接合・実装
セラミック多層基板の小型化と精度向上を可能にし、歩留まり向上に寄与する導電ペーストの開発
大阪府
YAMAKIN株式会社
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 無収縮セラミック多層基板用導電ペーストの開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 情報通信、半導体、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | 導電ペースト、無電解メッキ、被覆粒子、熱収縮特性、クラック |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
基板の熱収縮挙動に近似の挙動を有する導電ペーストの開発を目的とし、Ag粒子の表面にPdを無電解メッキ法によって均一に被覆した複合粒子の粉末を導電ペースト材料として用いる独自の技術を開発する。Pd被覆量と被覆層の厚さを制御し、熱収縮特性をコントロールできるPd被覆Ag粉末の導電ペーストによって、セラミック多層基板のビア導体の周辺に空隙またはビア導体間の基板にクラックが発生するという課題を解決する
開発した技術のポイント
銀粒子の表面にパラジウムを均一に被覆した複合粒子の粉末を導電ペースト材料に使用することで
・高密度・高精度配線回路基板の製造が可能
・製造歩留まりの飛躍的向上によって、安価な回路基板の製造が可能
・白金属希少金属の使用量が抑制可能
具体的な成果
・パラジウムを被覆した銀球状粒子の量産化技術を開発
-テストプラントにおいて、1バッチ当りの作成重量5kgの条件下で、無電解メッキ法により銀粒子にパラジウムを被覆させることに成功(被服量はpd/Ag比で30%まで可能)
-分散剤を銀粒子表面に化学結合させた後、熱処理によって銀粒子に耐熱性を付与することを可能に
-耐熱性を与えた場合、未処理の場合と比べて回折ピークの半値幅が狭く結晶性が高い
・導電ペーストの製造技術の開発
-予備混合器、プラネタリーミキサー、三本ロールミルからなる導電ペースト作製装置を導入
-他社製品に比べて耐マイグレーション性が高い。特に粒子径が大きい方が、耐マイグレーション性には優れている
-ライン&スペース(L/S)=30/30(μm)が安定して印刷可能な導電ペーストについて、粒径面から検討を行い、最適な粒子径を把握
-川下メーカーの協力を得て、実装評価を実施。樹脂量や紛体の熱処理温度を調整するなどして、不良率を削減
知財出願や広報活動等の状況
・特許:「導電ペースト及びそれを用いた低温焼成セラミック多層基板」(特願2011-265536)
・新聞:日本経済新聞(H22.10.22)、日刊産業新聞(H22.10.12)、高知新聞(H22.9.17)
・論文:矢野雄也「耐マイグレーション性に関する銀粒子の性状の影響について」(H24.9)
研究開発成果の利用シーン
Ag粒子表面のPd被覆量・被覆層厚さを制御する技術と、それを用いた導電ペースト製造の技術により、ペーストの熱収縮特性の制御や耐久性の向上を図ることができる。高密度・高精度配線回路基板の製造や、耐マイグレーション性の向上といったシーンでの利活用が可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化はほぼ達成しているが、事業化には時間がかかる
・ユーザーへ定期的な試作サンプル(Ag系導電ペースト)の提供を実施しており、ユーザー側で実装した製品を展示会に出展するなど売り込みが進められている。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・歩留まり向上→開発した導電ペーストを使用することにより、セラミック多層基板の不良の極少化と製造歩留まりの向上による安価な回路基板の製造を可能とする
・精度向上→開発した導電ペーストを使用することにより、高精度・高密度の配線回路基板の製造が可能となる
・小型化→開発した導電ペーストを使用することにより、配線回路基板の小型化と微細化が可能となり、延いては電子デバイスの小型化と微細化が実現できる
今後の実用化・事業化の見通し
・実用化はほぼ達成しているが、具体的な電子デバイス商品に応用し適合させていくには一律の方法では対応できず、個々の電子デバイス商品に適合した導電ペーストを開発することが重要となる。
・事業化に向け多様なユーザー固有の導電ペーストをオーダーメイドで開発していく。サイズ・スペック等の要望に応じて共同開発の実施含め都度検討を行う。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 山本貴金属地金株式会社 高知第一山南工場 |
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事業管理機関 | 一般財団法人四国産業・技術振興センター |
研究等実施機関 | 高知県工業技術センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | YAMAKIN株式会社(法人番号:3120001025691) |
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事業内容 | 1.金・銀・白金・パラジウム及び各種貴金属地金の売買2.貴金属地金の加工3.貴金属の精製及び分析4.歯科材料の開発・製造及び販売 |
社員数 | 271 名 |
生産拠点 | 高知県に3つの工場を保有 |
本社所在地 | 〒543-0015 大阪府大阪市天王寺区真田山町3-7 |
ホームページ | http://www.yamakin-gold.co.jp |
連絡先窓口 | 製造部精錬課 森本太郎 |
メールアドレス | morimoto@yamakin-gold.co.jp |
電話番号 | 0887-55-0368 |
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