文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 塩素イオンや水素を遮断しステンレス配管や容器とその溶接部に長期耐久性と信頼性を付与しコスト低減に貢献

表面処理

塩素イオンや水素を遮断しステンレス配管や容器とその溶接部に長期耐久性と信頼性を付与しコスト低減に貢献

鳥取県

株式会社アサヒメッキ

2023年2月15日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 革新的不動態厚膜形成法によるステンレス配管・容器溶接部等の高耐食化処理システムの実用化開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、環境配慮、低コスト化
キーワード 防食、水素遮断、SUS304防食施工、不動態厚膜、耐孔食性
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

電解研磨と独自の化学酸化発色処理法を組み合わせたウェットプロセス表面改質技術により、ステンレス鋼表面に最大250nm厚さの緻密な不動態酸化膜を形成し、水素を含む外部からの腐食因子を有効に遮断する防食技術を実用化する。表面処理が難しいステンレス配管・容器等の溶接部内外面に防食施工を行うことができる可搬型処理装置を開発するとともに、IoT・AI活用データベースに基づく防食施工管理システムを開発する。

提案した研究開発の概要
開発した技術のポイント

・ステンレス配管・容器の耐久性向上を図るウェットプロセス高耐食性機能膜の開発
-電解液の組成やパルス電源による極性反転電位負荷条件およびミクロ曝気条件の最適化
-化学発色処理(酸化物層形成と陰極電解封孔処理)と不動態化浸漬処理条件の最適化
・開発皮膜の環境遮断性のメカニズム解明と実測評価、データベースと解析システムの構築
-SUS304被覆材の耐孔食性・水素透過遮断性に関係するプロセス条件(温度・pH・時間・電位・電流密度)の最適化
-ニューラルネット機械学習による解析アルゴリズムの設計
・溶接箇所の防食施工を可能にする可搬型処理装置の開発と試作品評価
-可搬型処理装置のデータ取得送信・制御システムの開発

新技術概要
具体的な成果

・電解研磨技術の高度化
-無機酸と有機酸からなる新規電解液を開発し、SUS304表面に不働態膜の均一形成を促す電解研磨条件を確定した
・化学発色・不働態処理の最適化
-SUS304(溶接個所を含む)の耐食性・耐水素脆性を高める不働態厚膜形成条件(化学酸化発色処理及び陰極封孔処理と2段階浸漬処理)を確定した
・ウェットプロセス高耐食性機能膜の水素脆化抑制メカニズムの解明
-SUS304材(溶接個所を含む)に被覆した不動態膜の水素ガスバリア特性を明らかにした
-被覆材の高圧水素中での水素脆化抑制効果を検証
-被覆構造などに由来するメカニズムを明らかにした
・製造プロセスの最適化を実現するためのデータベースと解析システムの構築
-不働態厚膜形成のプロセスデータを逐次収集保存するデータベースを構築
-プロセス以上を事前予測し制御するAIを活用したソフトウェアの開発
・可変型処理装置の開発
-SUS304パイプ被覆材の溶接個所を再被覆する可搬型処理装置を試作
-イーサネットによる遠隔制御・データ収集システムを構築
・高耐食性機能膜を被覆したステンレス配管・容器溶接部の試作品検証
-溶接フランジ付きSUS304長尺パイプ(Φ25mm×L1000m)の内外綿を量産条件で被覆した試作品が完成

事業成果①
事業成果②
知財出願や広報活動等の状況

・特許第7029742号
-名称「電解研磨駅およびそれを用いたステンレス鋼の電解研磨方法並びに、耐食性に優れるステンレス鋼の製造方法」
・特許第6869495号
-名称「耐水素脆性及び耐食性に優れるステンレス鋼構造物並びにその製造方法」
・特許第7026342号
-名称「湿式内外表面処理装置及び湿式内外表面処理方法」
・米国出願1件
・関連論文の投稿及び受理
-ASME2022PVP "Evaluation of the hydrogen barrier properties of chromium oxide films deposited on SUS304 austenitic stainless"

研究開発成果の利用シーン

・化学プラント、水素ステーション、燃料電池関連小型部品に使用される部材への高耐食性機能膜
・規制対象とされる高圧ガス容器など水素ステーション関連部品に使用される基材への高耐食性機能膜
・溶接個所への高耐食性被覆表面処理
・安全性・清潔性が求められる医療用品や半導体用品、食品業界への展開

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

高圧ガス規制対象外であるものの耐食性向上が求められる石油化学・化学工業・食品などのパイプラインとその周辺部材、水素ステーションや燃料電池関連部材の事業化を進めていく。同時に川下大手企業や高圧ガス保安協会等と連携し、試験方法や性能基準を定める標準化に関する取り組みに着手する。水素関連事業に関しては事業化認証試験を検討予定である。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・従来の不動態化処理技術の100倍程度の膜厚及び耐食性の向上を実現
・ドライプロセスでは不可能であった量産性とコスト性に優れた実用化技術を確立
・溶接個所に高耐食性被覆表面処理を施す持ち運び可能なオンサイト型のウェットプロセス装置を試作

今後の実用化・事業化の見通し

・高耐食性機能膜の受託加工事業化計画(法規制対象外:低圧水素関連)
-2022年から製品の生産と販売を進める計画である
・高耐食性機能膜の受託加工事業化計画(法規制対象:高圧水素関連)
-2023年度から装置の委託生産と委託販売を進める計画である
・可搬型処理装置関連の事業化計画
-2023年度から装置の委託生産と委託販売を進める計画である

実用化・事業化にあたっての課題

法規制に関する関連部材への適用には高圧ガス保安協会への特認申請及び専門委員会での検討、承認が必要である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社アサヒメッキ 技術部 部長 川見 和嘉
事業管理機関 公益財団法人鳥取県産業振興機構 経営支援部
研究等実施機関 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター 機械素材研究所 玉井 博康
国立研究開発法人産業技術総合研究所 水素材料グループ
国立大学法人電気通信大学 教授 田村 元紀
アドバイザー 岩谷産業株式会社
イーセップ株式会社
国立大学法人広島大学
横浜技術士事務所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アサヒメッキ(法人番号:5270001000034)
事業内容 めっき加工、表面処理
社員数 65 名
生産拠点 本社工場(鳥取県)
本社所在地 〒689-1121 鳥取県鳥取市南栄町1番地
ホームページ https://asahimekki.jp/
連絡先窓口 株式会社アサヒメッキ 技術部 部長 川見 和嘉
メールアドレス kkasahi@asahimekki.jp
電話番号 0857-53-4561