製造環境
電子部品製造の高性能化に資するクリーンルームに必要な低濃度VOC除去能を有するケミカルフィルタの生産技術
滋賀県
株式会社ユニックス
2023年2月13日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 低濃度VOC除去能を有する電子部品製造クリーンルーム用のケミカルフィルタの開発 |
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基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、航空・宇宙、スマート家電、電池、半導体、エレクトロニクス、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 低濃度VOC除去能力の高い樹脂原料、低沸点VOC除去能力の高い樹脂原料、高性能・長寿命原料製造方法、VOC除去ユニット、オンサイトでのVOC計測サービス |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
電子部品の微細化が進む中、製造施設の浄化がメーカーの緊急課題となっている。従来のVOC除去システムは高中濃度の化学汚染物質に対しての除去性能は高いものの、極めて低い濃度の化学汚染物質に対しての除去性能は低かった。本研究開発ではこの課題を解決し極めて低い濃度の化学汚染物質除去能力の高く、長寿命な新たなフィルタの実機サイズ、量産可能な製品の開発を目指した。
開発した技術のポイント
・低沸点、低濃度のVOCの除去性能が高く、性能保持時間が長くなるために必要な吸着のための細孔と細孔径の発見
・VOC除去の高い原料として樹脂原料の選定と原料炭化とするための炭化工程と賦活方法の確立
・量産化に繋がる製造条件の発見と再現性、品質管理方法の構築
・ユーザーの要求仕様を満たしたVOC除去能力を維持する原料開発では、圧損/固着試験に合格した接着剤で活性炭を固着し、原料が抜け出ないように封じて、基礎実験に加え、現行の工場内用フィルタの実機標準サイズでの低沸点、低濃度の評価試験方法の確立、再現よく製造可能な事が確認出来た点。
・VOCガス流速毎に最適なフィルタ折高と充填率の組み合わせ
・原料の吸着性能を測定するため、よう素吸着性能を測定する方法を考案。被毒の程度を定量化した。
具体的な成果
1.VOC除去能力の高い原料の開発
電子部品メ-カ-が要求する条件下において、当社が開発した樹脂原料3種は、優先度の高い4種の低濃度のVOC(25μg/立方メートル)、高濃度のVOC(50mg/立方メートル)で目標の性能が達成できた。原料の性能発現の設計、従来の製造条件の見直し、商用量産に適した工程確立、省エネルギー、生産性向上で大幅コスト低減が出来た。
2.原料のVOC除去性能を維持するフィルタの開発
原料のVOC除去性能を高める接着剤の選定、原料量に対する接着剤量比の最適化で圧力損失や細孔の被覆度等はゼロに近くなり、添着後の剥がれを起こさず接着強度も得られた。
3.高性能VOC除去ユニットの開発
フィルタを現行実機サイズに合わせ低濃度100ppbの化学汚染物質ガスの破過試験で評価した結果、除去率100%を13 ヶ月維持し、14ヶ月で除去率 70%であった。
知財出願や広報活動等の状況
・国内外の同業他社による「擬似製品」を避けるための、その方法検討している
・展示会、等本補助事業で得られた成果物のキャッチコピー、紹介文等の取り纏め段階にある。
研究開発成果の利用シーン
・電子部品製造工場内用VOC除去フィルタユニットの提供により、製造の歩留まり、性能向上への貢献
・医療関連薬品製造、診察室等のVOC浄化用フィルタによる現場の清浄化への貢献
・燃料電池、二次電池製造のVOC浄化用フィルタによる製品歩留まりの向上
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・「VOC除去フィルタ」は、D社を通じて試作品提供から開始を検討し、令和4年度には販売を開始したい。事業化のための販路、特にエンドユーザーである電子部品メーカーの産業分野への取り組み先の選定を進めている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・従来の最高性能のヤシガラ原料活性炭と比べ、本補助事業で設計、製造した樹脂原料は、価格は同等、寿命は2~3倍であり、世界最高峰といえる。
・「VOC除去能寿命評価」国内に1社、高濃度VOC:200ppm以上の活性炭の受託寿命評価を行っている企業があるが、本事業で開発した低濃VOC20ppm以下、特に0.1ppm以下の 破過試験と理論計算と併合して、原料単体、VOC除去フィルタにしての材料、部品、モジュールで「寿命予測」を実施できるところは、国内外に見当たらない。
今後の実用化・事業化の見通し
・プロトタイプフィルタユニットの性能・寿命試験をベースとし、川下企業から取得したエンジニアリングデータをフル活用して製作する“当社-1号機”をユーザーにテスト用試作機として提供し、量産機に向けた必要条件、川下企業の真の仕様、除去するガスなど設計指針を探索及び入手し、当社で解析、分析を行い、2号機以降の製造、性能・寿命評価に活かす。
・従来のフィルタは化学汚染物質ガスなど個別処理を行っていたものを、本補助事業開発の樹脂原料によるVOC除去ユニットでは単体で上記ガス除去できる可能性と脱臭機能も有しており、マルチ機能を有した製品としての機能を有している。これらの定性・定量の評価試験行い、実用化を見極める計画である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ユニックス 開発営業 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 富田五郎 |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 企画部長:福原知子、環境技術研究部:岩崎訓、長谷川貴洋 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ユニックス(法人番号:5160001009383) |
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事業内容 | 不織布、ケミカルフィルタ、樹脂コーティング、製造・販売 |
社員数 | 63 名 |
生産拠点 | 不織布工場、フィルタ工場、コーティング工場(本社:滋賀県) |
本社所在地 | 〒529-1331 滋賀県愛知郡愛荘町愛知川821-1 |
ホームページ | https://www.unixsg.co.jp/jp/ |
連絡先窓口 | 株式会社ユニックス 開発営業 三島脩太 |
メールアドレス | mishima@unixsg.co.jp |
電話番号 | 0794-42-4191 |
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