製造環境
最先端プラズマ・紫外線照射技術を併用したガス中のヒドロキシルラジカル生成プロセスを活用した制菌システムの開発
大阪府
誠南工業株式会社
2023年2月13日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 最先端プラズマ・紫外線照射技術を併用したガス中のヒドロキシルラジカル生成プロセスを活用した制菌システムの開発 |
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基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、農業、食品、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | 大気圧プラズマ、制菌、殺菌、高活性種、紫外線 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
「活性酸素ラジカル種を安定的に生成できる装置」をコア技術として、「大気圧プラズマで生成する活性酸素ラジカルによる殺菌」の技術シーズを高度化する。具体的にはコア技術に、紫外線照射装置を組込み、ヒドロキシルラジカル(・OH)を殺菌作用物質とする装置を開発する。本装置によりガスとして・OHラジカルを吹き出し、これまで殺菌が困難であったメラニン生成菌の殺菌を実現し、制菌システムとしての効果を実証する。
開発した技術のポイント
・動作感応型制菌装置
-動作感応型装置は、シャーレなどのプラスチック、ガラス容器などを感知し自動で殺菌できる。
-処理室内に対象物の投入動作を感知し自動で制菌処理が開始。大腸菌、カビを99%以上(20~60分)処理。
-日用品、文房具などの処理にも使用可能。
・自動制御型制菌装置
-自動制御型制菌装置は30L空間内の菌の増殖を3日間制御できる。
-空間(30L)内の空気をモニタリングし、大気圧プラズマの生成とLED-UVのON/OFFを自動でコントロールし制菌できる。
-パスボックスなどへの応用可能。
具体的な成果
・殺菌効果を増強する・OH生成法開発と条件最適化
-・OH生成量増大のための紫外線照射方法の最適化
制菌システムに採用するプラズマの生成源であるノズル型、スリット型および融合型装置を開発。
-殺菌効果の増強に寄与する・OH生成量の最適化
プラズマ生成動作条件の最適化を実施した。その結果、ガス流中の水分量を検討したと
ころ、プラズマのみによる・OHラジカルの生成量はスリット型で最大84µM/分を達成した。
・制菌システムの開発
-ラジカルの生成を最適化するための電極開発
本事業で開発した電極を用いて発生したヒドロキシルラジカル(・OH)の生成量を評価し、最大化するために、電極の構造として電極間距離、印加電圧を検討した。
-ガスフローおよび UV 制御系開発
安定度(・OH生成量の変動平均値)±10%を達成できるガスフロー、UV制御系を開発した。
-動作プログラムの構築と制菌システムの開発
落下菌を対象とする制菌システム、動作感応型制菌装置および30L空間をモデルとして殺菌・制菌する自動制御型制菌装置を開発した。
・制菌システムの性能評価と実証
-プラズマとUVを併用した殺菌効果の評価
プラズマ単体でも20分(大腸菌)、60分(出芽酵母)で99.9%殺菌されたことを確認した。
-制菌システムの評価と実用条件における実証
寒天培地に播種した落下菌(黒カビ、真菌類、出芽酵母、大腸菌)を3.52×105CFU/m3以下まで殺菌できた。
知財出願や広報活動等の状況
・論文発表
(1) Y. Sakurai, N. Yamamoto, Y. Yabuta, K. Kanaori, K. Taima, Chem. Lett., 2021, 50, 1628-1631
・学会発表
(1)流通型スピントラッピングESR法による大気圧プラズマ由来活性種の反応機構解析 2021年3月日本化学会第101春季年会 Web開催、○櫻井康博・山本直子・藪田勇気・亀井龍一郎・三宅祐輔・金折 賢二・田嶋邦彦
(2)流通型 ESR 法による大気圧プラズマのキャラクタリゼーション
第 24 回 ESR フォーラム研究会 ○櫻井康博,藪田勇気,山本直子,金折賢二,田嶋邦彦
(3) 日本農芸化学会 2021年度大会 2022年3月 福田志津, 櫻井康博, 井沢真吾
(4) 流通型ESR法によるヘリウム大気圧プラズマ由来ラジカルの生成消失機構解析,
日本化学会 第102春季年会 2022年 3月 櫻井康博, 山本直子, 藪田勇気, 金折賢二, 田嶋邦彦
・その他外部発表
(1)化学工業 「大気圧プラズマ-新たなステージへ-」第73巻第一号 近藤隆
(2)化学工業 「大気圧プラズマ-新たなステージへ-」第73巻第一号 櫻井康博, 田嶋邦彦
研究開発成果の利用シーン
2020年には新型コロナウイルスの流行に関連して殺菌・消毒関連市場に注目が集まった。 これまでもインフルエンザなどの感染性ウイルスの流行で季節、時期的な市場の拡大も見られた。しかし、今回の世界的な流行と感染症への注目から、今後は持続的な市場の拡大が期待できる。その対象として、食品製造や医療、バイオ分野だけで無く、レクリエーション施設などの公衆衛生、クレンリネス・サニテーション分野においても、制菌、殺菌機器、処理法は注目されるだろう。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業で、開発する制菌システムが対象としている空間は30Lと小型であるが、研究成果から、空気から作り出す過酸化水素および紫外線を用いてさらに広い空間への応用の可能性が見い出された。そのためのプラズマ源および、ガス供給部の大型化まで本事業内で展開できたことは大きな成果である。制菌の評価については、今回の事業機関内で実施してきた。
今後の展開に向けては、公的な認証機関で実施することで、商品の付加価値を高められると考えられる。 本事業で開発した制菌装置の販売価格は百数十万円から数百万円を想定している。推進委員会などで 2022年現在市販されている類似の装置との機能と価格について、「高額ではないか」との意見をいただいた。 しかし、これまでに無い機能を維持するための価格として現在の設定価格が必要である。そのためのマーケティングについて中小企業基盤整備機構様の支援を受けながら現在、プロジェクトチームを社内に立ち上 げて販売促進を実施している。
提携可能な製品・サービス内容
デモ機貸出
製品・サービスのPRポイント
本事業では、大気圧プラズマとLED-紫外線照射装置 (LED-UV)を融合した菌の制御(制菌)装置を開発した。本装置では大気圧プラズマによって生成した高活性種にUVを照射することで高い殺菌、制菌能力が発揮される。
今後の実用化・事業化の見通し
本事業で、開発する制菌システムが対象としている空間は30Lと小型であるが、研究成果から、空気から作り出す過酸化水素および紫外線を用いてさらに広い空間への応用の可能性が見い出された。そのためのプラズマ源および、ガス供給部の大型化まで本事業内で展開できたことは大きな成果である。制菌の評価については、今回の事業機関内で実施してきた。今後の展開に向けては、公的な認証機関で実施することで、商品の付加価値を高められると考えられる。
実用化・事業化にあたっての課題
本事業で開発した制菌装置の販売価格は百数十万円から数百万円を想定している。推進委員会などで 2022年現在市販されている類似の装置との機能と価格について、「高額ではないか」との意見をいただいた。 しかし、これまでに無い機能を維持するための価格として現在の設定価格が必要である。そのためのマーケティングについて中小企業基盤整備機構様の支援を受けながら現在、プロジェクトチームを社内に立ち上 げて販売促進を実施している。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 誠南工業株式会社 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | 国立大学法人富山大学 国立大学法人京都工芸繊維大学 |
アドバイザー | 株式会社 大愛 ワケンビーテック株式会社 大阪大学大学院 工学研究科 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 誠南工業株式会社(法人番号:1120001030999) |
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事業内容 | 製造業、生産用機械器具製造業 |
社員数 | 24 名 |
本社所在地 | 〒559-0011 大阪府大阪市住之江区北加賀屋四丁目3番24号 |
ホームページ | http://www.seinan-ind.co.jp/ |
連絡先窓口 | 誠南工業株式会社 技術部 薮田勇気 |
メールアドレス | yabuta@seinan-ind.co.jp |
電話番号 | 06-6682-6788 |
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