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情報処理

経験と勘に頼る切削加工・FSWを、加工現象の見える化による定量化した制御技術で高精度な加工を実現する

大阪府

株式会社山本金属製作所

2024年12月6日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 IoTを活用した工作機械の知能化による自律加工技術の開発
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 航空・宇宙、ロボット、産業機械、情報通信、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード IoT、加工センシング技術、自律加工、工作機械制御、異常検知
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

従来は熟練作業者の経験と勘で加工している高精度で精密な油圧ポンプ用コア部品の切削加工において、熟練作業者が手本となる機械加工を行っているときの種々の加工条件、加工現象、加工環境を計測機などを用いて数値化し、この数値化された手本に倣って自動的に加工条件を制御したり、工具交換を行い、熟練作業者に近い良好な加工を実現する技術の開発。

事業概要
開発した技術のポイント

・自律加工制御技術の開発
‐自律加工のベースとなる加工現象の標準データを作成、加工状態が変化した時のデータを蓄積
‐標準データと状態変化時のデータを用いて、自律的に標準加工状態を保つ、加工制御ソフトウェアを開発
‐自律加工制御を使用し加工数500個の検証実験を実施。また、工作機械のCNCでフィードバック動作時間200ms以下を達成
・加工現象の計測技術の高度化
‐工具破損や面粗度異常検知に必要な、高度計測技術を開発
‐回転工具から無線送信で,加工振動と切削抵抗(切削動力)に対し100~10,000kHzの周波数分析が可能な計測技術を開発し加工実験で検証
‐工作機械内で計測機を充電する無線給電技術を開発
‐切削油状態(濃度/pH/温度)を常時遠隔監視する技術を開発

開発した技術のポイント
具体的な成果

本研究では、対象とする油圧機器コア部品に対して、複数の工作機械を使用した、複数の切削加工工程の実施に加えて、ロボットを用いた材料や加工品の搬送工程、製品の洗浄工程など、対象部品に対する一連の生産工程すべてを、本研究で開発した自律加工制御技術を用いて完全自動加工する、専用モデルラインを構築できた。この自律加工ラインを”Learning Factory”(自己学習する工場)と呼んでいる。”Learning Factory”では、開発した様々な計測技術を用いて製品個々の加工現象と加工品質(出来映え)データを自動収集し、自律加工制御に使用されており、夜間のライン完全無人運転も実現できた。”Learning Factory”は、製品の量産加工可能なラインの完成度に達している。

具体的な成果
知財出願や広報活動等の状況

複数の権利を取得済のMULTIINTELLIGENCEに関係する特許を核に、加工条件の制御技術や、切削油状態監視などの周辺特許を取得し、計測と制御の特許網の構築を進める。なお、研究開発の具体的内容に記載したサブテーマの開発内容には、他社特許に抵触するものはないことを確認済である。

研究開発成果の利用シーン

熟練作業者によって行われている機械加工の自動化や、熟練作業者の操作に近い加工の実現

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本研究で開発した”Learning Factory”で実現した自律加工技術を、ベトナムに開設した山本金属製作所のグループ企業YMPV(Yamamoto Metal Precision Vietnam)社の工場へ水平展開する事業を既に進めている。熟練技術者が不在の海外拠点においても、日本国内同様の高精度なコア部品生産が可能な生産体制を立ち上げ中である。

事業化状況の詳細
提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・自動加工制御技術による高品質・高付加価値な製品の生産
・多品種少量生産の生産性向上
・熟練作業者が不在の状況における高精度な部品生産

製品サービスのPRポイント
今後の実用化・事業化の見通し

・建設機械業界
‐建機用油圧ポンプに使用される高精度コア部品の生産において年間200億円の市場規模がある
‐川崎重工での油圧ポンプの高精度部品に関して最大のサプライヤーであり、5年後には5〜6倍の生産対応を具体的に要請されている
・工作機械業界
‐本事業終了後3年目にはMC(マシニングセンタ)生産台数の3%、5年目には5%のMCへの自律制御システムの販売を目指す
‐どこの機械加工現場でも、技術伝承、高精度・高品位部品の生産性向上、品質向上という課題があるので、本製品に対するニーズは非常に大きいと考える
・機械加工を行う製造業へのサービス事業
‐本研究開発の成果を日本の製造業を取り巻く課題を解決し、日本の優れたものづくり技術を継承発展させるためのアウトプットとして、新たなビジネスモデルである“LAS(Learning Advanced Support)プロジェクト”を推進する
‐今後、国内労働人口が減少し、高度ものづくり技術者育成の期間短縮と効率化が求められる中、本サービスに対する国内ニーズは非常に大きいと考える

今後の実用化・事業化の見通し
実用化・事業化にあたっての課題

本研究においては、今後複数の品種を同一ラインで生産するための自律加工制御の実現が大きな課題となる。また、機械加工の対象製品は多数存在する。本研究では特定の製品のみを対象としたが、対象製品の増やしていくことが継続的に求められる。制御技術については、切り屑など様々な外乱の影響をどのように扱いながら、安定した加工制御を実現する方法の開発が課題となる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社山本金属製作所
事業管理機関 公立大学法人大阪 研究推進本部 研究推進課
研究等実施機関 学校法人同志社 同志社大学 理工学部 廣垣教授
公立大学法人大阪 大阪公立大学 工学研究科 三村教授、新谷教授、陸准教授

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社山本金属製作所(法人番号:7120001021984)
事業内容 金属製品製造業
社員数 104 名
生産拠点 株式会社山本金属製作所(大阪府)、岡山研究開発センター(岡山県)、Yamamoto Metal Precision Vietnam Co., Ltd.(ベトナム)
本社所在地 〒547-0034 大阪府大阪市平野区背戸口2-4-7
ホームページ https://yama-kin.co.jp/
連絡先窓口 株式会社山本金属製作所 山内 貴行
メールアドレス yamanouchi@yama-kin.co.jp
電話番号 06-6709-5000