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研究開発された技術紹介

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製造環境

ビッグデータ型と一線を画すアプローチで、熟達者知見(言語・思考回路)の形式知化と、センシングデータとの紐づけにより、製造環境の影響による不具合要因推定と対策リコメンドを行うシステムを構築し、省人化・技術伝承の短期化・新技術導入のコスト削減に貢献する

山形県

株式会社LIGHTz

2021年2月24日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 金型チューニングに関する熟達者知見のAI化による機差・環境差推定の研究開発
基盤技術分野 製造環境
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、産業機械、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(遠隔拠点対応(リモート))、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード AI、IoT、熟達者知見、技術・技能伝承、条件最適化
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

自動車産業で多く使用さる樹脂成形部品の成形には金型が使用される。この金型が取り付けられる成形機の個体差(機差)や成形機の設置環境の温度や湿度、材料、取り付け方法などの差(環境差)により成形条件のバラつきが生じるため、成形メーカーにとって大きな負担となっている。これを解決するためチューニングを実施する熟達者知見をAI化し、金型出荷前段階で機差・環境差を予測するシステムを構築する。

開発した技術のポイント

・熟達者知見のブレインモデル構築
熟達者の着眼点と思考回路の言語によるネットワーク化・可視化
・生産現場の知見と学術知見の融合
樹脂挙動に着目した不具合発生/要因対策メカニズムの定義・体系化
・IoT連携
ブレインモデルとIoT金型を用いたセンシングデータ(特徴量)との組み合わせによる推定アルゴリズムの構築、ユーザーの利用シーンを想定したリコメンド機能を含むユーザインターフェイスの提供、クラウド活用など

具体的な成果

- 機差・環境差推定アルゴリズムの開発
機差・環境差に起因する要因推定アルゴリズムを構築した。これは、熟達者の「言葉」と「思考回路」を独自の手法で可視化・ネットワーク化したもの。熟練者知見は、金型・成形メーカの熟達者等にヒアリングし、樹脂成形の不具合発生時に関する知見を抽出した。
- 機差・環境差推定システムの実験検証
金型内部の樹脂挙動を捉える実験検証を行い、成形した際の時系列のセンサー値と製品側に現れる不具合とその要因の特徴(教師データ)のデータセットを取得した。また、プロトタイプシステムを開発し、実生産により近い条件/環境下で、トライアルを実施した。リアルな成形機上・成形品で突合検証した結果、AI が導き出した回答と現場で行われた対策効果について、一致度 80%以上を確認した。
- 機差・環境差推定の本番システム開発・導入
モデルケース2拠点でシステム有効性の検証を行った結果、本番システムテストで、AI 回答と現場対策の結果の一致度 83%(目標 80%以上)を達成した。また導入効果の推定として、74%のコスト削減効果(目標 50%以上)があるとの結果を得た。

知財出願や広報活動等の状況

AIエキスポ等での紹介や業界団体の会報等を通じた紹介を実施。複数の企業より引合いをいただいている。

研究開発成果の利用シーン

開発したシステムを活用することにより、従来熟達者が入らないと難しかった金型チューニングを、経験浅いオペレータでもAI活用で熟練者知見を取り入れ、作業が遂行できるようになるため、作業現場のリソース不足が改善され、コスト削減や効率化につながる。また、このシステムを若手の教育にあてることで、スキルアップが容易となる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

樹脂成形メーカーに向けたIoT金型による成形機の機差診断サービス化やCAEとの連携について提案。さらに、今回の技術を活用し、プレス成形や研削加工分野におけるセンシングデータと熟達者知見連携について推進中。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

本システムは、熟達者知見をベースとしたAI を活用し、金型チューニングの機差・環境差を推定するもので、新人/現場オペレータの作業をサポートする。言語(定性情報)とデータ(定量情報)を組み合わせて、適正な示唆を与える仕組みとなっており、射出成形の量産立上げ/トライアル段階での機差・環境差に起因する不具合対策/条件補正を対象とする。期待される効果としては、リモートチューニング対応による熟練者の工数削減や、システムを活用した若手社員の教育、コストやリードタイムの削減がある。

今後の実用化・事業化の見通し

自動車メーカ等の多品種少量・世界同時立上げ・リードタイム短縮等の追求、部品メーカの従前とした生産形態・人的不足等に対して、Web プラットフォームを利用し、複数拠点間で活用できるサービスモデルを構築して事業展開していく方向である。
Web プラットフォーム活用については、今回の取り組みで整備した樹脂成形知見の配信サービス展開や、新規に開発した検索ツール「Pincy Park」を通じた知見活用ソリューションの販売展開を進めている。

実用化・事業化にあたっての課題

本システムでは、実験データを解析し、発生する不具合と圧力や温度、射出速度などの成形条件、そして IoT 金型のセンサー波形の特徴量を特定した。今後、事業展開にあたり、部品化されたアルゴリズム選択や、CAEの活用、実データを教師データとしてフィードバックする仕組みを構築し、ユーザの利便性を向上する必要がある。

事業化に向けた提携や連携の希望

本システムのモデルを活用し、工作機械メーカーとNCデータや外部センサーデータの波形特徴と熟達者知見を連携させる仕組みづくりのための連携を模索中。
補完研究のため、センシングデータの特徴をCAEにフィードバックするためのシミュレーション(構造設計・解析等)分野の知見を有する大学等と研究希望。
海外事業展開を予定しており、海外製造拠点に対するリモートでの加工条件補正の実地検証ができる事業提携先を模索中。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社LIGHTz 事業企画部
株式会社IBUKI 生産部
事業管理機関 一般財団法人素形材センター
研究等実施機関 株式会社LIGHTz 代表取締役社長 乙部 信吾、事業企画部 部長 堀越 龍彦 
株式会社IBUKI 生産部 芳賀 敏昭、林 孝之
国立大学法人山形大学 有機材料システム研究科 教授 伊藤 浩志、研究員 石神 明
アドバイザー 三菱自動車工業株式会社
しげる工業株式会社
山形県工業技術センター
一般社団法人日本金型工業会

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社LIGHTz(法人番号:6050001041719)
事業内容 スペシャリスト思考のAI化と実務適用支援、次世代情報メディア開発、ロボットの社会適用モデル開発
社員数 94 名
生産拠点 つくば市(本社)、品川オフィス、盛岡ランドマーク、佐賀ランドマーク グループ会社:株式会社O2[オーツー](東京)、株式会社 XrossVate [クロスベイト](東京)、株式会社IBUKI[イブキ](山形)
本社所在地 〒305-0047 山形県つくば市千現2-1-6(つくば研究支援センター内)
ホームページ https://lightz-inc.com/
連絡先窓口 ㈱LIGHTz CMO 堀越 龍彦
メールアドレス tatsuhiko.horikoshi@lightz-inc.com
電話番号 029-886-5072
備考 連絡先窓口②
(一財)素形材センター 企画部 中野 智香子
nakano@sokeizai.or.jp