精密加工
部分軟化によるアルミニウム合金の深絞り性能の向上と量産化技術の開発
愛知県
株式会社成田製作所
2022年2月17日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 部分的に軟化させたアルミニウム合金板による燃料タンク向け深絞り成形技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車、輸送用機械器具 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 部分軟化、深絞り加工、アルミニウム合金、成形加工 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
輸送機器業界では、燃費向上や運動性能の向上を目的として、車体の軽量化が継続的に検討されている。アルミニウム合金板は鋼板に比べて軽量な一方で深絞り性に劣るため、これまで自動二輪車の燃料タンクにはほとんど採用されてこなかった。本研究開発では、アルミニウム合金板の周辺部を短時間熱処理によって部分的に軟化させることで深絞り性を向上させ、燃料タンクを想定した試作品を作製することが目的である。
開発した技術のポイント
・サーボプレス内での部分軟化熱処理技術の開発
-ラボレベルでの最適熱処理条件の決定
-大型サーボプレスによる最適制御条件の決定
・加熱金型設計技術と板搬送装置の開発
-CAEシミュレーションを利用した加熱金型設計
-板搬送装置の開発
-小型の深絞り成形品の作製
・自動二輪用燃料タンクを想定した試作品の作製
-CAEシミュレーションを利用した最適な部分軟化領域の探索
具体的な成果
・サーボプレス内での部分軟化熱処理技術の開発
-ラボレベルでの検討を行い、単純な円筒深絞りを対象に、絞り比を最大化させるための最適熱処理条件を決定した。その結果、部分軟化成型法では2.24となり、目標値の円筒限界深絞り比を軟鋼板並みの2.2以上を達成することができた。
・加熱金型設計技術と板搬送装置の開発
-CAEシミュレーションを利用した加熱金型設計にも取り組み、テスト用の小型の深絞り成形品および、自動二輪用燃料タンクを想定した試作品を対象に、最適な軟化領域を決定した。
・自動二輪用燃料タンクを想定した試作品の作製
-自動二輪用燃料タンクを想定した寸法約1/2の試作品用の金型一式を作製し、部分軟化熱処理の実施及びそのブランクの深絞り成形実験を行った。その結果、オリジナル材はパンチ接触部55mmで亀裂が生じるものの、部分軟化熱処理を施したブランクでは、目標通りの成形高さ115mmまで絞ることができた。
研究開発成果の利用シーン
燃料タンクをアルミニウム合金で製造することができれば、高級感を損なうことなく軽量化でき、運動性能の向上に大きく寄与できるなど多くの付加価値が付与できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
自動二輪用燃料タンクを想定した寸法約1/2スケールの試作品用の金型において、部分軟化熱処理によって深絞り性が向上することが確認できた。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・特にプレス加工が難しいアルミ材料において、溶接組み立てしている製品の一体プレス化を実現できれば、生産工程を大幅に変革でき、技能的に未熟な作業者でも生産が可能となり、リードタイム短縮や低コスト化を実現できるようになる。
・コストや品質について、事前に予測できない問題を多く抱えている場合においては、プレス加工シミュレーションにより現物試作をすることなく生産検討が可能となるために、事前の設計に対するフィードバックが可能となり、大幅なリードタイム短縮とコストダウンが期待できる。
今後の実用化・事業化の見通し
今回の事業で開発するアルミニウム材料の深絞り技術は、自動二輪のタンクだけではなく、今後活発化する自動車のEV化に伴う車体の軽量化に対する解決策の一つとなると考えられる。現状ガソリン車においても、燃費効率の観点から高級車を中心にアルミニウム材料を使用する開発が進められており、そのための材料開発も行われていることから、今後さらに用途が拡大する可能性があり、これらが実現すればさらに新事業の展開が見込める。
実用化・事業化にあたっての課題
中・大型の自動二輪車用への搭載を目的とした市場拡大が必要
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社成田製作所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人名古屋産業振興公社 |
研究等実施機関 | 学校法人大同学園大同大学 名古屋市工業研究所 |
アドバイザー | FMイニシエーションサポート あいち産業科学技術総合センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社成田製作所(法人番号:3180001010795) |
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事業内容 | 輸送用器具機械製造業 |
社員数 | 240 名 |
生産拠点 | 御津工場(愛知県)その他、愛知県内に4工場を保有 |
本社所在地 | 〒456-0033 愛知県名古屋市熱田区花表町20-12 |
ホームページ | http://www.narita.co.jp |
連絡先窓口 | 株式会社成田製作所 第二製造部生産技術課 課長 都築謙、係長 三宅宏尚 |
メールアドレス | hironao.miyake@narita.co.jp |
電話番号 | 0533-76-2415 |
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