測定計測
AI活用による小径パイプ内面粗さの非破壊自動測定技術の確立
京都府
二九精密機械工業株式会社
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | AI活用による小径パイプ内面粗さの非破壊自動測定及び高度リカバリー技術を統合した一貫開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | 非破壊検査,パイプ内面粗さ,全数検査 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、分析機器に搭載される小径パイプの内面状態を画像で細かく分類し、面粗さ、加工時のシワ、異物、油分を定量的に判定する全数非破壊自動測定装置の開発を目指している。また、基準外の欠陥に応じて、再研磨や洗浄などの高度なリカバリー技術を統合している。これにより、微少な検体でも高精度な分析が可能となり、幅広い科学分野の発展に寄与する技術となる。
開発した技術のポイント
・パイプ内面測定の高精度化技術の確立
-パイプ内面測定に最適なカメラと画像処理ユニットを選定できた。
-パイプ製造工程で生じたシワや油分を画像で判別できた。
・微少検体対応パイプに適用可能な技術の確立
-内径cp0.25mmの内面撮影するファイバースコープを製作できた。
-精密分析器に搭載される小径パイプの内面粗さを、非破壊で測定できるようになった。
・パイプ内異物/シワ判定技術の確立
-パイプ内面の異物やシワを画像から判定するAIモジュール作成し、非破壊でパイプの合否判定が可能になった。
・測定自動化/クレンジングシステム化技術の確立
-ハンドリングロボットの導入等によりパイプ内面撮影、画像処理等を自動で行うことができるようになった。また、パイプ内に異物等がありNG判定されたパイプは、内部を自動洗浄(クレンジング)するシステムを構築できた。
具体的な成果
・パイプ内面測定の高精度化技術の確立
-内径のφ1.0mmのパイプで、0.05mm幅のシワを検出。
-内径のφ1.0mmのパイプで、大きさがφ0.025mmの油分を検出。
・微少検体対応パイプに適用可能な技術の確立
-内径cp0.25mmの内面画像において、内面粗さRa0.04程度の測定ができる、オリジナル極細パイプ対応のファイバースコープの設計、開発。
・パイプ内異物/シワ判定技術の確立
-作成したAI判定モジュールで、異物の合否判定が95%以上の正解率を達成。
-1本あたり20箇所の測定で、パイプ全体の画像処理時間を15秒で達成。
・測定自動化/クレンジングシステム化技術の確立
-自動ハンドリングプログラムによる測定・判定時間を1分で実施。
-クリーンブースを設置し、クラス100のクリーン環境を構築。
知財出願や広報活動等の状況
・パイプ内面粗さ測定や、自動測定等で特許性のあるものを調査、今後の経営戦略に資するとされるものについては特許申請を行う。
・「アラサミール」商標権を取得する。
研究開発成果の利用シーン
・新型コロナの影響で加速した新規創薬において、RNAサイズレベルでの成分分析が重要となっている。本技術は、配管内の汚れや金属吸着の課題を解決し、創薬開発の精度と速度を向上させる。
・これまで破壊試験でしか確認できなかった極少径配管の品質を、非破壊で直接視認する革新的な技術により、医用や分析機器での高精度な品質確認が可能となる。
・一般的な配管径にも応用可能なため、配管を扱う多くの業種で品質安定性の向上に寄与し、品質ボトムアップに貢献する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・検査受託サービス
-展示会に出展し、小径穴のクレンジング案件に関する情報収集を行う。2027年度目標売上: 7,686万円
・装置開発製造受託
-自動化に関するPV を作成し展示会等で紹介することで、新規顧客開拓を行う。2027年度目標売上: 8,000万円
・測定装置販売
-昨年度引き合い案件の中で、高確度案件を継続してフォローしていく。2027年度: 目標売上高10,000万円
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
・非破壊評価技術の革新
-配管内の傷や異物を非破壊で視認・評価する技術を開発し、特に極少径配管の品質確認に革命をもたらす。
・幅広い業種での品質改善
-医用・分析機器以外の業界でも、配管の品質安定性向上に貢献し、幅広い分野で活用が期待される。
・AIによる省人化と安定した検査基準
-AI画像診断技術を用いて、人的な評価のバラつきを抑え、省人化を実現。新規参入企業にとっても参入障壁を低くできる。
今後の実用化・事業化の見通し
・現行モデルを各種展示会で紹介し、特に「九州ものづくりワールド」など地域性に応じた新たなニーズの発掘に注力する。
・開発担当者が営業担当者と共に客先を訪問し、技術プレゼンを行いながら顧客のニーズを直接ヒアリングする。
・PVを製作し、公式ウェブサイトにアップするなど、広報活動を強化する。
・オムロン関西制御機器を通じ、オムロンのプライベート展示会に参加し、販売モデルを紹介する。
・装置販売員の増強や、検査受託サービスに対応するための人員教育を実施し、体制強化を図る。
実用化・事業化にあたっての課題
・パイプハンドリング失敗時のエラー処理が未対応で、システム全体の堅牢性が低い。
・測定後のパイプ搬出に待ち時間が発生しており、スカラーロボット導入で効率改善が期待される。
・現在のAIモジュールは二九精密のパイプに特化しており、他社製品への適用には追加データが必要。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 二九精密機械工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
研究等実施機関 | 学校法人関西大学 |
アドバイザー | 株式会社島津製作所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 二九精密機械工業株式会社(法人番号:6130001011366) |
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事業内容 | 製造業 金属製品加工業 |
社員数 | 291 名 |
生産拠点 | 八木第一工場・第二工場(京都府)、京都工場(京都府) |
本社所在地 | 〒601-8454 京都府京都市南区唐橋経田町33-3 |
ホームページ | https://futaku.co.jp/ |
連絡先窓口 | 品質技術部 古屋秀幸 |
メールアドレス | h-furuya@futaku.co.jp |
電話番号 | 075-661-2931 |
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