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立体造形

金属積層造形装置による加工の品質向上と生産性向上

静岡県

株式会社モノコミュニティ

2023年2月4日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 金属積層造形における薄肉形状製品の品質・生産性向上のための生産支援ソフトウェア開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、航空・宇宙、コンテンツビジネス、産業機械、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)
キーワード 金属積層造形、三次元設計、検査結果の可視化
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成29年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

自動車、航空機等輸送機器等の川下企業では、軽量化に対する要求を背景に薄肉形状製品に対するニーズが高い。金属積層造形は従来工法では加工が不可能な形状を実現できるため薄肉形状製品の製造法として最適である。しかしながら、薄肉形状製品は剛性が低く変形しやすいため形状安定性が低い。この課題を解決するために、本研究では、試作レスが可能となる「金属積層造形用設計・製造支援ソフト」を開発し、生産性向上を図る。

開発した技術のポイント

・計測用X線CT装置を用いた造形歪みの計測・評価手法の確立
・薄肉形状製品の形状安定性に関する品質データベースの構築
・金属積層造形用の生産支援ソフトウェアの開発

具体的な成果

・切削加工により作製した計測用マスターをCMMと計測用X線CT装置で測定し、得られたデータを比較検証することで、撮影が難しいニッケル合金Inconel718において、測定誤差±0.05以内の最適な計測用X線CTの計測方法および評価方法を確立した。
・ニッケル合金Inconel718の形状安定性の品質に関するデータベースを構築し、適した造形条件を用いることで、薄肉形状製品の金属積層造形において肉厚±0.1mmの形状安定性を実現した。
・金属積層造形用の生産支援ソフトウェアとして、形状差異評価機能と形状安定性の可視化機能を有した造形品質可視化ソフトウェアおよび金属積層造形用肉盛り機能とサポート生成機能を有した金属積層造形支援ソフトウェアを開発した。

肉厚計算結果の可視化
X線CTの計測および評価
知財出願や広報活動等の状況

講演会での講演やWEBサイトへの開示など広報活動を続けている

研究開発成果の利用シーン

・「金属積層造形用評価機による形状安定性向上のために取るべき解決アプローチの明確化」および「金属積層造形品の計測用X線CT装置による計測方法や評価方法の確立」により形状安定性に関する品質データベースを構築することで、品質保証体制の強化による金属積層造形技術の標準化が可能となる。
・「金属積層造形用生産支援ソフトウェア」を新たに開発することで、試作不良の改善および製造方法の最適化による生産性の向上が可能となる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

川下製造業者は自動車用実証実験部品および複数構造製品の簡素化・軽量化を目的とした試作品の製作は、金属積層造形を有する開発型中小企業に委託し始めている。また、医療・歯科医療分野では、生産手術器具や内視鏡手術、整形外科およびインプラント用の最終製品用の部品生産が金属積層造形により実施されている。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・測定誤差±0.05mmに入る最適な計測方法および評価方法を確立し、ニッケル合金Inconel718の造形品においても3次元形状の詳細な計測・評価が可能になった。
・ニッケル合金Inconel718の形状安定性の品質に関するデータベースを構築し、適した造形条件を用いることで、肉厚±0.1mmの形状安定性を実現した。また、大幅な歩留まり向上を実現し、製品不良率を低減した。
・金属積層造形用の生産支援ソフトウェアを開発したことで、造形生産に進む事前段階において造形不良箇所を把握することが可能となった。また、品質データベースに基づいた適切な解決アプローチを事前に実施することで、形状安定性の品質向上、さらには、製品歩留まり改善による生産性向上が可能となる。

今後の実用化・事業化の見通し

・導入期(令和3年~4年度)
-開発製品の市場導入は既に確立している販路を利用する。
-高品質造形品は、形状安定性や品質保証に対する問題を改善することで、既存顧客の受注拡大および新規顧客獲得を目指す。
・成長期(令和5年~6年度)
-開発製品の特性や優位性をアピールするため、自動車関連川下企業およびその下請け企業に開発品を積極的な利用を促す。
-新規市場開拓に関しては、各種展示会に出展するとともに、開発ソフトウェアはインターネット上でトライアル期間を設け、ユーザーの利用機会を設ける。
・成熟期(令和7年度以降)
-開発ソフトウェアについては、成長期まででその有用性を示す実績を蓄積し、各造形装置メーカー専用ソフトウェアへの組込みも検討し、さらなる販路拡大を図る。
-ユーザーの意見を積極的に取り入れ、より使い勝手のよいソフトウェアへバージョンアップする。
-高品質造形品については、販路拡大による様々な顧客からの受注により、さらなる品質データベースの蓄積を進め、金属積層造形のメリットでもある多様性に対応した高付加価値製品の安定供給を目指す。

実用化・事業化にあたっての課題

高精度、高レベルな品質保証、安定したトレーサビリティが求められる製品については、川下製造業者の要求レベルと実際に得られる造形品の品質に乖離が大きいことが課題となっている。現状の金属積層造形装置で造形した造形品は、設計値と比較して、最大で0.3~0.5mmの差異がある。自動車や航空宇宙産業において多用される製品は、肉厚が0.8~1.0mm程度の製品が多く、その製品強度を設計者の想定内公差に入れるためには最大でも製品肉厚に対し、10%以内である0.1mm以下の寸法誤差内で造形することが期待されている。

事業化に向けた提携や連携の希望

金属積層造形品の設計・製造・検査に関連する企業との連携を図りたい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社モノコミュニティ
株式会社エヌ・ティー・エス
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
株式会社エヌ・ティー・エス
株式会社モノコミュニティ
アドバイザー 理化学研究所
株式会社日立製作所
合同会社YYCソリューション
ヤマハ発動機株式会社
東芝ITコントロールシステム株式会社
国立大学法人東京大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社モノコミュニティ(法人番号:6080401018909)
事業内容 ソフトウェア開発
社員数 11 名
生産拠点 静岡県浜松市中区鍛治町140番地の4 浜松Aビル6階
本社所在地 〒430-0933 静岡県浜松市中区鍛治町140-4 浜松Aビル6階
ホームページ https://www.monocommunity.com/
連絡先窓口 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 企画部 開発企画室
メールアドレス kaihatsu@iri-tokyo.jp
電話番号 03-5530-2528