表面処理
更なる薄型・軽量・微細化が進むLCD・微小レンズ等のプラスチック成形用金型に対して成形品の高離型性を実現する薄膜形成技術を開発
岩手県
株式会社東亜電化
2020年3月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 微細形状を有するプラスチック成形用金型へ高離型性を付与する薄膜形成技術の開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、自動車、ロボット、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 離型、エポキシ樹脂、離型剤レス、樹脂成形、熱硬化性樹脂 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成20年度~平成22年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
光ディスク用レンズ等の透明樹脂を用いた光学製品では、数μm~サブμmの極微細かつ高精度な形状の成形が求められている。既存の離型剤や離型被膜を用いる方法では精度や耐久性が得られないため、微細形状のニッケル金型に高離型性を持つ新たな離型被膜を膜厚数十nmで形成する技術を開発し、離型剤を使用せずに、形状転写性や光透過性に優れる透明エポキシ樹脂で高精度のプラスチック成形を可能とする世界初の技術を開発する
開発した技術のポイント
Ni製、P/Ni製金型の極微細化に対応した離型薄膜形成技術を開発
・金型表面に高密着性の離型膜を形成するための技術開発
→金型表面に化学結合層を形成
・微細形状への適用のため、離型膜を薄膜化し、耐久性を向上させる
→膜厚:30nm~50nm
→エポキシ樹脂成形における耐久性:180°ピール試験において2,000回以上
(新技術の特徴)
・離型剤を使用しない高耐久性離型薄膜を開発
‐ニッケル金型表面に密着性の高い離型被膜を形成する技術を確立
‐数μmの形状に適用可能な膜厚30nmの耐久性の高い離型被膜を開発
‐MLAF用金型及び微小レンズ用金型への高離型被膜形成技術を確立
→離型剤を使用せずにエポキシ樹脂で2,000回以上の耐久性がある高離型性被膜を実現
具体的な成果
・Ni製金型への離型膜形成技術を確立
‐350mm×300mmのMLAF金型面内の膜厚のばらつきが小さい離型膜を形成する技術を確立、大型金型への離型膜形成技術も構築
・P/Ni製金型への離型膜形成技術を確立
‐P/Ni製金型に高密着性で耐久性のある離型膜形成を実現
・離型膜の薄膜化及び耐久性向上技術を確立
‐離型膜は開発当初の100nmから30nmへと1/3の薄さを実現
‐透明エポキシ樹脂で極めて厳しい試験である180°ピール試験でも2,000回以上の耐久性を確認
‐離型膜は形状面に均一に形成されていることを確認
‐多くの光学用金型へ離型膜を形成・離型性を確認、成形品の形状評価から実使用において問題がないことを確認
知財出願や広報活動等の状況
・特許:「金属表面被膜形成方法」(特許第4567019)
・出展:ネプコンジャパン2011 精密・微細加工技術EXPO(H23.1)、MEDTEC Japan 2011(H23.6) を始めとして、多数の展示会に出展
・INS(岩手ネットワークシステム)、福島プラスチック工業会、SPE(Society of Plastics Engineers, Inc.)日本支部、プラスチック成形加工学会、等での技術プレゼンテーション
研究開発成果の利用シーン
プラスチックレンズや光学用フィルム・シートなどの光学部品を成形する金型へ離型性を発揮する被膜の形成処理を実施します。
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂に対して離型性を発揮するだけではなく、熱可塑性樹脂に対しても離型性を発揮します。
金型の材質もNi、P/Ni製だけではなく、鉄系の鋼材、ステンレス、クロムめっき、アルミニウム、銅系材料と多くの金属材料に対応可能です。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H22年度に実用化に成功
・H23年から「TIERコート」の名称で、金型への離型被膜形成処理を開始、売上げを計上
・現在、継続的に処理の依頼があり、新規問い合わせも多数来ている
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・歩留まり向上:成形品の離型剤による汚れ、離型剤塗布による品質のバラツキがなくなる
・精度向上:離型性向上により、型開きの際に成形品が引っ張られることがなくなり成形品の形状精度が向上する
・複雑形状化:これまで離型技術がないために造り得なかった複雑形状の部品の製造(成形)が可能になる
今後の実用化・事業化の見通し
H23年から金型表面への離型被膜形成処理の受託加工を実施している
現在、処理依頼により装置の稼働スケジュールがうまっている状況にあり、処理能力アップが課題となる
受託加工ばかりではなく技術ライセンスも視野に入れ、事業拡大を目指す
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社東亜電化 |
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事業管理機関 | 公益財団法人いわて産業振興センター |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人岩手県工業技術センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社東亜電化(法人番号:5400001001712) |
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事業内容 | めっき処理(金、ニッケル、亜鉛、スズ、他)、化成処理(マグネシウム、アルミニウム、他)、機能性薄膜処理(TRI System:接着剤を使用せずに金属と樹脂を接合する技術、TIERコート:プラスチック成形金型用高離型性被膜) |
社員数 | 113 名 |
本社所在地 | 〒028-4132 岩手県盛岡市渋民字岩鼻20-7 |
ホームページ | https://www.toadenka.co.jp/ |
連絡先窓口 | 開発技術部 部長 千葉 裕 |
メールアドレス | h.chiba@toadenka.jp |
電話番号 | 019-683-2101 |
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