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精密加工

電気的、物理的に組織の切離を行う2種類の鉗子仕様の検討・設計開発

滋賀県

山科精器株式会社

2023年2月4日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 切離機能を有する世界初の内視鏡用軟性バイポーラ凝固鉗子の研究開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 精密加工、射出成形、軟性内視鏡用処置具、バイポーラ、細径化
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

成長著しい内視鏡治療分野においては、ユーザー(医師)から「組織を安全・確実に凝固した後、持ち替えることなく速やかに切離できる手術用鉗子」が強く求められてきた。本事業は、ものづくり企業3社が有する精密加工技術、特に金属成型・加工、溶接・圧着、さらには導電・絶縁設計等の基盤技術を結集、高度化することでこれを実現し、ユーザーの真のニーズを知り尽くした製販企業の協力を得て早期事業化をめざす研究開発である。

開発した技術のポイント

組織を安全・確実に凝固した後、持ち替えることなく速やかに切離を行える軟性バイポーラ鉗子として、組織を電気的または物理的に切離する2種類のコンセプトの鉗子を提案した。また、鉗子機能を最大限に発揮する回転追従性の高いシースを開発した。

具体的な成果

・電気的切離型バイポーラ鉗子の開発
-バイポーラ式特有の電気的特性を活かした、ジョーの厚み・長さ・断面形状を工夫した
-内視鏡操作者自身で鉗子の回転操作が可能となった

・物理的切離型バイポーラ鉗子の開発
-バイポーラ波で凝固後、ナイフで物理的に切離を行う仕様で開発を行った
-ナイフ、ジョー、アウターシースを様々な条件で試作し、ジョー全長でしっかりと組織をクランプできれば、切離できることを確認した

電気的切離型先端ジョー
物理的切離型先端ジョー
全体試作品
知財出願や広報活動等の状況

研究開発成果の利用シーン

組織を安全・確実に凝固した後、持ち替えることなく速やかに切離を行える軟性バイポーラ鉗子の開発によって、軟性内視鏡治療時の重篤な合併症の発症や出血を防ぐことができると期待できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

電気的切離型においては令和5年度中の事業化、物理的切離型においても早期の事業化を目指すべく、引き続き研究開発を実施する。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

しっかり凝固でき、なおかつ切断もできる「切離機能を有する世界初の内視鏡用軟性バイポーラ凝固鉗子」を目指し、軟性内視鏡治療の安全性を高めることを目標にしている。

今後の実用化・事業化の見通し

現在も電気的切離型の商品化に向けた改良を継続しており、当初計画よりも2年ずらした事業化の計画を想定している。
参画期間である大阪大学や慶應義塾大学の附属病院ならびに関連する施設、国立がん研究センター中央病院における臨床評価の結果を学会および論文発表し製品PRを行う。さらにケースレポートや無償サンプルの配布等により、当該製品のパフォーマンスを実感してもらいバイポーラ式製品に対するイメージを啓発していく活動に取り組んでいく。また海外市場において、内視鏡医の技術レベルが我が国に比して高くない欧米、アジア市場では、医療機器側で技術レベルを補完することが求められている。本開発製品は、既存品の高機能化、安全性の向上だけではなく、「機器を持ち替えることなく凝固と切離を行える」といった操作性の向上も期待でき、海外市場ニーズに合致していることから、国内市場だけでなく海外市場へも展開させていく予定である。

実用化・事業化にあたっての課題

物理的切離型の全体試作品は、ジョー全長で組織をしっかり把持できれば、ナイフで切離できるということがベンチテストにてわかったが、細径化かつ250㎝以上の長さで軟性化された先端ジョーに全長にわたって把持力を高めることは技術的に難易度が高く、補助事業期間中に十分な性能を発揮する仕様を決定することができなかった。まずは電気的切離型の商品化に向けた改良を実施し、より技術的課題が多い物理的切離型は電気的切離型の開発目途が立ち次第、再検討する。
補助事業終了時点では、電気的切離型は、最終試作品の絶縁性能を強化すれば製品化できそうであったが、その後の改良では、意図しない場所からのスパーク発生や組織をシャープに切離できない等の課題が再度発生した。操作ワイヤの配置など通電胴体部および操作グリップの構成はそのままで、ジョーの形状を再度見直ししている。ジョーを閉じた状態で組織の切離が達成できる条件を見直し、今まで実施してこなかった仕様など、補助事業で計画した目標値にとらわれず、組織をシャープに切離できる先端の形状を探索する。令和4年度上半期を目標に先端ジョーの仕様を決定し、令和5年度内の事業化を目指す。

事業化に向けた提携や連携の希望

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 山科精器株式会社 メディカルアドバンサーズ
事業管理機関 国立大学法人大阪大学 次世代内視鏡治療学共同研究講座
研究等実施機関 学校法人慶應義塾 内視鏡センター
国立研究開発法人国立がん研究センター 内視鏡科
株式会社シャルマン メディカル事業部
トクセン工業株式会社 ライフサイエンス事業部
株式会社アムコ 医科器械一部
アドバイザー 宮野医療器

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 山科精器株式会社(法人番号:2160001013537)
事業内容 FA化に貢献する各種専用工作機械、船舶用並びに発電プラント向の熱交換器、産業機械・船舶機関向潤滑機および医療機器の製造販売。
社員数 142 名
生産拠点 本社工場(滋賀県)
本社所在地 〒520-3001 滋賀県栗東市東坂525番地
ホームページ https://www.yasec.co.jp/
連絡先窓口 保坂 誠
メールアドレス medical@yasec.co.jp
電話番号 077-558-1173