており、また現行の商品化に対するアップグレード品として事業展開する事も可能と判断している。空調機用の事業展開に関しては、現行の空調機搭載の消臭フィルターはおよそ1年毎の交換が必要であるのに対し、本光触媒フィルターは交換不要であること、消臭効果が大きいこと、耐久性に優れていることにより空調機関連の事業への展開も可能と考える。
実用化・事業化にあたっての課題
複数社に対してサンプル提供や性能データ提出、デモ評価を実施しており、水質改善を目的とした川下企業から強い関心が得られ、事業化に向けた取り組みを開始している。今年度、APSジャパン(株)は本事業の追加研究開発を含む研究開発を主体とする開発センターを新しく設立し、試作品の開発、性能解析を行う体制を拡充するなど、事業期間終了後についても投資を継続している。
事業化に向けた提携や連携の希望
現状、水質分野の知見を有する大学等と連携を実施中、空調業界で清浄機関係を製造している企業と連携を実施中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | APSジャパン株式会社 研究開発室 |
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事業管理機関 | 公立大学法人大阪(大阪府立大学) 研究推進課 |
研究等実施機関 | APSジャパン株式会社 研究開発室 公立大学法人大阪(大阪府立大学) 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 マテリアル工学分野 |
アドバイザー | 千里金蘭大学 学長補佐 看護学部教授 白木 公康 豊田通商株式会社 ネクストモビリティ推進部テクニカルフェロー 川東 宏至 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 生産技術部 部長 鍋島 智夫 公益財団法人岡山県下水道公社 技術調整課 班長 黒石 哲生 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | APSジャパン株式会社(法人番号:4120001113231) |
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事業内容 | プレス加工部品、金型、OEM完成品、光触媒デバイス、放熱ソリューションズ |
社員数 | 11 名 |
生産拠点 | 海外(中国深圳地方)に1つの工場を保有 |
本社所在地 | 〒541-0059 大阪府大阪府大阪市中央区博労町4-5-6 野上ビル4F |
ホームページ | http://www.apsjapan.co.jp/ |
連絡先窓口 | APSジャパン株式会社 研究開発室 渡邉 剛文 |
メールアドレス | takafumi@apsjapan.co.jp |
電話番号 | 06-6245-1861 |
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