精密加工
極薄肉ステンレスロールにより高温度耐久性能が高い光学フィルムの成形プロセスを実現
神奈川県
株式会社ディムコ
2020年3月20日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | スピニング加工技術による大径長尺極薄肉金属ロールの開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | スマート家電、電池 |
事業実施年度 | 平成20年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
大型フラットパネルディスプレイ用光学フィルム成形で広く使用されているニッケル電鋳ロ-ルは、熱伝導性がよくフレキシブル性に優れるが、高温度耐久性能の向上が課題である。このニ-ズに応えられるのは大径長尺極薄肉ステンレスロ-ルであるが、実用にはロ-ルの形状(肉厚均一性、円筒度、真直度)の改善が必要であり、その基盤技術となる極薄肉ステンレス円筒体の成形およびスピニング加工の技術の高度化に取り組む
開発した技術のポイント
ステンレスロールの形状(厚さ、内周、表面)の均一性と硬度を改善
・厚さ:0.2±0.05mm、内周差:φ500mm±0.01%
→厚さ、内周、表面の均一性の改善
・乾式表面硬化処理技術の開発:硬度Hv1,000以上
→大型フラットパネルディスプレイの量産に耐えうる高硬度
(新技術)
<ステンレスロール>
具体的な成果
・ロールの素材となる素管の成形加工条件を確立
・素材になる円筒溶接菅(素管)の成形について、各種装置の稼働及び製造条件の最適化を行った
・その結果、内周差:±0.004%(目標±0.01%)、ビ-ド部段差:0.03mm以下(目標0.1mm以下)の品質を有する素管の成形加工条件を確立
・成形品に対する形状の均一性に関する目標を達成
・加工条件の数値解析と成形品の品質との関係を結びつけて成形条件の最適化に活用する手法を見出した
・上記の加工機動特性データの活用と各所成形条件の最適化によって、直径500mm、厚さ0.2mm、長さ1500mmの極薄肉大径長尺ステンレスロ-ルの成形技術を確立
・厚さ0.2mmに対し0.201~0.205mmの範囲であり、厚さ目標±0.05mmを達成。外径503.0mmに対し最大偏差率0.007%で内周差の目標も達成
・窒化クロムコーティングによる熱歪みのない表面硬化効果処理技術を確立
・環境規制に対応し、6価クロムを使用しない表面硬化処理技術として乾式の窒化クロム(CrN)コーティングを実施
・直径500mm、厚さ0.2mm、長さ1,200mmのステンレスロ-ルで、加熱による熱歪みでの変形が生じない処理条件を確立
・大型スピニング加工機での高精度実現に向け、小型加工機による成形特性調査、塑性力学に基づくシミュレーション、大型スピニング加工機の加工特性評価を実施
知財出願や広報活動等の状況
特許出願:「極薄肉長尺金属円筒体、この極薄肉長 尺金属円筒体の製造方法およびこの極薄肉長尺金 属円筒体をロールまたはベルトとして使用した装置」(特願2008-326696)
研究開発成果の利用シーン
大型フラットパネルディスプレイ用光学フィルムの成形プロセスにおいて、従来のニッケル電鋳ロ-ルから優れた高温度耐久性能が期待できる極薄肉ステンレスロールに変更することにより、プロセス全体の生産性の向上を図る
実用化・事業化の状況
今後の実用化・事業化の見通し
コスト面・品質面の向上を進めながら、販路開拓を継続
・5件程度の需要家へサンプル供給したものの本格採用に至っていない
・サンプル供給を継続しながらフィルム製造機メーカ・フィルム製造メーカへの販路開拓。さらに、コストダウン、品質面の向上を進める
・平成25年頃に年間3億円の受注を見込む。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ディムコ |
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事業管理機関 | 株式会社キャンパスクリエイト |
研究等実施機関 | 株式会社天龍精密工業 日本コ-ティングセンタ-株式会社 国立大学法人電気通信大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ディムコ |
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事業内容 | スチールベルト(金属ベルト)およびその応用機器(スチールベルト減速機やスチールベルトコンベヤなど)の設計・製作・販売、極薄肉メタルスリーブの製作・販売 |
本社所在地 | 神奈川県横浜市市西区北幸2-10-27 |
ホームページ | http://www.dymco.co.jp |
連絡先窓口 | 事業開発室技術部部長 三田和彦 |
メールアドレス | k.matuda@dymco.co.jp |
電話番号 | 045-322-2821 |
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