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バイオ

医療分野で利用されているタンパク質(細胞増殖因子・成長因子)をコムギ胚芽由来で安価に提供

徳島県

NUProtein株式会社

2023年2月14日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 有用タンパク質の超低コスト化を実現するタンパク質高発現無細胞合成系の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、低コスト化
キーワード 成長因子、細胞増殖因子、タンパク質合成、無細胞
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

製薬・創薬分野の研究開発において、有用タンパク質の低コスト化、国内での安定調達が喫緊の課題である。本開発では、コムギ胚芽の物性・成分解析と新たな抽出方法に依る抽出効率の向上とコムギ胚芽選別装置の開発、さらに、AIによる遺伝子レベルの高発現化によりタンパク質合成量を100倍向上させる。結果、有用タンパク質の製造コストをグラムあたり200万円から2万円に超低コスト化し、生産性革命に寄与する。

開発した技術のポイント

・従来のコムギ胚芽抽出液の製造方法に比べ120倍の合成量アップ、コストダウンを実現した。
・従来はコムギ胚芽から不純物を取り除かなくてはいけないが、本研究で開発したコムギ胚芽抽出液には細胞毒性がなく、未精製のまま細胞培養に利用できることを示した。

具体的な成果

・コムギ胚芽選別における選別因子・パラメータの同定
‐胚芽品質を一定に保つコムギ胚芽選別器における選別パラメータとその閾値を同定できた。
・コムギ胚芽抽出液の製造方法・最適化
‐従来比120倍の合成量アップ、コストダウンを実現した。
・コムギ胚芽選別器の試作
‐コムギ胚芽選別器の試作を完了し、抽出液品質確保を実現した。
・世界初のテーラーメードエンハンサー導出システムを実現
‐目的タンパク質の遺伝子毎にタンパク質合成量を向上させる、遺伝子特異的エンハンサー導出プログラムを製作した。
・コムギ胚芽抽出液の物性・特性
‐本研究で作成したコムギ胚芽抽出液には細胞毒性がなく、未精製のまま細胞培養に利用できることを示した。

知財出願や広報活動等の状況

・無細胞タンパク質合成系での遺伝子テンプレート特に3’側エンハンサー(3’UTR)としてタンパク質合成量を向上させる塩基配列を見出した。これに関する特許出願を実施し、事業期間中に国内成立した。
・単離された5’UTR の汎用エンハンサーと、5’UTR と3’UTR を接続する塩基配列構造に関する特許出願を2件実施し、2件とも国内成立した。
・5’UTRに係わるアルゴリズムを特許出願し、国内成立した。
・上記4件の特許は2022年5月現在、海外出願中である。

研究開発成果の利用シーン

・無細胞タンパク質合成試薬
‐バイオ医薬品、酵素などのタンパク質研究者向け、タンパク質を高効率で合成する。
・目的タンパク質向けエンハンサー配列導出Webサービス
‐バイオ医薬品、酵素などのタンパク質研究者、ならびにタンパク質の大量合成を行うタンパク質受託合成業者向けに、目的タンパク質の発現量を極大化させる。
・細胞増殖因子
‐再生医療あるいは培養肉等の幹細胞増殖・分化に必要な培地添加消耗品であるタンパク質として利用する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

国内外の製薬会社に対して試薬の販売やOEM提供を実施している。これにより、世界規模の販路が確保できた。また、大手再生医療関連企業にサンプルを提供しており、商談が継続している。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・コムギ胚芽と抽出方法の最適化とコムギ胚芽選別機の開発・評価
‐コムギ胚芽とコムギ胚芽抽出方法の最適化し、抽出液中のタンパク質濃度100mg/100ml、RNA濃度3.0~3.5mg/mlを実現した。
‐コムギ胚芽選別器の開発・評価を行い、従来比 120倍以上のタンパク質収量を達成した。
‐コムギ胚芽抽出液でのmRNAの大規模状態解析を行い、より効率的な無細胞合成系を構築した。
‐無細胞合成系での新奇汎用エンハンサーの探索・評価を行い、タンパク質合成量を大幅に増加させる配列を見出した。
・コムギ胚芽翻訳系での数理モデル構築および遺伝子特異的エンハンサー配列導出アルゴリズムの開発
‐数理モデル構築・アルゴリズム開発・評価を行い、成長因子では、トータル1/3000のコストを実現した。
‐最も発現量のよい配列を取得することができた。

今後の実用化・事業化の見通し

次の製品・サービスを提供している。
・無細胞タンパク質合成試薬の販売
・細胞増殖因子の提供
・細胞増殖因子製造技術・特許のライセンスの提供

実用化・事業化にあたっての課題

特に医療用分野では生理活性強化、すなわち、より長時間生体内での機能性を持続できるように、タンパク質の翻訳後修飾誘導を検討する必要がある。

事業化に向けた提携や連携の希望

海外展開とスケールアップにおいては、原料調達および上流プロセスが重要であるため、川上企業との連携、特に穀物関係企業、化学関係企業との連携を希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 NUProtein株式会社 徳島研究所
事業管理機関 公益財団法人とくしま産業振興機構 成長戦略推進部
研究等実施機関 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科
徳島県立工業技術センター 食品・応用生物担当
アドバイザー メルク株式会社
フナコシ株式会社

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 NUProtein株式会社(法人番号:1180001124408)
事業内容 製造業
社員数 6 名
生産拠点 徳島研究所(徳島県)
本社所在地 〒770-0942 徳島県徳島市昭和町3-20
ホームページ https://nuprotein.jp
連絡先窓口 NUProtein株式会社 代表取締役 南 賢尚
メールアドレス masataka.minami@nuprotein.jp
電話番号 088-677-9226