立体造形
FEM解析、各種評価を基に、所望ロット数に応じて適切に設計・製作されたダイカスト金型を提供する。
富山県
魚岸精機工業株式会社
2023年2月11日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ダイカスト金型破損の原因解析と解析結果を基とした低廉化金型の商品化 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、産業機械、情報通信、建築物・構造物、電池、省資源 |
産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | ダイカスト金型、小ロット向け、試作対応、低コスト、省資源・省エネルギー |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
突発的な金型破損が発生するダイカスト鋳造金型において、破損原因の特定を目的とした製品の温度変化等の検査試験実施、データ収集、解析を行い、各種検査結果から、金型の破損原因並びに製造条件下での金型の使用期限の特定を行う。そしてニーズとして高まっている多品種、少ロット向け廉価化金型を開発し、商品化する。さらに金型センシング、IoT、FEM解析シミュレーションによる金型寿命評価システムの提供により、お客様における適切な金型メンテナンス情報の提供と適正な金型メンテナンスを実施する。
開発した技術のポイント
・低廉化金型製作における各種基準値の設定
-建材部品を想定した実用製品について、金型温度、冷却水量、溶湯温度、金型変位量、製品外観等を測定、解析し低廉化金型試作時の設計知見を獲得した。
・ダイカスト金型の熱応力に関する分析課題への対応
-溶湯温度測定を実施し、アルミ溶湯充填から凝固までの温度変化を捉えることで、溶湯と金型との熱伝達係数を求めた。
-熱応力解析技術において、先に求めた熱伝達率と低廉化金型材料弾塑性材料モデルの設定により、熱応力を精度よく解析できることが可能となった。
・低廉化金型不具合メカニズムの解明と対策
-低廉化金型による鋳造実験結果と熱応力解析により各種不具合発生メカニズムを明らかにし、応力の高い部位の補強により初期割れを抑制した。
-各種低廉化金型の限界ショット数把握と熱応力解析から金型寿命評価方法を検討し、具体的な限界ショット数の予測関係を定式化した。
具体的な成果
以下の項目を達成し、研究目標である平均価格50%以上低減、型寿命ショット数500~20,000ショットに応じた低廉化金型の提供を達成した。
・低廉化金型製作における各種基準値の設定
-ダイカスト鋳造における金型温度、冷却水量、製品温度、金型変位量、製品外観等を測定・評価した結果、現行金型における基本特性や問題点が明らかになるとともに、低廉化金型試作にむけての技術評価ポイントを明らかにした。
・ダイカスト金型の熱応力に関する分析課題への対応
-溶湯温度測定を実施し、アルミ溶湯充填から凝固までの温度変化を捉えることで、溶湯と金型との熱伝達係数を求めた。
・低廉化金型の試作開発および鋳造実験
-低廉化金型材料選定と設計・製造の検討により、現行金型比で最大、材料費50%、加工費50%の削減を達成した。
・低廉化金型不具合メカニズムの解明と対策
-各種低廉化金型の限界ショット数把握と熱応力解析から金型寿命評価方法を検討し、具体的な限界ショット数の予測関係を定式化した。
・低廉化金型により製作された製品の品質評価
-品質評価(鋳巣分布、機械的性質、金属組織)を行った結果、現行(SKD61)と同等であることを確認した。
研究開発成果の利用シーン
本研究によって開発された低廉化金型を使用することで、多品種少量製品への対応などダイカストの優位性を活かした需要開拓が見込める。
生産量に適した廉価な金型を使用すれば、EV車関連部品および、自動車以外の部品、産業への新たな事業展開が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
2022年度はサンプル出荷および、追加研究を行う。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本事業により開発された低廉化金型を使用すると、現行型(SKD61)に比べて材料費、製作費を最大50%削減することが可能となる。また、型寿命ショット数は500~20,000ショットが可能である。用途として、小ロットダイカスト製品、ダイカスト製品試作品、EV化に伴うバッテリーケースなどのライフサイクルの短い製品部品を対象とします。また金型材質として、リサイクル性に優れた鋳鉄材を主に用いており、近年、あらゆる分野で求められている省資源省エネルギーに対応可能な金型として、有望と考えます。
今後の実用化・事業化の見通し
低廉化金型の事業化ターゲットとして、今後ますます需要が見込まれるEV関係部品、試作分野、砂型鋳造製品分野、多品種少量(~1,000ショット)製品をターゲットとする。また現在研究開発を進めている金型寿命評価システムを金型オプションとして加え、ダイカスト金型の状態の見える化を行う。これによって、現行型、低廉化型に対応した適切なメンテナンス施工と型寿命向上による低コスト化が可能となる。
2024年度には、設備投資および、製品の生産、販売を開始する計画である。
実用化・事業化にあたっての課題
金型表面のひび割れであるヒートチェック不具合については、製品要求品質に応じた金型熱処理、表面処理の更なる技術検討が必要である。
また低ショット数での破壊が懸念される低廉化金型について、金型センシング技術による金型寿命予測精度の向上、メンテナンス時期の提案など、顧客ニーズにフレキシブルかつ迅速に対応できるサービス開発が今後の課題である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 魚岸精機工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人富山県新世紀産業機構 イノベーション推進センター |
研究等実施機関 | 株式会社ナガエ |
アドバイザー | 富山県産業技術研究開発センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 魚岸精機工業株式会社(法人番号:7230001012626) |
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事業内容 | ダイカスト金型設計・製造およびメンテナンス |
社員数 | 65 名 |
生産拠点 | 富山県射水市北高木118-1 |
本社所在地 | 〒939-0281 富山県射水市北高木118-1 |
ホームページ | https://www.uogishi.co.jp/ |
連絡先窓口 | 魚岸精機工業株式会社 代表取締役社長 魚岸 成光 |
メールアドレス | s_uogishi@uogishi.co.jp |
電話番号 | 0766-52-5222 |
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