研究開発された技術紹介

年々増加している汚染手術である腹腔内手術に用いられる閉鎖式ドレナージバックに求められる最重要機能は、感染を発生させないことと共に患者の臓器損傷防止とQOL確保である。このブレーク課題を解決するため、術後に皮膚常在菌を抑え込む抗菌技術と低圧維持機構を実現するための薄肉射出成形技術にチャレンジすることにより、入院期間の短縮化と共に医療安全に貢献するものである

低吸引圧力、軽量コンパクトサイズな感染レス閉鎖式吸引ドレナージシステムの開発
・腹腔内臓器を痛めない程度の低吸引圧力→吸引圧力-10～-20mmHg
・プラスチック製→バネ特性を持つ高剛性プラスチックの開発
・軽量コンパクトなサイズ→縦22cm×横13cm×厚み3cm、重量約100g以下
(新技術)
・汎用の射出成形装置をベースにバネ特性を持つ高剛性プラスチックを用いて円筒状バネを作製
‐オールプラスチックで軽量
‐組み立て工程の短縮による生産性向上
・逆流防止弁:逆流防止弁と溶着部を射出成形にて一体成型
‐汎用の射出成形装置をベースに作製可能

・円筒状プラスチックバネ、逆流防止弁、流入出口具を開発
‐バネ特性を持つ高剛性プラスチックを用いた薄肉射出成形技術を開発、目標の反発力である約15Nを達成
‐熱可塑性エラストマーの薄肉射出成形技術を開発、硬度45未満の樹脂にて逆流防止弁の水漏れが発生しなかった
‐円筒状プラスチックバネ、逆流防止弁と流入出口具、フィルターをフィルムに溶着し、閉鎖式ドレナージバックを作製する加工条件を確立
・厚さ3cm、重量約30g、陰圧力-20mmHgの製品を開発
‐開発品は、円筒状バネのヒンジ部肉厚を変更することで陰圧力の変更が可能。ヒンジ部肉厚を0.45mm以下にすることで、競合品よりも低吸引圧力を実現

特許:「体液吸引用ポンプおよび該体液吸引用ポンプを用いた体液吸引集液装置」(特願2012-043193)、「体液吸引用ポンプおよび該体液吸引用ポンプを用いた体液吸引集液装置」(特願2012-043200)

円筒状プラスチックバネおよび逆流防止弁を内蔵した軽量コンパクトな排液バッグにより、低圧吸引の排液管理が可能となる

・複数の川下企業から引き合いがありサンプル提供実施
・事業環境悪化による不採算のため協業断念

・事業環境の変化や川下企業からの引き合いによって、協業や技術ライセンスについて検討する。