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測定計測

ZnOナノワイヤからなる光ガイド層を電気めっき法で形成し、CT装置用高解像シンチレータを開発する

東京都

株式会社三ツ矢

2022年1月25日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 電気めっき製造技術による高解像度複合シンチレータの開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、産業機械、情報通信、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高性能化(精度向上)
キーワード CT装置,高解像シンチレータ,光ガイド層,ZnOナノワイヤ,電気めっき法
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

以前の研究で、電気めっき法にて形成したZnOナノワイヤが高解像度シンチレータとして機能することを初めて実証した。また、このZnOナノワイヤの発光量そのものは大きくないので、発光層とZnOナノワイヤを組み合わせることで分解能の向上を目指し、基礎実験レベルで確認を行っている。
本研究では、過去の成果をもとに、実用化に向けて高性能化・最適化したZnOナノワイヤ形成技術の確立と、電気めっき技術の量産技術の開発を目的とする。また、製造現場で作成したナノワイヤを評価可能な工業用CT装置を改造した評価機の制作も行う。

高解像度複合シンチレータの構想図
開発した技術のポイント

ZnOナノワイヤ形成技術の確立、発光層形成技術、そして2つの技術を組み合わせた高解像度シンチレータの開発に成功した。またナノワイヤ形成についてはライン構築や、発光効率と空間分解能の評価機の開発にも成功した。
重要な目標である「空間分解能」が目標をクリアできなかったが、事業終了後の展開の望みを残した結果となった。

具体的な成果

ZnOナノワイヤの太さ・長さをコントロールできる技術を開発し、太さ200-400nm、長さ1000nm以上の大口径ナノワイヤ層を安定的に成膜できるようになった。
・多結晶発光体を薄く密に成膜する技術を獲得し、発光層を作ることができた。
・評価装置を開発し、開発プロセスにおける中間評価や最終的なシンチレータの性能を評価することができるようになった。
・ナノワイヤ層と発光層を組み合わせた「複合シンチレータ」を試作できた。明るさは単結晶シンチレータ並以上で、価格も目標をクリアできた。しかし、空間分解能が目標に届かず6㎛L/Sにとどまった。

開発したZnOナノワイヤ(径:310nm、長さ:9.8μm)
知財出願や広報活動等の状況

論文2件、国内学会発表3件(内、2件受賞)、国際学会発表2件。受賞した2件、国際学会発表2件は以下の通り。
(1)(国内学会発表、受賞)尾原 光、若月幸子、中西 梓、小林正和、篠崎順一、伊﨑昌伸、電気化学反応によるSrGa2S4:Eu /ZnO直立ナノワイヤシンチレータの作製とX線イメージング、表面技術協会第144回講演大会、オンライン、2021/9/17。
(2)(国内学会発表、受賞)尾原 光、若月幸子、中西 梓、 Khoo Pei Loon、小林正和、篠崎順一、伊﨑昌伸、X線イメージング用SrGa2S4:Eu /ZnO直立ナノワイヤシンチレータの電気化学的形成、第23回関西表面技術フォーラム、オンライン、2021/11/26。
(3)M. Izaki etal, Electroichemical construction of Eu:CaS/ZnO vertical nanowires scintillators for X-ray imaging, Interfinish 2021, Online, 2021/9/7.
(4)M. Izaki etal, Electroichemical construction and X-ray imaging of SrGa2S4:Eu/ZnO vertical nanowires scintillators, MRS-J on-line, 2021/12/14.

研究開発成果の利用シーン

医療用CTに導入することで、救急医療や脳外科、心臓外科などにおいて、0.5mm以下の微細病変の早期発見、確定診断が可能となる。
また、工業用ではマイクロフォーカスX線CTに導入することで10㎛以下の欠陥検出が可能となる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

未達となっている空間分解能を高めるため、追加研究を豊橋技術科学大学の支援のもと進める予定。また、並行して現在実現している発光強度・空間分解能で十分な用途・市場がないか探索を行っていく。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

従来の単結晶を用いたシンチレータに比べて、目標としている複合シンチレータは高空間分解能で低価格であるため、検出器価格・システム価格に大きく影響を与える。

今後の実用化・事業化の見通し

工業用X線透視装置への搭載を目指していく。本事業で開発した複合シンチレータは特殊な用途のものであり、販売先は限定されることから、関係を築いた企業を通して受注に結びつけていく。その後、医療用CT等への参入も、工業用途での様子がある程度見えた時点で行っていく。
(1)第一段階のターゲットは、工業用X線透視用として販売していく予定である
・第1ステップとして性能改善試作品を本事業のアドバイザーである浜松ホトニクスおよび島津製作所に提出し、評価していただく。
・第2ステップとして本事業で開発した複合シンチレータの販売先は、限られてくるため、本事業の副次効果で関係を構築できた(社)日本検査機器工業会を通して会員にアプローチし受注につなげる。
(2)第二段階として第一段階の実績を基に医療機器市場にアプローチする。

実用化・事業化にあたっての課題

複合シンチレータの空間分解能が6㎛L/Sと、目標の2㎛L/Sに到達していないため、更なる研究開発が必要である。

事業化に向けた提携や連携の希望

計測機器業界で工業用X線CTを製造している企業との連携を模索中、補完研究のため医療機器分野の企業/大学等との共同研究を希望。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社三ツ矢 技術センター
事業管理機関 タマティーエルオー株式会社 産学官連携事業部
研究等実施機関 国立大学法人豊橋技術科学大学 機械工学系系長 電気・電子情報工学系兼務 伊﨑昌伸教授
アドバイザー 浜松ホトニクス株式会社
株式会社島津製作所
東京都立産業技術研究センター

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社三ツ矢(法人番号:5010701009441)
事業内容 金属製品製造業
社員数 311 名
生産拠点 五反田工場(東京都)、関東・東北地方にさらに3つの工場を保有
本社所在地 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-8-11
ホームページ https://www.mitsuyanet.co.jp/
連絡先窓口 常務取締役 技術センター長 篠崎順一
メールアドレス shinozakij@mitsuyanet.co.jp
電話番号 03-3492-7197