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表面処理

「多機能性コーティングDBC/TBC」で材料に新たな価値を!

北海道

株式会社ディ・ビー・シー・システム研究所

2022年1月25日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 航空機用ジェットエンジン向け遮熱・拡散バリアコーティングシステムの研究開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮
キーワード コーティング、断熱、酸化防止、材料強度、水蒸気酸化
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、耐高温酸化・熱遮蔽・機械的特性に優れた遮熱・拡散バリアコーティング(DBC/TBCシステム)を航空機用ジェットエンジンに施工するための要素技術(めっき、スラリ、アルミ拡散、溶射、熱処理、等)を開発し、実機の燃焼器・ノズルと動翼への施工技術を確立することによって、DBC/TBCシステムの高効率ジェットエンジンへの搭載を目指す。

開発した技術のポイント

3種類のDBC施工プロセス(めっき、スラリー、α-Cr)を用いて、燃焼器材料であるハステロイXへの施工技術を確立した。
各施工プロセスの特徴は以下の通り。
・めっき
-σ-Re-Cr-Ni 系のバリアを形成、均一な成膜形成が可能(数 μm~数10μm)
・スラリー
-W-Mo-Cr 系のバリアを形成、厚膜の形成が可能(数 10~数100μm)
・α-Cr
-Al 拡散処理により α-Cr(Mo)系のバリアを自己形成、低温処理・低コスト

具体的な成果

クリープ試験では、DBCによりクリープ破断時間の延伸が認められた。また、疲労試験においても実機燃焼器で行われている歪み取り焼鈍後のサンプルの破断サイクル数を基準とすると、DBCにより約2.7倍の破断寿命延伸が認められた。
サイクル酸化試験により、TBC施工後の耐酸化性およびTBCの耐剥離性が従来の「基材/TBC」よりも大幅に向上する事を確認した。
燃焼(模擬)ガス雰囲気高温酸化装置の設計・製作し、水蒸気含有雰囲気での高温腐食試験を実施した結果、各DBCはハステロイXよりも優れた耐腐食性を示した。
実機燃焼器を想定し、めっき施工方法と歪みについて調査を行った。めっき施工方法については、従来異常が見られていためっき末端部の改良を試みた。その結果、めっき膜厚を徐々に薄くしていく「収斂型」と末端のRe層をNi-Crで覆う「被覆型」という2種類のめっき施工を行う事で、従来みられためっき末端での問題点(剥離、異常酸化)を解決できることが分かった。また、模擬燃焼器カットモデルを用いた歪みについて調査し、コーティング方法により変形の抑制・制御が行える事が分かった。また、DBCにより、耐酸化性の向上と、変形抑制の両方の効果が得られることが分かった。

知財出願や広報活動等の状況

・特許第3916484号「耐高温酸化性に優れたNi基合金耐熱材料及びその製造方法」
・特許第483499号「耐酸化性合金皮膜,合金皮膜の製造方法および高温装置部材の製造方法」
・特許第4896702号「合金皮膜,合金皮膜の製造方法および耐熱性金属部材」
・米国特許8,173,269「ALLOY COATING FILM, METHOD FOR PRODUCTION OF ALLOY COATING FILM, AND HEAT-RESISTANT METAL MEMBERS」
・特許第6083710号「耐熱合金部材の製造方法」
・特許第5794537号「耐熱合金部材及びその製造方法ならびに合金皮膜及びその製造方法」
・特許第5737682号「耐熱性金属部材、耐熱性金属部材の製造方法、合金皮膜、合金皮膜の製造 方法、ロケットエンジン、人工衛星及び発電用ガスタービン」

研究開発成果の利用シーン

本研究で開発したDBC/TBCシステムによって、耐高温酸化・熱遮蔽・機械的特性に優れた遮熱・拡散バリアコーティングが可能となる。
そして、高効率ジェットエンジンへの搭載が可能となる。またそれ以外にも、本技術は発電用ガスタ-ビン、スラスタエンジンの性能を革新的に改良できる可能性を有する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

試験データや施行試作品などを展示会(ロボット航空宇宙フェスタふくしま、なごやメッセ、日本ものづくりワールド2021 第3回航空・宇宙機器開発展)、セミナー(北海道航空ビジネス検討会主催、北海道機械工業会主催)などに出展・紹介し、事業提携先を探索している。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

本研究で開発したDBC/TBCシステムによって、基材に耐高温酸化性・熱遮蔽・機械的特性向上・TBC耐剥離性を付与する事が可能となる。
これにより、燃焼温度の上昇が可能となり、燃焼効率向上による省エネ・航続距離延長が見込まれる。

今後の実用化・事業化の見通し

小型ジェットエンジンの開発実績がある国内メーカーでは、そのエンジンを搭載する小型ビジネスジェット機を年間百機単位で製造・引渡しを行っており、数年後には2倍に増加すると見込まれている。
本研究で開発する遮熱・バリアコーティング(TBC/DBC)システムは世界的にも最先端の機能を有することから、小型次世代航空機に搭載し、実績を得ることを目指し、その後、小型から中型へ、さらには世界の他の航空機メーカーへの販売展開を期待している。

実用化・事業化にあたっての課題

早期に生産・販売へ移行することが課題である。

事業化に向けた提携や連携の希望

弊社ではDBCコーティングシステムの実用化を目指しており、例えば、人工衛星のスラスタ-エンジンはJAXAとの共同研究開発で要素技術を確立しているが、実機への搭載を目指す場合、周辺技術と関連企業との協業が不可欠である。リスクを伴う本事業に積極的に参画・推進してくれることを期待している。
また、基礎研究から実用化で遭遇する“死の谷”を“一緒に”世界に先駆けて、克服する取り組みを希望している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社ディ・ビー・シー・システム研究所
事業管理機関 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター クラスター事業部
研究等実施機関 国立大学法人北海道大学 大学院工学院材料化学専攻エネルギー材料講座先端高温材料工学 教授 林重成
学校法人北海道科学大学 工学部 機械工学科 教授 齋藤 繁
アドバイザー 札幌エレクトロプレイティング工業株式会社
株式会社 産鋼スチール
一般社団法人 北海道発明協会

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社ディ・ビー・シー・システム研究所(法人番号:6430001038024)
事業内容 製造業(表面処理)、タービンのホットセクション(燃焼器,、動翼、静翼、ノズル)等へのコーティングの共同開発、コーティング施工と販売 (熱電対保護管、ノズル) 、高温腐食防食に関する調査・分析とアドバイス
社員数 3 名
生産拠点 北海道小樽市銭函3-515-1
本社所在地 〒001-0901 北海道札幌市北区新琴似1条9-7-8
ホームページ http://dbcsystem.co.jp/
連絡先窓口 加藤 泰道
メールアドレス y.kato@dbcsystem.co.jp
電話番号 0134-61-1670