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表面処理

空調機の省電力化が可能な革新的カーボンナノチューブ含有金属酸化膜の開発

愛知県

株式会社山一ハガネ

2023年2月13日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 湿式処理により蓮の葉構造をナノレベルで再現する安価な撥水処理技術の研究開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、産業機械、情報通信、スマート家電、電池、半導体、工作機械、エレクトロニクス、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高性能化(小型・軽量化、放熱性向上、熱交換性能向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、高効率化(消費電力低減)、環境配慮
キーワード 放熱、熱対策、省エネ、脱炭素、カーボンナノチューブ
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発の目的は、今後も世界市場で拡大が予想される空調機の消エネ化に貢献可能な、湿式処理で蓮の葉と同様の撥水性を付与するナノレベル凹凸を金属表面に形成できる独自開発の超撥水処理の量産技術確立にある。上記目的を達成するために、当該処理実施時の処理表面の経時変化を、高度解析装置であるFE-SEM、ESCA、ラマン分光装置、分光光度計等を用い凹凸形成メカニズムを究明し、接触角150度以上の達成を図る。

接触角測定結果
開発した技術のポイント

・空調用熱交換器向け新規湿式表面処理法(Carbon-nanotube Added Surface Treatment 以降 CASTという)開発
-結露水との濡れ性を制御可能 且つ空気抵抗を増加させることなく熱伝達率の向上が図れる被膜構造の確立
-CAST用処理液に使用するカーボンナノチューブ(CNT)の最適化
-CAST用処理液用の分散剤の最適化
-量産時ばらつき提言用の量産条件の最適化

処理後表面斜視SEM
具体的な成果

・蓮の葉構造形成メカニズムの解明
本事業に導入した山一ハガネの独自技術であるCAST(CNT Added Surface Treatment)により、ナノレベルの蓮の葉構造が形成されるメカニズムを解明し、JSEMAに下記論文(※)を投稿し掲載された。(※)Fabrication of Aluminum/Single-Walled Carbon Nanotube Oxidation Films through CNT-Added Surface Treatment. J. of Surface Engineered Materials and Advanced Technology Vol.12 No.1, 1-13. (2022)
・空調用熱交換器向け処理法開発
本研究開発により、熱交換フィン表面への結露、着霜防止するための結露水を滑落させる接触角150度以上で、動滑落角20度以下となる当初の目標値を達成する超撥水性を示した上に、熱交換器フィン自体で熱交換性向上が可能な空気への熱伝達率11%向上が図れ、且つ使用する処理液の99.8%が水であるために安価な湿式処理を開発し、熱交換フィン用圧延板の高度化を実現した。

知財出願や広報活動等の状況

出願状況
・出願番号:PCT/JP2020/034385
・出願番号:PCT/JP2021/007930
・出願番号:PCT/JP2022/010343
3件とも、米、中、日、タイ、ベトナム、インド、インドネシアに移行

研究開発成果の利用シーン

結露着霜抑制技術のニーズがある。また、圧力損失低減、気化特性、液化特性に大きなニーズがある。両者ともに解決法はなく本技術が産業的価値を得られる可能性が有る。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

2025年の事業化を目指す。派生技術に関しては、すでに事業化に向けた共同開発が大手白物家電メーカーとスタート。
従来のエアコンにおける熱交換フィンの親水から撥水への変更の影響について、派生技術の量産試作中で開発部から事業部への移管が完了した時点で、共同研究を開始する。本研究で判明した問題点を解消することで、2025年度からの事業化を目指す。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

熱交換機の性能向上により、空調機における省エネ化につながる。

今後の実用化・事業化の見通し

本開発で進める撥水処理では、事業化に時間がかかると判断できた。本研究の派生技術である親水処理技術の開発も進め、2022年2月に本研究の派生技術に対して中国大手白物家電と事業化に向けた共同開発契約を締結し、派生技術における事業化の道筋をつけた。

実用化・事業化にあたっての課題

量産試作用の整流器における量産試作の実施。超小型とはいえ、量産試作可能な工程を確立したものの量産機での実績が不足。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社山一ハガネ 営業企画本部 研究開発Gr. CAST事業Sec.
事業管理機関 公益財団法人名古屋産業科学研究所
研究等実施機関 学校法人名城大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社山一ハガネ(法人番号:6180001009595)
事業内容 鉄鋼卸業・特殊鋼販売、切削加工、熱処理加工、樹脂3Dプリンタ製品の設計・製造・販売、自社製品の製造・販売
社員数 200 名
生産拠点 本社(愛知県)、YSV(ベトナム)
本社所在地 〒459-8007 愛知県名古屋市緑区大根山二丁目146番地
ホームページ https://yamaichi-hagane.jp/
連絡先窓口 株式会社山一ハガネ CAST事業SEC・田島 秀春
メールアドレス hideharu.tajima@yamaichi-hagane.co.jp
電話番号 080-6992-1449