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製造環境

熱処理工程における品質保証と生産性向上のための、2色温度計による製品温度の実測と高精度電熱シミュレーションを用いた加熱条件制御

東京都

株式会社三井フォトニクス

2023年2月12日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 高精度温度イメージング技術と熱処理生産システムによるスマート熱処理ラインの構築
基盤技術分野 製造環境
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車、産業機械、半導体、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮
キーワード 温度計測、熱処理、2色温度計、電熱シミュレーション、不良率低減
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

「経験と勘」でしか分からなかった知見を引き出す仕組みであるサイバーフィジカルシステム(CPS)に注目が集まっている。現実世界の工場での情報をデジタルデータに置き換えて、AI・IoTの力を活用して、効率的で理想的な生産が可能になると期待されている。本事業は、高精度温度イメージング技術と熱処理生産システムを融合したスマート熱処理ラインを開発し、熱処理工程の生産性の向上、省エネルギー、不良ゼロの実現を目指す。

事業概要
開発した技術のポイント

1. 非接触高精度温度イメージング
炉内における製品の温度イメージングの取得を行い、製品1個単位で品質情報・温度履歴を管理する。
情報管理を行うことにより、製品1個単位でのトレーサビリティが確保できるだけでなく、多品種少ロット同時生産への対応も可能となる。
2. 熱処理生産システム
AI・IoT技術による熱処理条件の最適化を行った。
その結果、スマート熱処理ラインによる最適解の高精度化、自動制御システムの実現による生産性の向上、省エネルギー、不良ゼロが実現できた。

開発した技術のポイント(2色温度計)
開発した技術のポイント(熱処理生産システム)
具体的な成果

1. 非接触高精度温度イメージング
・数値解析および微細加工プロセスを用いて、近赤外単板式二色温度計測カメラに適したモザイクフィルタを作製。
・モザイクフィルタを組込んだ近赤外単板式二色温度計測カメラを開発し、熱電対との温度差が±3度以内であった。
2. 熱処理生産システムの開発
・製品の温度履歴データにより、熱処理品質データベースを構築し、伝熱シミュレーションを高度化した。
・二色温度計測カメラからの温度上昇予測AIを開発し、シミュレーションとおよそ1度の差異で予測可能であった。

具体的な成果(2色温度計)
具体的な成果(熱処理生産システム)
知財出願や広報活動等の状況

モノづくり日本会議及び日刊工業新聞主催の”超”モノづくり部品大賞2022にて、本研究を応用した2色温度計測カメラが日本力賞(にっぽんぶらんど賞)を受賞。
サーモテック2022および国際画像機器展2022に出展。

広報活動
研究開発成果の利用シーン

輸送機器、建設機械部品のような工業製品の熱処理工程にて。
現状、熱処理現場では、技術者の「勘」「コツ」に依存して製品の品質を保っている状態である。
熱処理工程における属人化された「技能」をデジタル化し、蓄積されたビックデータをAIにより分析・解析する熱処理工程のスマート化が必要である。

利用シーン

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

熱処理工程における製品1個単位のトレーサビリティの取得における課題は、熱処理炉の雰囲気温度と製品の実体温度との乖離による品質のばらつきであった。本システムにより、炉内における製品の温度イメージングが可能となり、製品温度分布の可視化および製品1個単位のトレーサビリティの確保につながる。さらに、多品種少ロット生産の実現も期待できる。
また、市場が拡大傾向にある金属積層造形では、アルミニウムを利用した積層技術が開発されている。しかし、レーザー強度の制御が難しく、最適なレーザー強度条件の導出が困難であった。
単板式二色温度計測カメラが開発されることで、メルトプールの温度を正確に測定することが可能となり、課題であった欠陥の発生原因究明が期待できる。この現象は、溶接工程において、ピットやアンダーカット等の溶接欠陥が多発した場合にも応用できる。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

1. 非接触高精度温度イメージング
炉内における製品の温度イメージングの取得を行い、製品1個単位で品質情報・温度履歴を管理する。
情報管理を行うことにより、製品1個単位でのトレーサビリティが確保できるだけでなく、多品種少ロット同時生産への対応も可能となる。
2. 熱処理生産システム
スマート熱処理ラインによる最適解の高精度化、自動制御システムの実現による生産性の向上、省エネルギー、不良ゼロが実現できた。

今後の実用化・事業化の見通し

1. 製品化(令和4年)
今回東京都立産業技術研究センターで試作したモザイクフィルタについては、製品化に伴い民間企業での量産が必要である。
2. 導入期(令和5年)
二色温度計測システムおよび熱処理生産システムともに、アドバイザーであるノビテックがすでに保有している販路を利用する。さらに、サンデン向けに近赤外単板式二色温度計および熱処理生産システムを装備したろう付け炉の製造を計画している。2022年開催予定のアジア最大規模の工業炉・熱技術、関連機器の展示会サーモテックへ出展し、二色温度計測システムの海外発信を行う。
3. 成長期(令和6年~)
開発製品の特性や優位性をアピールするだけではなく、改良を重ねていく。熱処理を行っている製造業は、数基の熱処理ラインを保有している企業が多いため、効果が認められると水平展開できると期待できる。

実用化・事業化にあたっての課題

熱処理工程における製品1個単位のトレーサビリティの取得における課題は、熱処理炉の雰囲気温度と製品の実体温度との乖離による品質のばらつきであった。
しかし、本システムにより、炉内における製品の温度イメージングの取得が可能となった。
それにより、製品温度分布の可視化および製品1個単位のトレーサビリティの確保につながった。
また、市場が拡大傾向にある金属積層造形では、アルミニウムを利用した積層技術が開発されている。ところが、レーザ強度の制御が困難で、最適なレーザー強度条件を導き出しづらい状況にあった。
現時点のメルトプールの温度測定方法は、サーモビューアが一般的であるが、放射率補正回避が必要で、メルトプールの溶融温度の測定には不向きである。しかし、単板式二色温度計測カメラの開発により、正確にメルトプールの温度の測定が可能となり、課題であった欠陥の発生原因究明が期待できる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社三井フォトニクス
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 企画部 開発企画室
研究等実施機関 株式会社先端力学シミュレーション研究所
学校法人早稲田大学
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
アドバイザー サンデン株式会社
ものつくり大学
理化学研究所
株式会社ノビテック
株式会社デサン
神戸洋史(個人)

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社三井フォトニクス(法人番号:4010401099486)
事業内容 光学・電子機器、ソフトウェアの開発、製造、販売及びレンタルおよび付帯または関連する一切の業務
社員数 7 名
本社所在地 〒108-0075 東京都港区港南2-12-19-904
ホームページ https://www.mitsui-photonics.com/
連絡先窓口 大森事業所
メールアドレス usui@mitsui-photonics.com
電話番号 03-6423-2526