研究開発された技術紹介

リチウムイオン電池は、次世代自動車のキーデバイスであり、蓄エネルギー媒体として期待され、高効率工法での大幅な製造コスト削減が必須である。特に電池の密閉溶接は難しく、本提案は、中空光学系による理想レーザビームを用い、焦点を1KM毎分で移動させ、レーザ出力2倍相当の溶接効果を得る世界初の超々高速リモートレーザ溶接ヘッドを開発し、その場画像認識と組合せ、高品質溶接、設備投資の半減と省エネを実現する

従来式のリチウムイオン電池のレーザ溶接技術に対し、高効率工法で製造コストを大幅に削減し、且つ、高速・高品質の溶接が行えるリモートレーザ溶接ヘッドを開発する
(新技術)
リモートレーザ溶接ヘッドを用いたレーザ溶接技術を開発する
(新技術の特徴)
深い焦点深度を有するレンズを用いた焦点光軸方向超高速移動機構により、溶込み深さが良化し、溶接品質の向上とともに製造コストの削減につながる

・理想レーザビームレンズユニットの開発
-合成石英製球面平凸レンズに中空の穴あけ加工を施したレンズ群(中空光学系)を用いてレンズユニットを開発し、従来の単焦点の加工光学(レンズ)系が持つ焦点深度(±0.33mm)の3倍以上を達成することができた
・リモートレーザ溶接ヘッドの試作開発と実証実験
-開発したレンズユニットおよび照射方法、全数検査システムを用いてリモートレーザ溶接ヘッドを開発した
-実際の中・大型リチウムイオン電池の溶接サイズ(175mm×45mm・角R無し)のアルミニウム合金(A3003)製サンプルを用意し、擬似的な筐体密閉溶接を実施した結果、良好な結果が得られた

・アルミニウム合金製リチウムイオン電池の筐体密閉溶接
・チタニウム合金製各種医療用器具の精密溶接

・中・大型リチウムイオン電池の市場が本格化するのは平成27年頃であるとの川下事業者からの情報をもとに、このタイミングを逃さぬよう、本研究開発の成果を事業化に結び付けていく予定である

・リチウムイオン電池の筐体密閉溶接において、高効率・製造コスト削減が可能なリモートレーザ溶接ヘッドの提供が可能
-実際の中・大型リチウムイオン電池の溶接サイズ(175mm×45mm・角R無し)のアルミニウム合金(A3003)製サンプルを用意し、擬似的な筐体密閉溶接を実施した
-レーザ出力1.75kW・スキャン速度120mm/秒・焦点位置-2mmの条件にて良好な溶接結果を得ることができ、高効率かつ製造コストの削減が可能である
・医療用器具で使用されるチタニウム合金においても高効率・製造コスト削減が可能
-最適なレーザ出力、パルス幅及び焦点位置の条件出しを行った後に、振動機構による溶込み深さの評価を行った結果、良好な結果を得ることができた

・今後は、より具体的な顧客からのサンプル加工を積極的に行うことと、加工ノウハウの蓄積が重要であり、係る補完研究を進めていく
・本研究開発の結果は、システムインテグレータが持つリチウムイオン電池製造装置内に組込む等して川下企業への評価を進め、拡販に努めていくとともに、リチウムイオン電池だけでなく、今後、成長が期待されているチタニウム合金を用いた医療用器具等の溶接分野にも応用展開可能だと考えている