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立体造形

レーザ肉盛り溶接システムはワークをスキャニングして溶接パスを自動生成するのが特徴

愛知県

中日クラフト株式会社

2023年2月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 インライン・インプロセスモニタリング自動レーザ肉盛り溶接システムの研究開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 自動車、産業機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、環境配慮、低コスト化
キーワード レーザ肉盛り溶接
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、世界初のインラインモニタリング機能と、高速化できるセンターワイヤ供給式のレーザ溶接ヘッドを組合せた自動レーザ肉盛り溶接システムの開発を行う。肉盛り溶接中の形状をインラインで計測、並行演算処理を行い、位置制御、レーザーの出力や溶接ワイヤの供給速度を制御する。形状モニタリング付き肉盛り溶接ロボットによる高い生産性と高精度な積層(造形)を実現する自動化システムの製作を行なう。

レーザ自動肉盛り溶接システム図
開発した技術のポイント

・レーザヘッドの設計、製作
-大型製品に対応ができるアーム式ロボットによるセンターワイヤ式溶接ヘッドにモニタリングセンサを搭載するレーザ溶接ヘッドを開発した。
・センターワイヤ式レーザ溶接ヘッドの選定と改造
-センターワイヤ式ではレーザ光を分割後、集光させた中心位置にワイヤが供給されるためヘッドやワイヤの進行方向に依存せずにビードを形成することができた。
・インラインモニタリングセンサーのヘッド搭載
-ロボットの最大可搬重量(50kg)の1/2である25kg以下を保持しつつ、レーザブレージングヘッドと各種センサを一体化するため取り付け治具を搭載した。
・形状スキャニングデータのCAD/CAM変換ソフト開発
-溶接ヘッドに搭載されたスキャニングセンサで肉盛り溶接前のワーク形状のスキャニングをおこない形状データを3Dの画像化をする。これによりティーチングをPC画像上で行い、加工軌跡(加工パス)の指示をだす。
・レーザー条件の設定
-レーザー出力、溶接ワイヤの供給速度を最適化した。
・溶接自動化システムの開発
-溶接ヘッドの溶接方向が前後左右の移動の自由度をもち、形状に合わせた肉盛り溶接が可能で更に、アーム式ロボットと組み合わせてシステム化することで3次元形状へ対応する高速肉盛り溶接ができるレーザ溶接システムを構築した。

レーザヘッドと搭載センサー
3D画像処理よる溶接加工パス
具体的な成果

・レーザヘッドの設計、製作においてインラインでモニタリングとレーザ出力、ワイヤ供給量をフィードバックする制御装置の開発に至り、測定精度と溶接加工時の精度を目標である1/10mm以内を実現した。
・肉盛り溶接の自動化を実施するため、各ワイヤ径に対応するレーザ出力やワイヤ供給量を含めた必最適格パラメータを設定することができた。
・従来YAGレーザ溶接を使用して手動で行っていた広範囲の溶接が、レーザ溶接ロボットシステムにより高速化され、溶接自動化により品質バラツキが無くなり均一化された。
・ファイバレーザ発振器の変換効率は非常に高く、従来使用していたYAGレーザより優れていたため、広範囲の肉盛り溶接での使用電力が削減され、環境にも配慮できることが確認できた。
・溶接自動化のシステム開発ではレーザヘッド各種センサを搭載し、高軌跡タイプのアーム式ロボットを利用して肉盛り溶接システムを構築した。溶接後の検査においては、従来ワークを検査機器まで移動するため別ライン工程となっていたが、検査に伴う移動工程が削減されている。

自動化した肉盛り溶接加工状況
3D形状金型へのレーザ肉盛り
研究開発成果の利用シーン

自動車業界は近年、新車開発期間の短縮、新素材の導入やモジュール化などが進行している。それに伴い金型の設計変更や修正・修理にも高精度な修復が広範囲に求められてきている。レーザ肉盛り溶接の自動化は金型製作において開発リードタイムの短縮、品質の向上、コストダウンが実現される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

現在受注のボディプレス金型の修正と設計変更関連を対象として受注し、以降順次大型部品の販路拡大を図る。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理

製品・サービスのPRポイント

自動車業界は近年、新車開発期間の短縮、新素材の導入やモジュール化などが進行している。それに伴い金型の設計変更や修正・修理にも高精度な修復が広範囲に求められてきている。レーザ肉盛り溶接の自動化は金型製作において開発リードタイムの短縮、品質の向上、コストダウンが実現される。
レーザ溶接のうち金型へのレーザ肉盛り加工が90%近くを占めており、作業効率の向上は重要課題であり当研究開発のレーザ溶接システムは、自動車用金型設計、製作にとってコスト競争力をつける必要手段となる。

今後の実用化・事業化の見通し

肉盛り溶接の受注加工は、自動車メーカーへの実績をもとに関連2次金型製造会社をターゲットとして開拓し、受注の拡大を図る。
電力業界では電源設備において修繕、オーバーホールなど溶接によるメンテナンスが実施されている。現状はアーク溶接や溶射の手溶接にて施工が行われている。開発する溶接システムでは大幅な工数削減できるため、ターゲッ市場への受注の拡大を図る。
溶接システムの販売は、自動車業界と電力業界をメインターゲットとした事業展開を検討している。システムの生産、販売に関して今後、システムの製造原価、仕様ニーズ、市場の要求価格を検討、精査していく。

実用化・事業化にあたっての課題

研究開発後の課題として、想定範囲以上のクラッディング加工を行う場合、現状の加工ヘッドでは、付帯設備の位置関係から稼働範囲の制約が発生する恐れがある。このため、インラインモニタリング用センサを含めた、加工ヘッドのさらなるコンパクト化を実施することで、よりユーザーニーズを満たす加工が実施可能な設備機器の開発を検討する。
材質対応は、鉄系の構造材S50Cと鋳物材FCD450に限定して溶接実験を実施したが今後、アルミ材、銅合金材、ステンレス材への肉盛り対応が必要となることは想定されるため、これら材料への溶接の検証が課題となる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 中日クラフト株式会社 研究開発室
事業管理機関 公益財団法人中部科学技術センター 研究開発推進部
研究等実施機関 学校法人光産業創成大学院大学 光産業創成研究科 機借り加工・プロセス分野
名古屋市工業研究所 材料技術部 金属・表面技術研究室

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 中日クラフト株式会社(法人番号:6180001074466)
事業内容 製造業
社員数 118 名
生産拠点 本社工場(愛知県) 中部、関東地方に5つの工場を保有 海外(中国、タイ)にも展開 等
本社所在地 〒486-0953 愛知県春日井市御幸町1丁目3番21
ホームページ https://www.chu-cra.co.jp
連絡先窓口 中日クラフト株式会社 工機課 安田 忠史
メールアドレス t.yasuda@chu-cra.co.jp
電話番号 0568-31-4005