表面処理
直接加熱式吸着回収装置が高効率にVOCを除去し、塗装工程におけるコスト削減に寄与
大阪府
大和化学工業株式会社
2020年4月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 大風量低濃度排ガス用直接加熱式吸着回収装置の研究開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 産業機械 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成24年度~平成26年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
VOCの更なる排出低減が求められている。最も多量のVOCを排出する塗装工程は排ガス風量が大きく濃度が低いので除害処理の前に濃縮する必要があるが、ハニカムローター式濃縮装置は温風で脱離するため濃縮率が上がらない。本研究では、ハニカムローター自身を内部から発熱させることによって最小限のキャリアーガスで脱離させ、これによって濃縮率を飛躍的に高め、VOCを直接液化回収する省エネで省スペースなシステムを構築する
開発した技術のポイント
VOC排出削減の取組みが遅れている塗装ブースの大風量低濃度の排出ガスを対象として、ハニカムローター式濃縮装置をベースに、ハニカムローター自身を内部から発熱させることによってVOCを直接液化回収する全く新しい吸着回収装置を開発する
(新技術)
磁気発熱ハニカムとトランスバース方式の高周波誘導加熱を用い、ハニカムローター自身を内部から発熱させる
(新技術の特徴)
・最小限のキャリアーガスで脱離させることで濃縮率を飛躍的に高める
・VOCを直接液化回収除去する省エネで省スペースなシステムが実現する
具体的な成果
・従来技術の温風加熱に替わる効果的な直接加熱を達成するための磁気発熱ハニカムの開発
-ハニカム基材への吸着剤担持法を開発した
-高周波磁界で一様に発熱するハニカム構造として、平板積層型が優れていることを見出した(右図)
・大風量低濃度排ガス用吸着回収システムの開発
-4分割ユニットを組合わせる形式の平板積層型ハニカムローター式吸着回収装置試作機を完成させた
・模擬VOC排ガスでの実証試験
-長時間安定に運転できることを確認した
研究開発成果の利用シーン
・大風量低濃度排ガス用直接加熱式吸着回収装置および濃縮装置
・水溶性溶媒も回収できる吸着回収装置
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・装置構造材に予想外の誘導電流が流れてしまうなど、いくつかの予期せぬトラブルに見舞われたが、最終的に磁気発熱を利用した全く新しい吸着回収装置として組み上げることができた
・運転研究の積み重ねはまだ十分とは言えないため、これを補完研究の主課題としてさらに進めていく必要がある
製品・サービスのPRポイント
・直接加熱式吸着回収装置が高効率でVOCの除去を実現し、コスト低減に寄与
-ガス風量が大きく、濃度が低い排ガスの吸着には濃縮装置として著名なハニカムロータ方式を採用したが、通常法では温風で脱離させるため液回収は不可能である
-本開発装置では、ハニカムローター自身を内部から発熱させることによってVOCを直接凝縮回収するので、VOCの効率的な回収が実現し、塗装工程におけるコスト削減に貢献する
-さらに、本装置はスチームレスの脱離方式なので大風量低濃度に限らず水溶性の溶媒の回収も可能とする
今後の実用化・事業化の見通し
・補完研究においては、模擬VOC排ガスを用いた吸着回収実験を積み重ねてまずVOC除去率を向上させ、次いで他の操業
・装置の基本性能を向上した上で実際の使用環境に於いて安定的に装置運転ができる事を確認し、装置の最終的な装置仕条件や装置構成を最適化して行く予定である様を決定した後に生産・普及体制を検討する
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 大和化学工業株式会社 |
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事業管理機関 | 一般財団法人関西環境管理技術センター |
研究等実施機関 | 新日本フェザーコア株式会社 有限会社久保井塗装工業所 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 大和化学工業株式会社 |
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事業内容 | ドライクリーニング機開発・製造の技術を核とする要素技術(活性炭吸着によるガス回収、蒸留による廃液再生・再利用)を応用した環境保全機器製造販売 |
本社所在地 | 〒551-0021 大阪府大阪市大正区南恩加島5-8-6 |
ホームページ | http://www.daiwakagaku.com/ |
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