バイオ
ポリフェノールパラドックスの解明に向けて~革新的な機能性食品素材であるポリフェノール共通代謝物HMPAの開発~
広島県
丸善製薬株式会社
2023年2月13日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | メタボリックシンドローム予防を目的とした革新的な機能性食品素材(米ぬか発酵代謝物)の研究開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、食品、化粧品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(有効性向上)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | HMPA、米ぬか発酵物、アクティボディ、機能性表示食品、オープンイノベーション |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
機能性食品素材ではより効果があるものを求められているが、実際には消化管や腸内細菌の作用を受けるため、個人の腸内環境の状態などにより十分な効能が発揮されていない。そこで、腸内細菌と同様の代謝能を有する乳酸菌を用いて、米ぬかを原料に、人の体内での実効成分の一つ(HMPA*)を効率的に発酵生産し、濃縮・精製工程の最適化を図ることで高度に含有する機能性食品素材を開発し、その素材の安全性と有用性を実証する。
*HMPA : 3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸 の略称で、植物中のいくつかのポリフェノールで摂取した際に生成される共通の代謝成分である。
開発した技術のポイント
・乳酸菌菌株の育種による高耐性・高効率変換株の取得と米ぬかを利用した培地の確立
‐培養に適した米ぬか培地を設定し、HMPA高変換株を取得
・スケールアップによる量産化の確立
‐HMPA培養生産のスケールアップの検討
‐HMPA濃縮・精製法、及び製剤化法の確立
・安全性および機能性の確立
‐動物、ヒトの試験により、商品が安全であることを確認
‐HMPAの抗肥満作用メカニズムの解明
具体的な成果
・乳酸菌菌株の育種による高耐性・高効率変換株の取得
‐培養に適した米ぬか培地を設定し、HMPA高変換株を取得した。
・スケールアップによる量産化の確立
‐実機スケールにおいて、着手時と比較して変換効率を12倍に増加し、培養日数を6.5日→1日以内に短縮した量産化条件を確立した。
‐HMPA25%含有粉末製品の製造体制を確立した。
・安全性および機能性の確立
‐動物、ヒトの試験により、商品が安全であることを確認した。
‐ヒトにおける有効性(腹部脂肪低減作用)において、対照群と比較して腹部脂肪が有意に低減することを確認した。
‐抗肥満作用メカニズムの解明において、HMPAが抗肥満・代謝改善効果の分子作用実体である可能性が示唆された。
知財出願や広報活動等の状況
・知財に関しては、製造特許出願中。
・ヒト有効性試験の結果については、論文化を実施。
1) 吉野進ら,薬理と治療 2021; 49(10): 1639-48.
2) 吉野進ら,薬理と治療 2022; 50(5): 791-9.
3) 吉野進ら,薬理と治療 2022; 50(6): 1031-40.
・2021年及び2022年の展示会にて商品を紹介を実施。
研究開発成果の利用シーン
本事業を通して開発したアクティボディⓇRB(米ぬか発酵物)は、確かな有効性を有し、指標成分が明確で、安定性や水溶性が高いため、機能性表示食品の素材として剤型を問わず利活用が可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・商品名の商標として「アクティボディ」を登録済。
・HMPA配合商品を機能性表示食品として消費者庁に届出し、受理され(届出番号:G1098)、販促活動を実施中。
機能性表示食品の受理実績:19件(2023年1月現在)
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・HMPA(アクティボディⓇRB)は機能性表示食品に届出可能である。
・ヒトにおける腹部脂肪低減作用の検証の結果、BMIが高めの被験者が12週間、HMPA(アクティボディⓇRB)摂取することで、対照群と比較して腹部脂肪が有意に低減している。
・ヒトにおける食後血糖では、食後血糖値が高めの被験者が4週間HMPA摂取することにより食後血糖値が改善する可能性が示唆されている。
・HMPA(アクティボディⓇRB)は安定性や水溶性が高く、味もほとんど無いため、幅広い食品へ配合が可能である。
今後の実用化・事業化の見通し
・認知度の向上のため、情報を配信を行い、業界紙への記事掲載やセミナーを実施し、更に販促活動を強化し、一般消費者へHMPA配合製品を届けることで、健康・生活習慣病予防を通じた人々のQOL向上を目指す。
・HMPAに関してのエビデンスを充実させるため、今後臨床試験も含めた検討を進める。
実用化・事業化にあたっての課題
販促活動の強化(認知度の向上)
事業化に向けた提携や連携の希望
補完研究として食事と腸内細菌代謝物との関係を明らかにするため、腸内環境に関する研究分野の知見を有する大学等と研究希望。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 丸善製薬株式会社 研究開発本部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人ひろしま産業振興機構 ものづくり革新統括センター |
研究等実施機関 | 株式会社秋田今野商店 学校法人加計学園岡山理科大学 生命科学部生物科学科 国立大学法人京都大学 大学院生命科学研究科 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 丸善製薬株式会社(法人番号:8240001038553) |
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事業内容 | 医薬品、医薬品用素材抽出物、医薬部外品用素材抽出物、化粧品用素材抽出物、食品添加物、食品、食品用素材抽出物、健康食品、健康食品用素材抽出物の製造販売 |
社員数 | 427 名 |
本社所在地 | 〒722-0062 広島県尾道市向東町14703-10 |
ホームページ | https://www.maruzenpcy.co.jp/ |
連絡先窓口 | 丸善製薬株式会社 総合研究所 研究開発本部 桒原浩誠 |
メールアドレス | h-kuwahara@maruzenpcy.co.jp |
電話番号 | 0847-52-5501 |
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