研究開発された技術紹介

高周波誘導加熱技術を応用し、鉛を含む電子デバイス用はんだめっきの代替プロセスとしての、錫めっき被膜の改質、リフロー処理を行い、現行鉛フリープロセスよりも飛躍的に生産性、省エネルギー性を向上させた環境対応型錫めっきのウィスカー抑制技術を開発するとともに、めっき工程内の加熱処理の工程短縮、省エネルギー技術を開発する

・はんだ付け性劣化抑制
‐PCT処理後のはんだ漏れ時間:2秒以内
‐前処理状態からの劣化:50%以下
・高周波処理後のウィスカー発生抑制
‐ボール荷重試験、アクリル加圧試験:240時間で50µm以下
・自然放置:1,000時間で発生なし
(新技術)
ウィスカー抑制
＜高周波誘導加熱による錫めっき被膜改質＞
特徴
・錫めっきウィスカーの抑制がより確実になる
工程短縮省エネ
＜高周波誘導加熱＞
特徴
・エネルギーロスが少ない
・工程短縮

高周波誘導加熱処理により、はんだ付け性劣化の抑制効果を確認
・大気中で高周波リフローを施したフープ材を用いてはんだ付け性試験を実施し、はんだ濡れ性時間0.39秒を達成するとともに、皮膜に劣化がないことを確認
・水中での高周波誘導加熱では、PCT処理後のはんだ漏れ時間はフープ材が0.42秒、バレル材は1.8秒と目標を達成し、またフープ材、バレル材ともに前処理前後の劣化は50%以下であった
高周波誘導加熱処理適用により、ウィスカー発生抑制を実現
・大気中高周波リフローフープ材のウィスカーでは、ボール荷重試験で240時間後45µm、アクリル板加圧試験で240時間後発生なしと、目標を達成
・水中高周波誘導加熱においては、ボール荷重試験240時間後のウィスカーはそれぞれ27µm(フープ材)、42µm(バレル材)であった。またアクリル板加圧試験240時間後のウィスカーはそれぞれ26µm(フープめっき品)、25µm(バレルめっき品)となり、目標を達成
・自然放置後1,000時間後、ウィスカーは発生しなかった
ウィスカー抑制効果を得ながら、工程短縮、省エネに効果のあるリフロー条件を確認
・大気中リフローを処理時間2秒、電力200Wで行い、電子顕微鏡にて錫めっき製品の表面を観察
・界面における均質な合金層の形成、皮膜に微分散した析出物により、ウィスカー抑制効果が得られたことを確認し、工程の短縮と省エネに効果があることを証明

大気中高周波リフロー処理後のめっき製品断面画像
〜大気中高周波リフローを実施することにより、拡散層が均一に形成され、錫めっき皮膜は十分に溶融。はんだ濡れ時間0.39秒、240時間のボール荷重試験後のウィスカー45µm、240時間のアクリル板加圧試験後のウィスカーの発生なし〜

毎年2～3回の展示会への出展：機械要素技術展、カーエレクトロニクス技術展、サーテック等

めっき加工

・H25年に量産設備を新設しH26年より量産めっき加工（高周波リフロー錫めっき）として事業化に成功し現在も量産継続中である。・高周波リフロー装置の販売も一部の同業者、顧客へ行ったが、現在は販売は行っていない

・低コスト化→従来の錫めっきのリフロー価格をリフロー無錫めっきと同等まで減少させることが可能
・省スペース化→熱風式リフローと比較し、装置の全長を1/2程度に小型化でき、処理時間も1/2にまで短縮
・省エネルギー化→熱風リフローに比較し、使用電力量を最大1/40まで減少でき、省エネ化に貢献

高周波リフロー錫めっきとして量産化継続中（自動車部品メーカー）