複合・新機能材料
高温域で使用可能なPTC素子の開発
神奈川県
東京コスモス電機株式会社
2023年2月4日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 次世代車両向け120℃で自己加熱温度制御できるナノカーボン樹脂複合体ヒータの開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、ロボット、電池 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、低コスト化 |
キーワード | PTCヒーター、自動運転、視認性確保 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
現在の自動運転車には、ビデオカメラによる前方の認識の為に、フロントガラスの曇り・凍結防止が必要で、金属を利用した120℃で温度制御されたヒューズ付きヒータが搭載されているが、急速昇温不可・構造複雑さ・コスト課題がある。川下企業ニーズより、120℃で自己加熱温度制御できるナノカーボン樹脂複合体ヒータの開発を、80℃で自己温度制御できるカーボン複合体技術を基に、樹脂とカーボンの新規材料設計から行う。
開発した技術のポイント
・自己加熱温度制御カーボン樹脂複合体ヒータを振動条件下120℃に安定させた
-PTC特性を維持しつつ、耐熱性を有するヒータ素子の製造技術を確立した。
-素子成膜時のプロセスに対し最適化を検討し、素子の製造技術を確立した。
-接着テープを貼り付けた際に発生するダメージ及び振動による影響への安定化を実現した。
-断熱材などの最終製品相当となる Assy 状態における振動に対して安定化を実現した。
・自己加熱温度制御カーボン樹脂複合体ヒータの製造後の抵抗値安定化
-カーボン複合体と粘着テープとの2層積層部材の抵抗値制御
-全部6層積層後カーボン樹脂複合体製品の抵抗値制御
具体的な成果
・自己加熱温度制御カーボン樹脂複合体ヒータ開発
-実用的な抵抗値範囲にて、120℃での温度において初期抵抗値から2~5倍となる抵抗値制御、-40℃と120℃による温度サイクルでの安定性、通電サイクルによる安定性について、すべての特性を制御することが出来る素子を開発した。
-実用的な抵抗値範囲にて120℃放置試験後の抵抗値変化率が10%以内を達成した。
-被着体との接合における接着テープを素子に積層して120℃にしても素子の特性に影響を及ぼさず、かつ120℃環境下振動試験によるテープ剥離がなく、いずれも試験前後の抵抗値変化率が10%以内を達成した。
-すべての部品を積層したAssy状態での試験において、120℃環境下振動試験によるテープ剥離がなく、試験前後の抵抗値変化率が10%以内を達成した。
・自己加熱温度制御カーボン樹脂複合体ヒータの製造後の抵抗値を安定化
-テープ積層後常温の抵抗値変化率がほとんどないPTCヒータを開発した。
-全部6層積層後常温の抵抗値変化率が15%以内のPTCヒータを開発した。
知財出願や広報活動等の状況
各機関と協議し、知財権を取得せずに製造ノウハウとして秘匿する方針とした。本製品は比較的入手が容易な材料を巧みに組合せる事でその特異的な効果を発揮する。その為、知財取得の代償として技術情報が少なからず公開される事で規制の困難な海外では類似製品が製造される可能性を排除できない事が理由である。
研究開発成果の利用シーン
本事業にて開発したヒータは、次世代自動車に必須なフロントカメラの内部の曇り止めに活用される。
従来は、曇り止めの為に複雑な制御回路でもって、組み立て工程が複雑な高コストのヒータを採用していた。本事業にて開発したヒータでコスト削減、高速昇温を実現する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究開発で得られたヒータは、カーボン複合体PTCヒータとしてこれまでにない最高峰のレベルに到達しており、即時サンプル供試可能な状態である。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
本事業で開発したヒータは、金属ヒータより安価であり、従来の80℃仕様の耐熱性から40℃も向上させた120℃仕様の耐熱性を有するヒータ製品を、川下企業のニーズに適合し、実現可能な形を達成した。
今後の実用化・事業化の見通し
本研究開発で得られたヒータは、カーボン複合体PTCヒータとしてこれまでにない最高峰のレベルに到達しており、即時サンプル供試可能な状態である。
また、ヒータ用途としては自動車に限らず、以下の用途への展開を想定している。
・LED化された製品群では発熱量が低下した為、ヒータが必要となる分野
・家庭用ヒータの代替、革新
・建材向けヒータへの転用
実用化・事業化にあたっての課題
本研究における開発品は自動車用途であるが、今後の更なる過酷な耐久環境への適合について検討する。また、実際に実車搭載に際し、細やかな発熱特性への調整に対し適合性を検討する。
CNTの長さ調整における後処理の量産性については引き続き検討を実施し、容易に処理できるようにしなければならない。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 会津コスモス電機株式会社 東京コスモス電機株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人福島県産業振興センター |
研究等実施機関 | 国立大学法人山形大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 東京コスモス電機株式会社(法人番号:6021001028329) |
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事業内容 | 電子部品 |
社員数 | 130 名 |
生産拠点 | 福島県会津若松市、福島県白河市、大分県中津市、中国 山東省煙台市、中国 広東省広州市 |
本社所在地 | 〒252-8550 神奈川県座間市相武台二丁目12番1号 |
ホームページ | https://www.tocos-j.co.jp |
連絡先窓口 | 副本部長 藤木貴年 |
メールアドレス | fujiki_takatoshi@tocos-j.co.jp |
電話番号 | 046-253-3177 |
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