測定計測
従来の煩雑な抗体適応決定検査を一本化させ、患者様のQOLを確保する簡便な投与量決定検査時間を1/4に迅速化
岩手県
セルスペクト株式会社
2021年2月15日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 第4のがん治療法、免疫チェックポイント阻害剤適応・適量決定システムの高度化 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、低コスト化 |
キーワード | 電界撹拌、免疫組織染色、ELISA |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
がんの第4の治療法である抗PD-1抗体薬は高価であるため、適応並びに適切な投与量決定が重要。本事業は、同治療法の普及を加速させるべく、従来の煩雑な抗体適応決定検査を一本化させ、患者様のQOLを確保する簡便な投与量決定検査時間を1/4に迅速化し、各々の機能要素である抗PD-1抗体病理組織染色用人工キャリブレータと電界攪拌機能を与えた抗PD-1抗体ELISA対応アナライザーを開発する。
開発した技術のポイント
・抗PD-1抗体病理組織染色用人工キャリブレーター
‐免疫チェックポイント阻害剤適応診断に共通使用できる人工キャリブレーターの開発
‐電界撹拌技術を導入し、人工キャリブレーターを用いた迅速免疫組織染色の適用
‐臨床試験において、画像解析ソフトを用いて人工キャリブレーターの染色強度を数値化した。
‐人工キャリブレーターによる判定結果と既存診断法の病理診断結果が95%以上一致した。
・抗PD-1抗体ELISA対応アナライザー
‐電界撹拌条件の最適化により、吸光度が静置状態と比べて約2.8倍高く、かつ、ばらつきの変動係数を低減した。
‐ELISA時間を短縮し、既存ELISA法による測定値と電界撹拌ELISA法による測定値を比較し、良好な相関関係を確認した。
具体的な成果
・人工キャリブレーターの開発
‐免疫チェックポイント阻害剤適応診断に共通使用できる人工キャリブレーターの開発に成功した。
・抗PD-1抗体人工キャリブレーター用電界撹拌免疫組織染色システムの試作開発
‐電界撹拌の最適な電界印加条件の検討や、洗浄工程の最適化により目標の30分以内で免疫染色が可能な迅速免疫染色プロトコールの開発に成功した。
・人工キャリブレーターと既存診断法の相関試験
‐人工キャリブレーターの判定結果と既存診断法の病理診断結果が95%以上一致することを達成した。
・抗PD-1抗体ELISAに適する電界撹拌技術を用いた迅速アナライザーの試作開発
‐測定値のばらつきを表す変動係数が目標である20%以下よりもさらに低い10%以下とすることに成功した。
・抗PD-1抗体ELISA用自動電界撹拌迅速ELISAアナライザーの開発
‐ELISAに要する時間を目標である測定時間1時間以内を大きく上回るトータル40分に短縮することが出来た。
・抗PD-1抗体ELISAによる血中濃度測定試験
‐抗PD-1抗体を対象とした電界撹拌ELISA法による検体の測定に成功した。既存ELISA法による測定値と電界撹拌ELISA法による測定値を比較した結果、相関関係は良好であった。
研究開発成果の利用シーン
・本技術を用いることで、がん治療における従来の煩雑な抗体適応決定検査を一本化させ、患者のQOLを確保する簡便な投与量決定検査時間を短縮できる。
・本技術の高度化は、血中濃度測定時間を短縮できる。
・本事業により得られた技術によって、体外診断の簡略化、患者のQOLの向上に貢献できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化へ向けてセルスペクト株式会社は体外診断用医薬品製造販売業許可および第2種医療機器製造販売業許可を有し、体外用医薬品登録製造所および医療機器登録製造所をすでに稼働させている。
電界撹拌技術は秋田県産業技術センターが要素技術を持っており、秋田大学との共同研究により開発した自動染色装置ラピートIHCを医療機器としてサクラファインテックジャパン株式会社より上市している。
セルスペクト株式会社は診断薬の開発経験が豊富であり、抗体医薬品ELISAを上市している。
製品・サービスのPRポイント
本技術を用いることで、従来の煩雑な抗体適応決定検査を一本化させ、患者のQOLを確保する簡便な投与量決定検査時間を1/4に迅速化することができる。
本技術の高度化は、免疫チェックポイント阻害剤の適応決定検査を従来の薬剤ごとから、1回へ一元化させること、さらに血中濃度測定時間を従来の4時間から60分以内へと迅速化を可能にする。
現在、新薬のため適切投与量についての知見が蓄積されていないという課題が存在し、免疫チェックポイント阻害剤における薬剤適切投与量の決定が簡便になされる技術開発が求められている。本事業により得られた技術によって、体外診断の簡略化、患者のQOLの向上に貢献する。
今後の実用化・事業化の見通し
抗PD-1抗体ELISA対応電界撹拌アナライザーは抗PD-1抗体のみならず、様々な抗体医薬品を含む抗がん剤に適用可能であり、がん治療の個別化医療全般に展開可能である。また、本事業で得られた検体解析技術は臨床検査所事業に活かせる。
実用化・事業化にあたっての課題
人工キャリブレーターと既存診断法の相関試験を、今後より多くの検体を用いて有効性を確認する必要がある。
抗PD-1抗体を対象とした電界撹拌ELISA法による検体の測定に成功した。既存ELISA法による測定値と電界撹拌ELISA法による測定値を比較した結果、相関関係は良好であったものの、LC-MS等の抗原抗体反応の原理を用いない方法でさらに検討を行う必要がある。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | セルスペクト株式会社 パソロジーリサーチセンター (秋田事業所) |
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事業管理機関 | 公益財団法人あきた企業活性化センター |
研究等実施機関 | 秋田県産業技術センター 先進プロセス開発部・中村竜太 国立大学法人秋田大学 医学部腫瘍制御医学系胸部外科学講座・南谷佳弘 旭川医科大学病院 病理部・谷野美智枝 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | セルスペクト株式会社(法人番号:5400001009706) |
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事業内容 | 医療機器製造販売業・<体外診断薬・医療機器の開発、製造販売 / 新規バイオマーカーの開発 / ヘルステックデーター活用事業> |
社員数 | 78 名 |
本社所在地 | 〒020-0857 岩手県盛岡市北飯岡2-4-23 |
ホームページ | https://cellspect.com |
連絡先窓口 | セルスペクト株式会社 メディカルサイエンス部 林 秀洋 |
メールアドレス | hhayashi@cellspect.com |
電話番号 | 080-5734-9809 |
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